
親が老人ホームなどの施設へ入ると、それまで住んでいた実家が空き家になることがあります。
そこで忘れやすいのが火災保険です。「誰も住まないなら解約していい?」と思うかもしれませんが、自己判断ですぐ解約するのはおすすめできません。
この記事では、施設入居後に空き家となった実家の火災保険を継続できるのか、保険会社への連絡や解約するときの注意点を解説します。
結論|実家が空き家になったらまず保険会社へ確認する
親が施設へ入居して実家が空き家になった場合、最初にやっておきたいのは現在加入している保険会社や代理店への確認です。
「保険料がもったいないから解約する」
「まだ契約期間中だから、そのままで大丈夫」
と自己判断するのは避けた方がよいでしょう。
火災保険は、建物の用途や使用状況などを前提として契約されています。
これまで親が生活していた住宅から、長期間誰も住まない空き家へ状況が変わることで、契約の扱いが変わる場合があります。
まず、
「親が老人ホームへ入居して、現在この家には誰も住んでいません」
と保険会社や代理店へ伝え、現在の契約を継続できるか確認しましょう。
親が施設に入ったら火災保険は自動的に切れる?
親が施設へ入っただけで、その日に火災保険が自動解約されるという単純な仕組みではありません。
ただし、
「契約が残っている=現在の空き家状態でもこれまでと同じ条件で補償される」
と考えるのも危険です。
火災保険の商品や保険会社によって、空き家の取り扱いは異なります。
また、同じ空き家でも、
- 老人ホームへ一時的に入居している
- 将来自宅へ戻る予定がある
- 家財を残して定期的に管理している
- 完全に転居して誰も住む予定がない
- 売却するため空き家になっている
- 解体を予定している
など状況はさまざまです。
施設へ入ったという事実だけで判断せず、現在の状況を保険会社へ伝えることが大切です。
なぜ空き家になると火災保険の確認が必要?
人が住んでいる家と空き家では、建物を取り巻くリスクが異なります。
火災の発見が遅れやすい
人が住んでいれば、焦げ臭さや電気設備の異常などに気付けることがあります。
空き家では、異常が起きてもすぐ発見できません。
近隣住民などが気付くまで被害が広がる可能性があります。
水漏れや雨漏りにも気付きにくい
空き家で注意したいのは火災だけではありません。
たとえば給水管から水漏れしていても、誰も住んでいなければ発見が遅れます。
台風後に屋根が破損して雨漏りが始まっても、次に家族が訪問するまで分からないことがあります。
盗難やいたずらのリスクもある
郵便物がたまっていたり、庭が荒れていたりすると、長期間人が住んでいないことが外から分かりやすくなります。
空き家では盗難やいたずらなどの防犯面にも注意が必要です。
こうした違いがあるため、居住中と空き家になった後で契約の取り扱いが変わることがあります。
実家が空き家になっても火災保険を継続できる?
現在の火災保険をそのまま継続できるかは、保険会社や商品、実家の状態などによって異なります。
そのため、
「空き家でも火災保険はそのまま使える」
とも、
「空き家になったら必ず解約しなければならない」
とも一概にはいえません。
保険会社へ確認するときは、
- 親が施設へ入居したこと
- 現在誰も住んでいないこと
- 親が自宅へ戻る可能性
- 家族がどのくらいの頻度で管理するか
- 家財が残っているか
- 売却予定があるか
などを伝えると状況を説明しやすいでしょう。
「空き家」といっても状態はそれぞれ違う
施設入居後の実家では、空き家の状態を一括りにしないことも大切です。
施設入居直後で自宅へ戻る可能性がある
親が施設へ入ったばかりなら、
「施設生活が合わなければ自宅へ戻る」
という可能性もあります。
家財もほぼそのままで、家族が定期的に管理しているケースもあるでしょう。
この場合は、その状況を保険会社へ説明して現在の契約について確認します。
施設へ完全に転居して戻る予定がない
長期入居が決まり、親が実家へ戻る予定もない場合です。
同じ「施設入居」でも、前のケースとは建物の使用状況が異なります。
売却するまで数年間残す予定なら、その期間の保険をどうするか考える必要があります。
売却活動中の空き家
すでに実家を売ることが決まり、不動産会社へ依頼しているケースです。
売却するからといって、すぐ火災保険が不要になるとは限りません。
引渡しまでの間に台風や火災などで建物が被害を受ける可能性があるからです。
解体予定の空き家
建物を解体することが決まっている場合は、解体時期を含めて保険会社へ相談するとよいでしょう。
誰も住まないなら火災保険を解約してもいい?
