
親が老人ホームなどの施設へ入ると、それまで住んでいた実家が空くことがあります。
「どうせ空いているなら子どもが住んでもいい?」「親名義の家にタダで住むと贈与税がかかる?」と気になる方もいるでしょう。
結論からいうと、親が了承していて、所有権や住宅ローンなどに問題がなければ、親名義の実家に子どもが住むこと自体は一般に可能です。
ただし、家賃を払うのか、固定資産税や修繕費を誰が負担するのか、親の判断能力はあるのか、将来その家を売却する予定があるのかによって注意点が変わります。
この記事では、親が施設へ入った後の実家に子どもが住む場合について、家賃・贈与税・固定資産税・認知症・相続までわかりやすく解説します。
結論|親の了承があれば子どもが実家に住むこと自体はできる
親が施設へ入ったからといって、実家の所有権が子どもへ移るわけではありません。
親名義の家であれば、施設入居後も基本的には親の財産です。
そのため、子どもが住むなら、まず所有者である親の了承を得ておくことが大切です。
親が了承しており、住宅ローンや契約上の問題などがなければ、
- 子どもが一人で住む
- 子ども夫婦が住む
- 孫を含めた家族で住む
といったことは考えられます。
このとき、必ずしも家の名義を子どもへ変更する必要はありません。
つまり、
親名義のまま、子どもが住む
という形も可能です。
ただし、
「親の家だから家族なら自由に使っていい」
という考え方は避けた方がよいでしょう。
特に親が認知症などで意思確認できない場合や、兄弟姉妹がいる場合は、後からトラブルにならないよう慎重に考える必要があります。
【関連記事】親が施設に入った後の実家はどうする?空き家・売却・管理の選択肢を解説
親名義の実家に子どもが住む3つの方法
親の実家に子どもが住む場合、大きく分けると次のような方法があります。
親の許可を得て家賃なしで住む
最もシンプルなのが、親名義の家を無償で使わせてもらう方法です。
親子などの親族間では、
「家賃は取らず、自由に住んでいい」
というケースもあるでしょう。
このように対価を支払わず物を使用する関係は、民法上の「使用貸借」として整理されることがあります。
税務上でも、国税庁は親族間で土地を無償使用する使用貸借について、使用する権利の価額をゼロとして取り扱う例を示しています。
また、国税庁は別の制度説明の中で、親族へ家屋を無償で貸す場合を「使用貸借」として扱う例も示しています。
したがって、
親の家に家賃なしで住んだからといって、それだけで家そのものを子どもへ贈与したことになるわけではありません。
ただし、家賃相当額の扱いや、親子間でほかの財産移転も行っている場合など、具体的な事情によって税務判断が変わる可能性はあります。
高額な住宅や特殊な契約関係がある場合は、税務署や税理士へ確認すると安心です。
親へ家賃を払って住む
親子間でも、家賃を払って住む方法があります。
たとえば、
「周辺相場より安くても毎月一定額を親へ払う」
といった形です。
この場合は、無償の使用貸借ではなく、賃貸借として扱われる可能性があります。
家賃を払うなら、
- 月額家賃
- 支払日
- 修繕費の負担
- 固定資産税などの負担
- いつまで住むのか
を簡単でもよいので書面にしておくと、後から家族間で認識がずれにくくなります。
また、親が家賃収入を得ることになるため、金額やほかの所得状況によっては所得税の申告が関係する場合があります。
単に、
「親の生活費の足しになるから毎月5万円渡している」
というのか、
「実家の家賃として毎月5万円払っている」
のかでも意味は違います。
お金をやり取りする場合は、何のための支払いなのかを明確にしておきましょう。
子どもへ名義変更してから住む
もう一つは、親から子どもへ家の所有権を移してから住む方法です。
しかし、
住むためだけなら、名義変更まで必要とは限りません。
親から子どもへ生前に家を無償で移せば贈与となり、贈与税が関係する可能性があります。
さらに、
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 登記費用
なども考える必要があります。
そのため、
「どうせ将来相続するから今のうちに子ども名義にしてしまおう」
と簡単に考えるのはおすすめできません。
子どもが住むことと、所有権を子どもへ移すことは別の問題として考えましょう。
家賃なしで住んだら贈与税がかかる?
