親が施設に入った後の実家は誰が管理する?兄弟で揉めない分担方法

実家は誰が管理する?兄弟で揉めないために

親が老人ホームなどの施設へ入り、実家が空き家になると、「これから誰が実家を管理するの?」という問題が出てきます。

近くに住んでいる子どもや長男・長女だけが、郵便物の確認から草刈り、税金の手続きまで抱えてしまうケースもあります。

この記事では、施設入居後の実家管理を兄弟姉妹でどう分担するか、費用負担や遠方に住む家族ができることまで解説します。

目次

結論|実家管理は「全員が同じことをする」必要はない

親が施設へ入った後の実家管理では、兄弟姉妹全員が月1回ずつ実家へ行く必要はありません。

重要なのは、

誰が・何を・どこまで担当するのか

を家族で共有しておくことです。

たとえば3人きょうだいなら、

担当やること
実家の近くに住む人月1回の建物確認・郵便物回収
遠方に住む人電話・ネットでできる契約手続き
もう一人業者手配・費用管理・親との相談

という分け方もできます。

「実家へ行った回数を同じにする」ことより、家族全体で負担が偏りすぎない仕組みを作ることが大切です。

親が施設に入ったら実家管理は誰の役目?

「実家だから長男が管理するもの」

「近くに住んでいる子どもがやるしかない」

と思われることがあります。

しかし、家族内の立場だけで実家管理の担当者が自動的に決まるわけではありません。

そもそも親が存命で親名義の実家であれば、基本的には親の財産です。

ただ、施設へ入った親自身が、

  • 月1回実家へ戻る
  • 庭の草刈りをする
  • 郵便物を確認する
  • 修理業者を呼ぶ

といった管理を続けることは難しくなる場合があります。

そこで現実的には、子どもなど家族がサポートすることになります。

問題は、ここで担当を曖昧にしてしまうことです。

「誰かがやっているだろう」が一番困る

兄弟姉妹がいる場合、

「近くに住んでいる兄が見ているだろう」

「妹が先月行ったはず」

「郵便物くらい誰か取っているだろう」

となることがあります。

ところが実際には、誰も行っていなかったということも考えられます。

空き家では小さな異常を早く発見することが重要です。

たとえば、

  • 雨漏り
  • 水漏れ
  • 窓ガラスの破損
  • 庭木の越境
  • 雑草
  • 害虫・害獣
  • 郵便物の蓄積
  • 不法投棄

などです。

まず「実家を定期的に確認する担当者」を決めておくと分かりやすくなります。

【関連記事】親が施設に入って実家が空き家に|月1回やること・管理方法を解説

施設入居後の実家管理でやること一覧

「実家管理」といっても、実際にはさまざまな作業があります。

大きく分けると次のようになります。

建物の管理

  • 換気
  • 通水
  • 雨漏り確認
  • 水漏れ確認
  • カビ確認
  • 戸締まり
  • 外壁・屋根などの目視確認

敷地の管理

  • 草刈り
  • 庭木の剪定
  • 落ち葉の清掃
  • 不法投棄の確認
  • 隣地への越境確認

郵便物の管理

  • 郵便受け確認
  • 重要郵便の仕分け
  • 郵便物の転送
  • 各契約先の住所・送付先変更

【関連記事】親が施設に入った後の実家の郵便物はどうする?転送・住所変更するもの一覧

お金の管理

  • 固定資産税
  • 火災保険
  • 電気
  • 水道
  • 修繕費
  • 草刈り費用
  • 空き家管理費

家財の管理

  • 食品の処分
  • 貴重品確認
  • 重要書類確認
  • 不用品整理
  • 家具・家電の処分

このすべてを一人で担当すると、かなりの負担になります。

だからこそ「作業単位」で分けることをおすすめします。

兄弟で揉めにくい実家管理の分担方法