「空き家に毎年保険料を払うのはもったいない」
と感じるのは自然です。
しかし、保険料だけを見て解約を決めるのはおすすめできません。
空き家でも災害は起こる
誰も住んでいなくても、
- 火災
- 台風
- 強風
- 落雷
- 雪
- 水濡れ
などによる被害が起きる可能性はあります。
もちろん、実際にどの事故が補償されるかは契約内容によって異なります。
重要なのは、
「誰も住んでいない=建物に事故が起こらない」わけではない
ということです。
修理費を自己負担できるかも考える
火災保険を解約した後に建物へ大きな被害が発生すれば、基本的には自分たちで対応することになります。
近いうちに解体する予定なのか、それとも今後数年間は建物を残す予定なのかでも判断は変わります。
「保険料を払いたくない」だけではなく、
無保険になった場合のリスクを負担できるか
まで考えて判断しましょう。
火災保険で何が補償されるか確認する
「火災保険」という名前から、火事だけを補償する保険だと思っている方もいるかもしれません。
しかし、契約内容によっては火災以外の事故も補償対象になっている場合があります。
たとえば、
- 風災
- 雪災
- 落雷
- 水災
- 水濡れ
- 盗難
などです。
ただし、すべての火災保険でこれらが補償されるわけではありません。
免責金額が設定されていたり、特定の補償を外して契約していたりすることもあります。
親がどの火災保険へ加入しているのか分からない場合は、保険証券や契約内容を確認してみましょう。
家財保険も一緒に確認する
親が施設へ入った後も、実家には大量の家財が残っていることがあります。
家具、家電、衣類、仏壇、思い出の品などです。
火災保険を確認するときは、建物だけでなく家財についてどのような契約になっているのかも見ておきましょう。
一方で、親が施設へ家財を移したり、実家の片付けを進めたりすれば、契約時とは状況が変わる可能性があります。
建物と家財の両方について保険会社へ確認すると安心です。
地震保険に入っている場合も確認する
親が地震保険へ加入している場合も、火災保険と一緒に契約内容を確認しておきましょう。
地震保険は火災保険とセットで契約する仕組みになっています。
そのため、火災保険の契約を変更・解約する場合には、地震保険についても確認が必要です。
「火災保険だけやめるつもりだった」ということがないよう、契約全体を確認しましょう。
火災保険を残していれば空き家管理は不要?
これは別の問題です。
火災保険に加入しているからといって、空き家を放置してよいわけではありません。
保険は空き家管理の代わりではありません。
実家を残すなら、
- 郵便物の回収
- 換気
- 通水
- 雨漏り確認
- 水漏れ確認
- 庭木・雑草
- 防犯
- 外壁や屋根の確認
などの管理も必要です。
特に事故や建物の異常を早期発見する意味でも、定期的な訪問は大切です。
【関連記事】親が施設に入って実家が空き家に|月1回やること・管理方法を解説
電気・ガス・水道を止めると火災保険はどうなる?
施設入居後は、公共料金の契約も整理することになります。
ただし、
「電気を止めたから空き家扱いになる」
「水道を残しているから居住中扱いになる」
など、家族だけで保険上の扱いを判断するのは避けましょう。
実際の建物の使用状況を保険会社へ説明して確認することが大切です。
また、電気や水道は空き家管理に必要になることがあります。
公共料金については別記事で詳しく解説しています。
【関連記事】施設入居後の実家の電気・ガス・水道は止める?残すものを解説
売却するなら火災保険はいつ解約する?
実家の売却が決まると、
「売買契約をしたら火災保険を解約していい?」
と迷うことがあります。
ここで注意したいのは、売買契約日と実際に物件を引き渡す日が同じとは限らないことです。
契約してから引渡しまで一定期間空くことがあります。
その間に災害などが起こる可能性もあります。
そのため、売却が決まったら自己判断で解約日を決めるのではなく、不動産会社と保険会社へ確認しながら手続きを進めると安心です。
火災保険の残り期間があれば返戻金がある場合も
長期契約の途中で火災保険を解約する場合、契約内容によっては未経過期間に応じた解約返戻金があることがあります。
ただし、
- 契約期間
- 支払方法
- 解約時期
- 保険会社
などによって扱いは異なります。
実家を売却したからといって、保険契約をそのまま忘れてしまわないよう注意しましょう。
売却時には保険会社へ連絡して、解約手続きと返戻金の有無を確認します。
実家を売るか決めていない場合はどうする?