「親の家に無料で住むと、毎月の家賃分を贈与されたことになるのでは?」
と心配になる方もいるでしょう。
しかし、
無償で住んでいるというだけで、家の所有権そのものを贈与されたわけではありません。
国税庁は、親の土地を子どもが無償で使用する使用貸借では、その使用する権利の価額をゼロとして取り扱い、借地権相当額の贈与税は課税しないと説明しています。
ただし、これは「親の土地に子どもが家を建てた場合」の取扱いであり、親名義の家に子どもが住むすべてのケースをそのまま説明したものではありません。
そのためこの記事では、
「親の家に無料で住めば家賃相当額に必ず贈与税がかかる」と単純に考える必要はないものの、個別事情によって扱いが変わる可能性はある
という整理にしておきます。
特に、
- 子どもへ実質的に家を譲った状態になっている
- 高額なリフォーム費用を子どもが負担している
- 親子間で多額のお金をやり取りしている
といったケースは、単純な「無料で住んでいるだけ」とは分けて考えた方がよいでしょう。
親本人の了承はできるだけ取っておく
親が施設へ入っても、実家が親名義なら所有者は親です。
そのため、
「空いているから住んでしまおう」
ではなく、親本人が判断できる状態であれば、
- 子どもが住むこと
- 家賃を取るか
- 光熱費は誰が払うか
- 修繕費を誰が払うか
- 親が家へ戻る場合はどうするか
を確認しておきましょう。
口頭だけでも家族内では成立することがありますが、兄弟姉妹がいる場合は簡単な書面を残しておくと安心です。
たとえば、
「長男○○は、父○○の了承を得て令和○年○月から実家に無償で居住する」
程度でも、後から経緯を確認しやすくなります。
特に、
兄弟の一人だけが実家へ無償で住むケース
では、相続時に感情的な問題へ発展することがあります。
「兄だけ何年も家賃なしで住んでいた」
という不満が出ないよう、親が元気なうちに家族で共有しておくことが大切です。
親が認知症でも子どもが勝手に住んでいい?
ここは慎重に考えたいところです。
親が認知症などで判断能力が低下し、
「子どもが実家に住むことを了承しているのか」
を確認できない場合があります。
この状態で、
「どうせ将来相続する家だから」
と子どもの判断だけで自由に使うのは避けた方がよいでしょう。
親の家は、あくまで親の財産です。
特に、
- 他の兄弟姉妹が反対している
- 家賃を取る・取らないを決める
- 大規模なリフォームをする
- 家を第三者へ貸す
- 売却する
といった行為は、単に実家を見守る場合とは話が違います。
売却についても、親が施設へ入ったからという理由だけで、子どもが親名義の家を勝手に処分することはできません。
【関連記事】施設に入った親の家を子どもが勝手に売れる?名義と認知症の注意点
親本人の判断能力が十分でない場合は、必要に応じて司法書士や弁護士などへ相談することも検討しましょう。
子どもが住み始めても固定資産税は親にかかる?
