
親が老人ホームなどの施設へ入り、実家を片付けることになったときに気になるのが費用です。
長年暮らした一軒家には想像以上の荷物があり、「自分たちだけでは無理かも」と感じることも少なくありません。
この記事では、実家の片付けにかかる費用の目安から、自分で片付ける場合と不用品回収業者へ依頼する場合の違い、費用を抑える方法まで解説します。
結論|実家の片付け費用は「家の広さ」より荷物量で大きく変わる
実家の片付け費用は、一律に「一軒家なら○万円」と決められるものではありません。
同じ3LDKや4LDKでも、荷物が少ない家と、押し入れや物置まで物でいっぱいの家では作業量がまったく違うからです。
おおまかなイメージとしては次のようになります。
| 間取り | 業者へ依頼する場合の費用目安 |
|---|---|
| 1K・1DK | 3万〜10万円程度 |
| 1LDK・2DK | 5万〜15万円程度 |
| 2LDK・3DK | 10万〜30万円程度 |
| 3LDK・4DK | 15万〜40万円程度 |
| 4LDK以上・一軒家 | 20万〜50万円以上になることも |
※上記はあくまで一般的な目安です。荷物量、作業人数、階段、トラックの駐車位置、処分品の種類、地域、依頼内容などで大きく変わります。
特に親が数十年暮らしていた一軒家では、
「思っていたより荷物が多かった」
ということが珍しくありません。
ただし、最初から家中の物をすべて業者へ処分してもらう必要もありません。
家族でできるところまで整理して、最後に大型家具や大量の不用品だけ業者へ依頼する。
これが費用と負担のバランスを取りやすい方法です。
実家の片付けにはどんな費用がかかる?
「実家の片付け費用」といっても、実際にはいくつかの費用が含まれています。
主なものを整理してみましょう。
不用品の処分費用
もっとも大きくなりやすいのが不用品の処分費用です。
実家には、
- タンス
- ベッド
- テーブル
- ソファ
- 布団
- 衣類
- 食器
- 本
- 家電
- 植木鉢
など、さまざまな物があります。
少量なら自治体の粗大ごみなどを利用できますが、一軒家を丸ごと片付けるとなると何度も搬出する必要があります。
搬出作業の費用
大きな家具を家から運び出すには人手が必要です。
特に、
「2階に大きなタンスがある」
「階段が狭い」
「家の前までトラックが入れない」
といった家では、作業量が増えやすくなります。
家電の処分費用
家電の中には、一般的な粗大ごみとして処分できないものがあります。
たとえば、
- エアコン
- テレビ
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
などは家電リサイクル法の対象です。
処分方法や必要な費用を確認しておきましょう。
ハウスクリーニング
家財を撤去した後に清掃まで依頼すると、別途費用がかかる場合があります。
ただし、実家を売却するからといって必ず専門業者によるハウスクリーニングが必要とは限りません。
売却予定なら、先に不動産会社へ相談してから決めてもよいでしょう。
一軒家の片付け費用が高くなりやすい理由
親が長期間住んでいた実家は、一般的な引っ越しとは状況が違います。
引っ越しなら必要な物を新居へ運びますが、施設入居後の実家整理では大量の物を「残す・捨てる・売る」に分けなければなりません。
押し入れや収納の中に大量の荷物がある
普段見えている家具だけで荷物量を判断すると、実際の作業時に驚くことがあります。
押し入れを開けると、
- 布団
- 衣類
- 贈答品
- 食器
- 古新聞
- 書類
などが大量に出てくることがあります。
さらに戸建てなら、
- 納戸
- 屋根裏
- 物置
- 床下収納
- 庭
などにも荷物が残っています。
大型家具が多い
昔の住宅では、大きな婚礼タンスや食器棚などが残っていることがあります。
家族だけでは搬出できず、業者へ依頼する必要が出てくることもあります。
分別に時間がかかる
実家整理で時間がかかるのは、物を運ぶ作業だけではありません。
「これは捨てていい?」
「これは親に確認しないと分からない」
という仕分けに時間がかかります。
そのため、業者へ依頼する前に家族で必要な物をある程度選別しておくだけでも、作業を進めやすくなります。
自分で片付ける場合はいくらかかる?