実家管理を分担するときは、単純に「3人だから3等分」と考えない方が現実的です。

それぞれの、

  • 実家までの距離
  • 仕事
  • 子育て
  • 介護
  • 車の有無
  • 得意なこと

などが違うからです。

近くに住む人は現地確認

実家の近くに住む家族なら、

  • 郵便受け
  • 建物確認
  • 換気
  • 通水
  • 庭の状態確認

など、現地でしかできないことを担当しやすいでしょう。

ただし、

「近くに住んでいるから全部やって」

とならないよう注意します。

遠方に住む人は事務手続きを担当

実家から遠くてもできることはあります。

たとえば、

  • 保険会社への問い合わせ
  • 業者探し
  • 見積もり依頼
  • 契約内容の確認
  • 家族への情報共有

などです。

今は電話やインターネットでできる手続きも多いため、「遠いから何もできない」とは限りません。

お金を管理する担当を決める

実家を残していると、少額の支出が積み重なります。

誰か一人が、

「実家関係で今年いくら使ったか」

を記録しておくと、後から確認しやすくなります。

作業する人とお金を負担する人が同じでなくてもいい

実家管理で不満が生まれやすいのが、

「私ばかり実家へ行っている」

という状態です。

たとえば、実家から車で10分のところに住んでいる兄と、遠方に住んでいる妹がいるとします。

兄が毎月実家へ行く方が現実的でしょう。

しかし、

  • ガソリン代
  • 草刈り道具
  • 粗大ごみ費用
  • 修理業者への立ち会い

まで兄だけが負担していれば、不公平感が出てくるかもしれません。

そこで、

現地作業を多くする人

費用面や事務作業を多く担当する人

を分ける方法があります。

時間的負担と金銭的負担を含めて、家族全体で考えるとよいでしょう。

実家管理にかかった費用は記録しておく

これはできるだけやっておきたいことです。

実家管理では、

  • 交通費
  • 駐車料金
  • 草刈り
  • 剪定
  • 不用品処分
  • 修繕
  • 防犯用品
  • 空き家管理サービス

など、さまざまな費用が発生します。

一つひとつは数千円でも、何年も続けば大きな金額になります。

簡単で構いません。

たとえば、

日付内容金額支払った人
8月10日草刈り用品3,500円長男
8月25日粗大ごみ2,000円長女
9月3日水道修理18,000円長男

という程度です。

領収書やレシートも保管しておくと確認しやすくなります。

親の実家だから親のお金から管理費を出していい?

ここは慎重に考えたいところです。

親が所有する家の維持管理に必要な費用だからといって、子どもが親の口座から自由にお金を引き出してよいとは限りません。

親が判断できる状態なら、

「草刈りに○円かかる」

「水漏れ修理に○円必要」

などを説明して、本人と相談しながら進めるとよいでしょう。

親本人による財産管理が難しい場合は、家族だけの判断で大きなお金を動かさず、必要に応じて金融機関や専門家などへ相談してください。

特に不動産そのものを売却する場合は、日常的な管理費とは話が違います。

【関連記事】施設に入った親の家を子どもが勝手に売れる?名義と認知症の注意点

固定資産税は実家へ行く人が払うもの?

実家管理を担当している人が、固定資産税まで自腹で負担しなければならないという意味ではありません。

固定資産税は基本的に、その年の1月1日時点で固定資産課税台帳に所有者として登録されている人に課税されます。

親名義の実家なら、親が施設へ入ったからといって自動的に子どもへ納税義務が移るわけではありません。

ただし、実際の支払い手続きや郵便物確認を家族がサポートすることはあるでしょう。

【関連記事】親が施設に入った後の実家の固定資産税はどうなる?誰が払う?