親名義のまま子どもが住んだ場合、
「固定資産税も子ども名義になるの?」
と思うかもしれません。
固定資産税は、原則として毎年1月1日時点で固定資産課税台帳に所有者として登録されている人に課税されます。たとえば家が親名義なら、子どもが住み始めただけで固定資産税の納税義務者が自動的に子どもへ変わるわけではありません。
ただし家族内で、
「実際に住む子どもが固定資産税相当額を負担する」
という取り決めをすることは考えられます。
ここでも、
税務上の納税義務者と、家族内で実際に誰がお金を負担するかは別
と考えると分かりやすいです。
例えば、
- 納税通知書は親宛て
- 子どもが親へ固定資産税相当額を渡す
という形もあり得ます。
家賃なしで住む代わりに固定資産税や一定の維持費を子どもが負担するなら、その内容を家族で決めておくとよいでしょう。
電気・ガス・水道は住む子どもが負担するのが分かりやすい
子どもが実際に生活するのであれば、
- 電気
- ガス
- 水道
- インターネット
など日常的な生活費は、住む子どもが負担する形が分かりやすいでしょう。
契約者名義についても、今後長く住む予定なら子どもへ変更できるか各事業者へ確認します。
一方、
- 固定資産税
- 建物の大規模修繕
- 火災保険
などは、所有者である親との関係を整理する必要があります。
たとえば、
| 費用 | 考え方の例 |
|---|---|
| 電気・ガス・水道 | 実際に住む子どもが負担 |
| インターネット | 実際に利用する子どもが負担 |
| 固定資産税 | 納税義務者は原則として所有者の親 |
| 日常的な小修繕 | 親子で事前に決める |
| 屋根・外壁など大規模修繕 | 所有者である親と相談 |
| 火災保険 | 契約内容・居住状況を保険会社へ確認 |
特に火災保険は、
「親だけが住んでいた家」から「親は施設に入り、子どもが住む家」へ利用状況が変わる
ため、現在の契約内容で問題がないか保険会社や代理店へ確認しておくと安心です。
子どもがリフォーム代を出す場合は注意
親の実家へ住むことになれば、
「せっかくだからキッチンや浴室も全部直そう」
と考えることもあるでしょう。
しかし、親名義の家に子どもが多額のリフォーム費用を負担する場合は注意が必要です。
国税庁は、親名義の建物に子どもが増築した場合、増築部分は原則として親の所有物となり、親が対価を支払わなければ、親が子どもから利益を受けたものとして贈与税の対象になる取扱いを示しています。
そのため、
「自分が住む家だから自分のお金で1,000万円リフォームしても問題ない」
とは限りません。
雨漏りなどの小規模修繕と、増築や全面リノベーションは分けて考える必要があります。
高額なリフォームを予定しているなら、
- 誰が所有者か
- 誰が工事代を負担するか
- 親から返金を受けるのか
- 建物の持分を変更するのか
などを工事前に整理しましょう。
【関連記事】親が施設に入った後の実家修繕は誰が払う?子ども負担の贈与税・相続の注意点
子どもが実際に住めば「空き家」ではなくなる?
親が施設へ入った後、子どもが実家へ引っ越し、そこで日常生活を始めれば、少なくとも「誰も住んでいない家」という状態ではなくなります。
そのため、
- 定期的な換気ができる
- 水道を日常的に使う
- 郵便物が溜まりにくい
- 雨漏りや設備故障に気づきやすい
- 不審者の侵入などを防ぎやすい
といったメリットがあります。
実家を空き家のまま維持する場合と比べると、建物の異常を早く発見しやすくなるでしょう。
ただし、
「住民票を置いた=実際に住んでいる」
とは限りません。
たとえば住民票だけ実家へ移し、普段は別の自宅で生活しているような場合です。
税制上の居住用財産などでは、単なる住民票の所在地だけでなく、実際の利用状況が問題になることがあります。
したがって、税金対策だけを目的として形式的に住所を移すような考え方は避けた方がよいでしょう。
子どもが実家を生活の本拠にするなら住民票も確認する
現在の自宅から親の実家へ実際に引っ越し、そこを生活の本拠とするのであれば、住民異動の手続きも必要になります。
別の市区町村へ引っ越す場合は転出・転入、同じ市区町村内なら転居の手続きをします。
デジタル庁では、転入届について実際に転入した日から14日以内に手続きするよう案内しています。
また、住所変更に伴って、
- マイナンバーカード
- 運転免許証
- 健康保険関係
- 勤務先
- 金融機関
- 自動車関係
などの住所変更が必要になる場合があります。
一方、
「週末だけ実家へ泊まりに行く」
「親の家を管理するために時々使う」
程度であれば、必ずしも生活の本拠が実家へ移ったとは限りません。
単に家を管理する場合と、本当にそこへ引っ越して生活する場合は分けて考えましょう。
兄弟の一人だけが実家へ住む場合は家族で話しておく
親の実家へ住むこと自体よりも、後から問題になりやすいのが兄弟姉妹との関係です。
たとえば、父親が施設へ入った後、長男だけが実家へ無償で住み始めたケースを考えてみましょう。
親が元気な間は問題がなくても、将来相続が発生したときに、
「兄だけ10年間家賃なしで住んでいた」
「修繕費は誰が払ったの?」
「兄が住み続けるなら家をどう分けるの?」
といった話になることがあります。