費用を最も抑えやすいのは、家族で片付ける方法です。
自治体の家庭ごみや粗大ごみとして処分できる物を少しずつ整理していけば、業者へ一軒丸ごと依頼するより費用を抑えられる可能性があります。
ただし、お金以外の負担も考える必要があります。
自分で片付けるメリット
- 処分費用を抑えやすい
- 親の物を一つずつ確認できる
- 必要な物を間違って処分しにくい
- 自分たちのペースで進められる
自分で片付けるデメリット
- 何日もかかる
- 大型家具を運べない
- 実家が遠いと交通費がかかる
- ごみの分別が大変
- 家族の体力的負担が大きい
特に遠方の実家の場合は、
交通費+高速代+ガソリン代+作業時間
まで含めて考えた方がよいでしょう。
「無料で自分たちで片付けているつもりだったけれど、何度も通ってかなり負担になった」ということもあります。
自治体の粗大ごみを使えば費用を抑えやすい
時間に余裕があるなら、自治体の粗大ごみ収集を活用すると費用を抑えやすくなります。
処分方法や料金は自治体によって異なりますが、不用品回収業者へまとめて依頼するより安く処分できるケースがあります。
ただし、
- 指定場所まで自分で運ぶ必要がある
- 収集日が決まっている
- 一度に出せる量に制限がある場合がある
- 処分できない品目がある
などの注意点があります。
施設入居後すぐに家を空にする必要がなく、数か月かけて片付けられるなら使いやすい方法です。
不用品回収業者へ依頼すると楽になるケース
家族だけで無理をするより、不用品回収業者などへ依頼した方が現実的なケースもあります。
特に、
- 実家が遠方
- 一軒家で荷物が非常に多い
- 大型家具が多い
- 家族が高齢
- 仕事があり片付ける時間がない
- 売却予定日が決まっている
という場合です。
一軒家を何度も往復して片付けるのは想像以上に大変です。
「自分たちで処分できる物だけ処分して、残った大型家具や不用品をまとめて依頼する」という使い方もできます。
実家の不用品が多く、自分たちだけでは難しそうな方へ
一軒家の片付けは、まず不用品回収の見積もりを取って「業者へ任せたらいくらになるのか」を確認してから、自分で片付ける範囲を決める方法もあります。
不用品回収業者と家財整理・遺品整理業者はどう違う?
施設入居後の実家整理では、「遺品整理業者」という言葉を見かけることがあります。
ただし、親が施設へ入っただけなら遺品整理ではありません。
親は存命なので、基本的には生前整理・家財整理・不用品整理になります。
不用品回収業者
不要になった家具や家電などを回収してもらいたい場合に向いています。
家族ですでに必要品を仕分けていて、
「この部屋にある物は全部不要」
という状態なら利用しやすいでしょう。
家財整理・生前整理を扱う業者
必要品と不要品の仕分けなどを含めて相談したい場合に向いています。
サービス内容は業者ごとに大きく異なるため、見積もり時にどこまで作業してもらえるのか確認しましょう。
不用品回収業者ならどこでもいいわけではない
不用品回収を依頼するときは、料金の安さだけで決めないことが重要です。
家庭から出る不用品の回収・処分には法令上のルールがあります。
「無料で何でも回収します」と巡回している業者などへ安易に依頼するのではなく、家庭の廃棄物を適正に扱える事業者なのか確認しましょう。
自治体によっては、一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ事業者や自治体から委託された事業者を案内していることもあります。
また、買取を行う場合には別のルールも関係します。
分からなければ、住んでいる自治体のホームページで家庭ごみ・粗大ごみ・不用品処分のルールを確認してから依頼すると安心です。
不用品回収の見積もりで確認したいこと
見積もりでは、総額だけを見るのではなく「何が含まれているのか」を確認します。
たとえば、
- 搬出費
- 車両費
- スタッフ追加費
- 階段作業
- 大型家具
- 家電
- 分別作業
- 清掃
- 駐車料金
- 追加料金の条件
などです。
「○万円から」という広告だけでは、実際の支払額が分かりません。
可能なら現地の荷物量を確認してもらい、追加料金が発生する条件まで確認したうえで見積もりを比較するとよいでしょう。
実家の荷物量は家によって大きく違うため、ネットで相場を見るだけでは実際の費用は分かりません。
特に大型家具や家電が多い場合は、処分を始める前に一度見積もりを取っておくと、
「家族でどこまで片付ければ費用を抑えられるか」
を考えやすくなります。
実家の片付け費用を安くする7つの方法
全部を業者任せにする前に、できることがあります。
1.食品や普通ごみは自分たちで処分する
冷蔵庫の食品や家庭ごみなど、自分たちで簡単に処分できるものまで業者任せにしない方法です。