親が施設へ入った直後は、
「まだ家へ戻るかもしれない」
「半年くらい様子を見たい」
というケースもあります。
その段階で実家を売却したり、火災保険を解約したりすることを急ぐ必要はありません。
まず現在の契約を空き家になった状態でも継続できるのか保険会社へ確認し、そのうえで実家の今後を考えていきましょう。
売却そのものについて迷っている場合はこちらで詳しく解説しています。
【関連記事】親が老人ホームに入ったら実家は売るべき?売らない方がいいケースも解説
火災保険だけでなく実家の維持費全体を見る
空き家を残すと、
- 固定資産税
- 火災保険
- 電気
- 水道
- 庭木や雑草の管理
- 修繕
- 空き家管理サービス
などの費用が発生します。
火災保険料だけを見て、
「高いから解約しよう」
と考えるより、実家全体で年間いくらかかっているのかを把握する方が重要です。
固定資産税についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
【関連記事】親が施設に入った後の実家の固定資産税はどうなる?誰が払う?
火災保険を確認するときのチェックリスト
親が施設へ入ったら、保険証券などを確認して次の項目を整理してみましょう。
- 保険会社はどこか
- 契約者は誰か
- 建物の所有者は誰か
- 保険期間はいつまでか
- 建物の補償内容
- 家財の補償内容
- 地震保険の有無
- 空き家になったことを連絡したか
- 現在の契約を継続できるか
- 売却予定がある場合はいつ解約するか
契約内容がよく分からなければ、保険証券を手元に置いて保険会社や代理店へ問い合わせると確認しやすくなります。
親が元気なうちに保険関係も確認しておく
実家の火災保険について、子どもが何も知らない家庭は珍しくありません。
「毎年どこかから引き落とされているはず」
という程度で、保険会社すら分からないこともあります。
親が元気なうちに、
- 火災保険会社
- 保険証券の保管場所
- 保険料の支払口座
- 地震保険の有無
- 実家の名義
くらいは確認しておくと、その後の手続きが楽になります。
これは火災保険だけでなく、施設入居後の実家管理全体にもいえることです。
よくある質問
Q. 親が老人ホームへ入ったら火災保険は解約した方がいい?
すぐ解約した方がよいとは限りません。
実家を残すのであれば、火災や台風などによって建物が被害を受ける可能性があります。
まず現在の契約を継続できるのか保険会社へ確認しましょう。
Q. 空き家になっても今の火災保険をそのまま使えますか?
保険会社や商品、建物の使用状況などによって異なります。
施設入居によって誰も住まなくなったことを伝え、現在の契約の扱いを確認することをおすすめします。
Q. 空き家であることを保険会社へ連絡した方がいい?
建物の使用状況が契約時から変わったのであれば、保険会社や代理店へ確認しておくのが安心です。
必要な手続きについて案内を受けましょう。
Q. 誰も住んでいないなら家財保険は不要?
家財が残っているかどうかや契約内容によって判断が変わります。
親の家具や家電などが大量に残っている場合もあるため、建物だけでなく家財の契約内容も確認しましょう。
Q. 実家を売却したら火災保険はいつ解約する?
売買契約をした日と引渡し日は異なることがあります。
不動産会社と保険会社へ確認し、適切なタイミングで解約手続きを行いましょう。
Q. 火災保険を解約するとお金は戻ってきますか?
契約内容や残りの保険期間などによっては、解約返戻金がある場合があります。
具体的な金額は保険会社へ確認してください。
Q. 空き家専用の火災保険はありますか?
空き家の状態などに対応した保険商品を取り扱っている保険会社もあります。
現在の契約を継続できない場合などは、保険会社や代理店へ空き家でも加入できる商品があるか相談してみるとよいでしょう。
まとめ|空き家になったら火災保険を勝手に解約せず確認する
以上、親が施設に入って空き家になった実家の火災保険はどうする?解約・継続の注意点というお話でした。
親が施設へ入居して実家が空き家になったからといって、火災保険をすぐ解約した方がよいとは限りません。
反対に、契約期間が残っているから何も連絡せずそのままでよいとも限りません。
まず、
実家が空き家になったことを保険会社や代理店へ伝え、現在の契約を継続できるか確認する
ことが大切です。
実家をしばらく残すのであれば、火災だけでなく台風や水漏れなどによる建物被害についても考える必要があります。
そして火災保険と一緒に、固定資産税、電気・水道、空き家管理などの維持費も確認しておきましょう。
実家を残す費用や管理負担が大きくなってきたら、その時点で売却・賃貸・土地活用など今後の選択肢を改めて検討していけばよいでしょう。