だからといって、無償で住んだ期間がそのまま相続分から自動的に差し引かれる、という単純な話ではありません。
相続時の評価や遺産分割は個別事情によって変わります。
重要なのは、
後で初めて兄弟が知る状態にしないこと
です。
親本人が了承しているなら、
- 誰が住むのか
- いつから住むのか
- 家賃は取らないのか
- 固定資産税を誰が負担するのか
- 修繕費を誰が負担するのか
- 親が戻る場合はどうするのか
を家族で共有しておくとよいでしょう。
親が自宅へ戻ることになったらどうする?
施設へ入った時点では、
「もう自宅へ戻ることはないだろう」
と思っていても、状況が変わる可能性はあります。
たとえば、
- 短期入所だった
- 体調が改善した
- 本人が強く自宅生活を希望した
- 在宅介護へ切り替えることになった
といったケースです。
子どもが実家へ住むのであれば、
親が戻る場合には退去できるのか
も事前に考えておいた方がよいでしょう。
特に子どもが、
- 数百万円かけてリフォームした
- 子どもを転校させた
- 自宅を売却して引っ越した
となると、簡単には元の生活へ戻れません。
「家が空いているから、とりあえず住む」という判断だけでなく、親の今後の生活も含めて考える必要があります。
最大の注意点|子どもが住むと相続空き家の3,000万円控除が使えなくなる可能性
税金面で特に注意したいのが、親が亡くなった後に実家を売却する場合です。
一定の要件を満たす古い実家には、
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の3,000万円特別控除
という制度があります。
これは、相続した一定の空き家などを売却した場合に、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。
2026年4月1日現在の制度では、2027年12月31日までの一定の売却が対象とされています。
また、2024年1月1日以後の売却で相続人が3人以上いる場合は、1人当たりの控除上限が2,000万円となります。
ただし、誰でも使えるわけではありません。
対象となる家屋については、
- 1981年5月31日以前に建築されたこと
- 区分所有建物ではないこと
- 一定の売却要件を満たすこと
など、複数の条件があります。
老人ホームへ入った親の家も対象になる場合がある
本来、この特例は親が亡くなる直前まで住んでいた家が基本です。
しかし、親が要介護認定などを受けて一定の老人ホーム等へ入っていた場合には、条件を満たせば、施設入居前に住んでいた実家も対象になることがあります。
ここまでは、
「親が施設へ入った後も特例を使える可能性がある」
という話です。
しかし、子どもが実家へ住む場合は非常に重要な問題があります。
子どもが住むと要件を満たさなくなる可能性がある
国税庁は、親が老人ホーム等へ入ったケースで特例を利用するための条件として、親が実家を離れてから相続開始直前まで、
その家を事業用、貸付用、または親以外の人の居住用に使用していないこと
を求めています。
つまり、
親が老人ホームへ入る
↓
空いた実家に子ども一家が住む
↓
その後、親が亡くなる
↓
子どもが実家を相続して売却する
というケースでは、
親以外の人である子どもが居住用に使っていたため、この「相続空き家の3,000万円特別控除」の要件を満たさなくなる可能性があります。
ここは、親が施設へ入った後の実家に住む前に知っておきたい重要なポイントです。
「子どもが住んだら絶対3,000万円損する」わけではない
ここも誤解しないようにしましょう。
「3,000万円控除」という名前を見ると、
子どもが住めば3,000万円損する
と思うかもしれません。
そういう意味ではありません。
これは売却価格から3,000万円をもらえる制度ではなく、一定の譲渡所得から控除する制度です。
そもそも、
- 売却益がほとんど出ない
- 対象となる家屋ではない
- 売却要件を満たさない
などの場合は、もともとこの特例を使わないこともあります。
また、1981年6月以降に建築された家など、最初からこの「相続空き家特例」の対象家屋に該当しないケースもあります。
したがって、
特例を失うから絶対に子どもは住んではいけない
という話ではありません。
重要なのは、
将来実家を相続して売却する予定があり、この特例を利用できそうな家なのか
を確認してから決めることです。
親本人が生きている間に売る場合は別の3,000万円控除もある
さらにややこしいのですが、「3,000万円控除」には別の制度があります。
親本人が自分のマイホームを売却する場合に使える、
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除
です。
国税庁では、以前住んでいた家についても、住まなくなってから一定期間内に売却するなどの要件を満たせば対象になる場合があるとしています。
これは、
親が亡くなった後に相続人が使う「相続空き家の3,000万円控除」とは別制度
です。
さらに、転勤や転地療養など一定の事情で所有者本人が離れていても、配偶者や子どもだけが住んでいる家について、通常のマイホーム3,000万円控除が認められるケースもあります。