施設入居直後から少しずつ進めておくと、最終的な荷物量を減らせます。
2.自治体の粗大ごみを利用する
自分で運べる家具などは、自治体の粗大ごみを利用すると費用を抑えやすくなります。
ただし、自治体ごとのルールを確認してください。
3.売れそうな物は買取を検討する
比較的新しい家電や家具、ブランド品、貴金属などは、買取できる可能性があります。
ただし、
「古い物=高く売れる」
とは限りません。
処分する前に価値がありそうな物だけ分けておく程度でよいでしょう。
4.家族で仕分けを済ませる
業者が来てから、
「これは残す」
「これは捨てる」
と一つずつ確認すると時間がかかります。
事前に、
残す・捨てる・判断保留
の3種類に分けておくと作業しやすくなります。
5.大型家具だけ業者へ任せる
小さな物は自分たちで処分し、タンス、ベッド、食器棚など運搬が難しい物だけ依頼する方法もあります。
無理に大型家具を運ぶとケガをする可能性があります。
6.複数の見積もりを比較する
同じ荷物量でも、業者によって料金体系やサービス内容が異なることがあります。
特に一軒家を丸ごと整理するような大きな依頼では、見積金額だけでなく作業内容も比較しましょう。
7.売却予定なら処分前に不動産会社へ相談する
これは意外と重要です。
実家を売却するなら、
「家を完全に空っぽにしなければ査定してもらえない」
とは限りません。
家財が残った状態でも相談できる場合があります。
高い費用をかけて全部処分してから査定を依頼するのではなく、不動産会社へ先に相談する方法もあります。
売れる物と捨てる物をどう分ける?
片付けをしていると、
「これ、売れるんじゃない?」
と思う物が大量に出てきます。
しかし、すべてをネットオークションやフリマアプリへ出品していると、いつまでたっても実家が片付きません。
そこで、
高価そうな物だけ査定
↓
比較的新しい家電などを確認
↓
それ以外は処分を優先
くらいに線引きすると進めやすくなります。
数百円で売るために撮影、出品、梱包、発送まで行う時間もコストです。
「最高額で売る」より「実家を無理なく片付ける」ことを目的にしましょう。
勝手に処分してはいけない物を先に確認する
費用を安くしようとして一気に不用品回収へ出す前に、親の大切な物が混ざっていないか確認します。
特に、
- 現金
- 通帳
- 印鑑
- 権利証・登記識別情報
- 保険証券
- 遺言書
- 貴金属
- 写真
- 手紙
- コレクション
などには注意してください。
親が存命なら、家財は基本的に親の所有物です。
「施設へ入ったから全部不要」と家族だけで判断しない方がよいでしょう。
【関連記事】施設入居後の実家の片付けはいつから?親の荷物を勝手に捨てていい?
親が認知症の場合は特に慎重に
親の判断能力が低下している場合、価値のある財産の処分については特に注意が必要です。
日常的なごみの整理と、高価な財産の処分を同じように考えない方がよいでしょう。
また、実家そのものを売却する場合には、家財処分とは別に不動産の名義や本人の意思能力なども問題になります。
【関連記事】施設に入った親の家を子どもが勝手に売れる?名義と認知症の注意点
一軒家を全部片付ける前に「実家をどうするか」を決める
実家の片付けでありがちなのが、
「とりあえず全部捨てよう」
から始めてしまうことです。
しかし、その前に、
- 親が戻る可能性はあるか
- しばらく空き家として残すか
- 家族が使うか
- 賃貸にするか
- 売却するか
- 建物を解体するか
を考えてみましょう。
今後の使い方によって、どこまで片付ける必要があるかも変わります。
親が施設へ入ったばかりなら、すぐ結論を出す必要はありません。
【関連記事】親が老人ホームに入ったら実家は売るべき?売らない方がいいケースも解説
実家を売却するなら片付け費用も含めて考える
実家を売るときは売却価格だけに目が行きがちですが、実際には片付けにもお金がかかります。
たとえば、
不用品処分+清掃+庭の手入れ
などです。
家が古ければ、修繕するべきか迷うこともあるでしょう。
しかし、売却前に必ずリフォームや大規模な片付けをした方が得とは限りません。
先に査定してもらい、
「この状態ならいくらくらいで売れそうか」
を把握してから、お金をかける場所を決める方法もあります。
片付けを先延ばしすると家族の負担が大きくなることも
施設入居直後に急いで全部処分する必要はありません。
一方、
「いつかやろう」
と何年も放置するのも考えものです。
家族自身も年齢を重ねます。
今なら運べる荷物も、5年後、10年後には難しくなるかもしれません。
さらに空き家を残している間は、
- 固定資産税
- 火災保険
- 電気・水道
- 庭の管理
- 建物の修繕
などの負担も続きます。
【関連記事】親が施設に入った後の実家の固定資産税はどうなる?誰が払う?