火災保険の確認担当も決めておく

親が施設へ入って実家が空き家になった場合、火災保険についても確認が必要です。

契約内容によっては、建物の使用状況が変わったことを保険会社へ伝える必要があります。

「兄がやったと思っていた」

「妹が保険会社へ連絡したと思っていた」

という状態は避けたいところです。

誰が保険会社へ確認したのか、家族で共有しておきましょう。

【関連記事】親が施設に入って空き家になった実家の火災保険はどうする?解約・継続の注意点

電気・ガス・水道も担当者を決める

実家のライフラインについても、

「誰かが止めているだろう」

と考えない方がよいでしょう。

特に空き家管理では、水道と電気を残した方が便利なケースがあります。

一方、ガスは今後使わないなら停止を検討することもあります。

契約を残す・止めるだけでなく、請求先や支払い方法も確認しておきましょう。

【関連記事】施設入居後の実家の電気・ガス・水道は止める?残すものを解説

片付けも一人で抱え込まない

親が何十年も暮らした実家には、大量の家財が残っていることがあります。

一人で毎週末片付けても、なかなか終わらないことがあります。

そこで、

重要書類を探す人

衣類を整理する人

粗大ごみを手配する人

不用品回収業者を探す人

などに分ける方法もあります。

実際の片付けに参加できない兄弟でも、業者探しや見積もり比較ならできるかもしれません。

【関連記事】施設入居後の実家の片付けはいつから?親の荷物を勝手に捨てていい?

【関連記事】実家の片付け費用はいくら?一軒家を空にする相場と安くする方法

不用品回収費用も誰が払ったか残しておく

一軒家を本格的に片付けると、不用品処分だけでまとまった費用がかかることがあります。

家族の一人が立て替えるなら、

  • 見積書
  • 請求書
  • 領収書
  • 支払日

などを残しておきましょう。

金額が大きくなるほど、

「誰がいくら払った?」

という話になりやすくなります。

家族でLINEグループなどを作り、見積書の写真を共有してから依頼する方法もあります。

兄弟が実家管理を何もしてくれない場合は?