ただし、施設入居の事情や戻る見込みなどによって個別判断が必要です。
そのため、
「子どもが住むと3,000万円控除が全部使えなくなる」
と一括りにするのではなく、
- 親が生前に売るのか
- 親の死亡後に相続人が売るのか
- どの特例を想定しているのか
を分けて考える必要があります。
子どもが住む前に家族で決めておきたい7項目
親の施設入居後に実家へ住むなら、引っ越す前に次の7点を確認しておくとよいでしょう。
- 親本人が子どもの居住を了承しているか
- 家賃を払うのか、無償で住むのか
- 電気・ガス・水道などを誰が払うか
- 固定資産税を実質的に誰が負担するか
- 修繕費やリフォーム費を誰が負担するか
- 親が自宅へ戻る場合どうするか
- 将来、相続・売却する場合どうするか
さらに、兄弟姉妹がいるなら、
「○○が無償で住むことを家族も把握している」
という状態にしておくことをおすすめします。
特に、高額なリフォームをしてから話し合うのではなく、工事をする前に費用負担と将来の扱いを決めることが重要です。
【関連記事】親が施設に入った後の実家修繕は誰が払う?子ども負担の贈与税・相続の注意点
親の実家に住むメリットもある
ここまで注意点を多く説明しましたが、子どもが住むことにはメリットもあります。
たとえば、
- 空き家管理の手間を減らせる
- 家賃負担を抑えられる場合がある
- 建物の異常を早く発見できる
- 防犯面で安心しやすい
- 思い入れのある実家を残せる
といった点です。
親にとっても、
「空き家にしておくより子どもが使ってくれた方が安心」
と考えることがあります。
重要なのは、
住めるかどうかだけでなく、住んだ後に起こることまで考えて決めること
です。
こんな場合は住む前に専門家へ相談した方がいい
次のような場合は、単純な親子間の無償使用として判断せず、専門家へ確認することをおすすめします。
- 親が認知症などで意思確認できない
- 数百万円以上の大規模リフォームをする
- 親子間で家賃を支払う
- 生前贈与で名義変更を検討している
- 兄弟間で実家の利用について意見が分かれている
- 近いうちに実家を売却する予定
- 相続空き家の3,000万円控除を利用できそうな家
税金なら税理士、登記や名義変更なら司法書士、成年後見や家族間の権利問題なら司法書士・弁護士など、内容に合わせて相談先を選びましょう。
親の施設入居後に子どもが住む場合のよくある質問
Q. 親が老人ホームに入った後、子どもが実家に住んでもいいですか?
親本人が了承しており、住宅ローンや契約などに問題がなければ、親名義のまま子どもが住むこと自体は一般に可能です。
住むためだけに家の名義を子どもへ変更する必要があるとは限りません。
Q. 家賃なしで親の家に住むと贈与税がかかりますか?
無償で住んだだけで、家そのものを贈与されたことになるわけではありません。
親族間の無償使用は使用貸借として整理されることがあります。
ただし、多額のリフォーム費用を子どもが負担するなど、単純な無償居住とは異なる事情がある場合は注意が必要です。
Q. 親の家に住むなら住民票を移した方がいいですか?