【関連記事】親が施設に入って空き家になった実家の火災保険はどうする?解約・継続の注意点
「自分たちで全部やる」が一番安いとは限らない
金額だけを考えれば、自分たちで処分する方が安くなるケースは多いでしょう。
しかし、
- 何度も実家へ通う
- 休日を何日も使う
- 大型家具を運ぶ
- 車を用意する
- 粗大ごみの日程を調整する
といった負担があります。
実家が近所なら自分たちで進めやすいですが、遠方なら話は変わります。
家族の時間や交通費まで考えて、
自分で処分するものと、業者へ任せるものを分ける
のがおすすめです。
「一軒家だから高そう」と思っていても、実際の料金は荷物量によって変わります。
まず見積もりだけ確認し、
自分で片付ける手間と業者へ任せる費用を比較してから決める
という方法もあります。
よくある質問
Q. 一軒家の実家を全部片付けるといくらかかりますか?
荷物量、間取り、作業条件などによって大きく異なります。
数十万円規模になるケースもあるため、一軒家丸ごとの片付けでは現地を確認してもらったうえで見積もりを取るのがおすすめです。
Q. 実家の片付けは自分でできますか?
荷物量が少なく時間に余裕があれば可能です。
普通ごみや粗大ごみを少しずつ処分し、大型家具だけ業者へ依頼する方法もあります。
Q. 不用品回収業者に家の中の物を全部持っていってもらえますか?
サービス内容は業者によって異なります。
回収できない品目や別料金になる物もあるため、見積もり時に確認してください。
Q. 不用品回収業者はどう選べばいい?
料金だけでなく、家庭から出る廃棄物を適正に扱える事業者か、見積もり内容が明確か、追加料金の条件が説明されているかなどを確認しましょう。
Q. 実家を売る前に家財を全部処分する必要がありますか?
必ずしも査定前にすべて処分する必要はありません。
家財が残っていても査定や相談ができる場合があります。
大量の家財を処分する前に、不動産会社へ相談してみるのも一つの方法です。
Q. 親が施設へ入ったらすぐ片付けた方がいい?
すぐ家を空にする必要はありません。
まず貴重品や重要書類、食品などを整理し、施設生活が落ち着いてから段階的に進める方法があります。
Q. 親の家財を子どもの判断で全部処分していい?
親が存命なら、本人が意思表示できる場合は確認しながら進めた方がよいでしょう。
高価な物や思い出の品などは特に慎重に扱います。
まとめ|実家の片付けは「全部自分」か「全部業者」の二択ではない
以上、実家の片付け費用はいくら?一軒家を空にする相場と安くする方法というお話でした。
親が長年暮らした一軒家には、想像以上の荷物が残っていることがあります。
すべて業者へ任せれば楽ですが、その分費用はかかります。
反対に、全部を家族だけで片付けようとすると、時間や体力の負担が大きくなることがあります。
そこでおすすめなのが、
普通ごみ・小さな不用品は家族で整理する
↓
自治体の粗大ごみを利用する
↓
大型家具や大量の不用品は業者へ依頼する
という使い分けです。
そして実家を売却する可能性があるなら、高い費用をかけて完全に空にする前に不動産会社へ相談してみましょう。
「片付けてから売る」だけでなく、「売却方法を決めてから必要な範囲だけ片付ける」という順番もあります。
実家の荷物が多く、家族だけではどこまでできるか分からない場合は、まず不用品回収の見積もりを取り、費用を確認してから判断するのも一つの方法です。