兄弟姉妹が必ず同じ熱量で実家管理に関わってくれるとは限りません。

「仕事が忙しい」

「遠いから行けない」

「実家は兄に任せる」

などと言われることもあるでしょう。

この場合、

「もっと実家へ来て」

だけでは話が進まないことがあります。

そこで、具体的な役割をお願いしてみます。

たとえば、

「月1回来てほしい」

ではなく、

「火災保険会社へ電話して確認してほしい」

「不用品回収業者を3社調べてほしい」

「今年の固定資産税関係を確認してほしい」

などです。

作業を具体化すると、遠方に住んでいる家族でも参加しやすくなります。

家族のLINEグループなどで情報を共有する

実家管理では、情報共有も重要です。

専用のLINEグループなどを作り、

「8月10日 実家確認。異常なし」

「庭木が伸びてきたので来月剪定予定」

「水道代○円」

「火災保険会社へ確認済み」

などを共有します。

雨漏りや外壁のひび割れなど気になる場所があれば、写真も残しておくと便利です。

誰が何をしたか分かるだけでも、

「自分ばかりやっている」

「そんな話は聞いていない」

といった行き違いを減らしやすくなります。

実家管理の簡単な分担表を作っておく

難しい管理表を作る必要はありません。

たとえば次の程度で十分です。

項目担当頻度
実家訪問月1回
郵便物訪問時
保険関係必要時
固定資産税確認年1回
草刈り業者手配必要時
支出記録随時
親への確認全員必要時

一度決めた担当をずっと固定する必要もありません。

仕事や家庭の事情が変われば見直せばよいでしょう。

実家が遠方なら空き家管理サービスも検討する

兄弟姉妹全員が実家から遠い場合、家族だけで月1回管理するのは難しくなります。

その場合は空き家管理サービスを利用する方法もあります。

サービスによって、

  • 外観確認
  • 郵便物確認
  • 換気
  • 通水
  • 庭の確認
  • 写真付き報告

などを依頼できます。

もちろん費用はかかります。

しかし、家族が毎月往復する交通費や時間と比較すると、利用価値があるケースもあります。

実家管理が負担になったら「誰が悪いか」より今後を考える

実家管理が数か月なら対応できても、5年、10年と続けば状況は変わります。

親だけでなく、子どもたちも年齢を重ねます。

その間、

  • 固定資産税
  • 火災保険
  • 電気・水道
  • 修繕
  • 草刈り
  • 交通費

などもかかり続けます。

「兄がもっとやるべき」

「妹が全然手伝わない」

という問題だけでなく、

そもそも誰も住まない実家を今後も残す必要があるのか

というところまで考えてみることが大切です。

実家を残す・売るは兄弟だけで勝手に決めない

管理が大変になると、

「もう売ってしまおう」

という話が出ることがあります。

しかし、親名義の実家なら、子どもたちだけで自由に売却できるわけではありません。

親本人の意思や判断能力なども関係します。

親が元気なうちなら、

「実家を今後どうしたい?」

と話しておくことが重要です。

売却について迷っている場合はこちらで詳しく解説しています。

【関連記事】親が老人ホームに入ったら実家は売るべき?売らない方がいいケースも解説

実家管理は半年・1年ごとに見直す

施設入居直後は、

「しばらく実家を残しておこう」

という判断でもよいでしょう。

しかし、その状態を何となく続けるのではなく、

半年後

1年後

などに見直す時期を決めておくのがおすすめです。

そのとき、

  • 親が実家へ戻る可能性
  • 建物の状態
  • 年間維持費
  • 家族の管理負担
  • 実家の利用予定

を確認します。

「1年間管理してみたけれど、結局誰も使わなかった」

ということもあります。

反対に、親が一時帰宅する場所として残しておきたいという結論になることもあるでしょう。

大切なのは、定期的に家族で確認することです。

よくある質問

Q. 親が施設に入ったら実家管理は長男がするものですか?

長男だから自動的に実家管理をすべて担当するというものではありません。

実家までの距離や仕事などを考え、家族で役割を決めるとよいでしょう。

Q. 実家の近くに住んでいる人が全部管理するべき?

近くに住んでいる人は現地確認をしやすいですが、すべての作業や費用まで負担する必要があるとは限りません。

遠方の家族が事務手続きや業者手配を担当するなど、役割を分ける方法があります。

Q. 実家管理にかかった交通費はどうする?

家族間で決まりがあるわけではないため、あらかじめ話し合っておくとよいでしょう。

誰がいつ、何のためにいくら使ったのか記録しておくことをおすすめします。

Q. 親のお金で草刈りや修理費を払ってもいい?

親の財産なので、本人が判断できる場合は本人と相談しながら進めるのが基本です。

本人による財産管理が難しい場合、大きなお金を家族だけの判断で動かさず、必要に応じて専門家などへ相談してください。

Q. 兄弟が実家管理をしてくれない場合は?

「実家へ来て」と頼むだけでなく、保険会社への問い合わせや業者探しなど、具体的な作業をお願いする方法があります。

遠方でもできる仕事を分担すると参加しやすくなります。

Q. 実家管理を業者へ全部任せてもいい?

空き家管理サービスを利用する方法があります。

ただしサービス内容は会社によって異なるため、訪問頻度や確認範囲、料金などを比較しましょう。

Q. 管理が大変なら子どもだけで実家を売っていい?

親名義の実家であれば、子どもだから自由に売却できるわけではありません。

特に親の判断能力が低下している場合は注意が必要です。

【関連記事】施設に入った親の家を子どもが勝手に売れる?名義と認知症の注意点

まとめ|実家管理は「近くに住む一人」に集中させない

以上、親が施設に入った後の実家は誰が管理する?兄弟で揉めない分担方法というお話でした。

親が施設へ入った後の実家管理には、建物確認だけでなく、郵便物、草刈り、税金、保険、片付けなどさまざまな作業があります。

これを一人ですべて担当すると、時間的にも金銭的にも負担が大きくなります。

兄弟姉妹がいるなら、

現地へ行く人

事務手続きをする人

業者を手配する人

費用を記録する人

というように、それぞれができることを分担してみましょう。

そして、実家管理にかかった費用や作業内容は簡単でも構わないので記録しておくことをおすすめします。

それでも管理負担が大きくなってきたら、分担方法だけを考え続けるのではなく、実家そのものを今後どうするか考えるタイミングです。

親が戻る可能性、年間維持費、建物の状態などを確認しながら、残す・売る・貸す・活用するといった選択肢を家族で検討していきましょう。

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