実際に引っ越し、その実家を生活の本拠とするのであれば、住民異動の手続きが必要です。
別の市区町村へ転入する場合は、転入日から14日以内に転入届を提出する必要があります。
Q. 親名義の実家の固定資産税は誰が払いますか?
固定資産税の納税義務者は、原則として毎年1月1日時点の所有者です。
親名義なら、子どもが住んだだけで納税義務者が自動的に子どもへ変わるわけではありません。
ただし、家族内で子どもが税額相当分を負担する取り決めをすることは考えられます。
Q. 子どもが実家のリフォーム代を払っても大丈夫ですか?
小規模な修繕と、高額な増築・リフォームでは分けて考えた方がよいでしょう。
国税庁は、親名義の建物に子どもが増築し、親が対価を支払わない場合、親が子どもから利益を受けたとして贈与税が問題になる取扱いを示しています。
大規模な工事は契約前に税務上の扱いを確認することをおすすめします。
Q. 親が認知症でも子どもが実家に住めますか?
親本人が居住を了承できる状態なのかが重要です。
本人の意思確認が難しい場合、「将来自分が相続するから」という理由だけで自由に使用・改修・売却できるわけではありません。
【関連記事】施設に入った親の家を子どもが勝手に売れる?名義と認知症の注意点
Q. 子どもが実家に住むと、相続時に不利になりますか?
一概にはいえません。
ただし、税金面では注意点があります。
親が老人ホームへ入った後の実家について、将来「相続空き家の3,000万円特別控除」を利用する場合、親が実家を離れてから相続直前まで、親以外の人の居住用に使われていないことなどが要件です。
そのため、子どもが住むことでこの特例を利用できなくなる場合があります。
Q. 兄弟の一人だけが無料で住んでもいいですか?
親が了承していれば考えられますが、後の相続でトラブルになる可能性があります。
家賃の有無、修繕費、固定資産税、退去条件などを親本人と兄弟姉妹で共有しておくとよいでしょう。
まとめ|親の家には住めるが、相続・税金まで確認して決める
以上、親が施設に入った後、子どもは実家に住めるのかというお話でした。
親本人が了承しており、権利関係や契約上の問題がなければ、親名義の実家へ子どもが住むこと自体は一般に可能です。
家賃なしで住む場合も、単に無償で住んだからという理由だけで、家そのものを贈与されたことになるわけではありません。
ただし、住み始める前には、
- 親本人の了承
- 家賃の有無
- 固定資産税や光熱費
- 修繕・リフォーム費
- 親が自宅へ戻る場合
- 兄弟姉妹との関係
- 将来の相続・売却
まで確認しておくことが大切です。
特に注意したいのが、親が老人ホームなどへ入った後の実家に子どもが住むことで、将来の**「相続空き家の3,000万円特別控除」**の要件を満たさなくなる可能性があることです。
「実家が空いているから無料で住めて得」
という点だけで判断せず、
この家を将来どうする予定なのか
まで考えてから決めましょう。
すぐに売る予定がなく、子どもが長期間住むのであれば、それも実家活用のひとつです。
反対に、将来売却する可能性が高いなら、子どもが住む前に税制への影響も確認しておくと安心です。