
「トランクルームって、実際にはどんな人が借りるの?」と疑問に思う土地オーナーも多いでしょう。
実際の利用目的を見ると、引っ越しや自宅の片付けだけでなく、季節用品、仕事道具、趣味用品など幅広く使われています。
この記事では、20年以上トランクルームの現場を見てきた経験も交えながら、どんな人が何のために借りているのか、その需要の実態を紹介します。
トランクルームを借りる人はどんな人?
結論からいうと、トランクルームを利用するのは特定の年代や属性の人だけではありません。
以前は「収納が足りない家庭が借りる場所」というイメージもありましたが、現在は利用目的がかなり広がっています。
たとえば、次のような人です。
- 引っ越しや建て替えで一時的に荷物を預けたい人
- 自宅の収納スペースが足りない家庭
- 季節用品を家の外へ出したい人
- 仕事道具や在庫を保管したい個人事業主
- キャンプ用品やスポーツ用品など趣味の物が多い人
- 実家や自宅を片付けている途中の人
- すぐには捨てられない家財や思い出の品を保管したい人
トランクルーム検索サイト「eトランク」が2026年1~6月の問い合わせを集計したデータでも、「引っ越し」「季節用品」「仕事道具」などが主な利用目的となっています。
つまり、「主婦が中心」「仕事で使う男性が中心」と単純に分けられるサービスではなく、生活や仕事の中で一時的または継続的に収納場所が必要になった人が利用するサービスと考えた方が実態に近いでしょう。
出典:eトランク|トランクルーム集客にWEBが欠かせない理由
トランクルームを借りる主な理由
トランクルームを借りる理由は、「家に物が入りきらないから」だけではありません。
実際には、生活環境の変化や仕事、趣味など、さまざまなタイミングで収納スペースが必要になります。
引っ越し・建て替え・リフォーム中の一時保管
利用目的として目立つのが、引っ越しに伴う一時保管です。
たとえば、
- 新居へすぐ入居できない
- 退去日と入居日が合わない
- 建て替え中に仮住まいする
- リフォームする部屋から家具を移動したい
といったケースです。
家具や段ボールを短期間だけ置く場所が必要な場合、自宅以外の収納スペースとしてトランクルームが使われます。
eトランクの2026年上半期の問い合わせデータでも、引っ越しは主要な利用目的の一つとなっています。
このような需要は永続的なものではありませんが、転勤や住み替え、住宅購入などに伴って継続的に発生する需要と考えられます。
季節用品や衣類を自宅から出したい
私がこれまで現場を見てきた中でも、家庭で使う季節用品を収納しているケースはよくあります。
たとえば、
- 冬物・夏物の衣類
- 布団
- 扇風機
- 暖房器具
- クリスマスツリー
- ひな人形・五月人形
- スキー・スノーボード用品
などです。
こうした物は1年のうち数か月しか使わなくても、自宅に置けば収納スペースを占領します。
特に収納が少ないマンションや比較的コンパクトな住宅では、「年に何度かしか使わない物を家の外へ出したい」というニーズが生まれやすくなります。
トランクルームは、家そのものを広くするわけではありません。
しかし、自宅から使用頻度の低い物を移動させることで、実質的に使える居住スペースを増やせることが利用理由の一つです。
仕事道具や在庫を保管したい
一般家庭だけでなく、仕事目的でトランクルームを利用する人もいます。
具体的には、
- 工具
- 建築・工事関係の道具
- イベント用品
- 販促物
- 書類
- ネット販売の商品在庫
- 店舗で使わない備品
などです。
2026年上半期のeトランクの問い合わせでも、「仕事道具」は主要な利用目的の一つとなっています。
個人事業主や小規模事業者の場合、大きな倉庫を借りるほどではないものの、自宅や事務所には置き切れない荷物が発生することがあります。
こうした「住宅でも本格的な倉庫でもない中間的な収納ニーズ」も、トランクルーム需要の一つです。
趣味用品を置きたい
趣味の物は、必要性だけで考えると処分できそうでも、本人にとっては簡単に捨てられないものです。
たとえば、
- キャンプ用品
- 釣り道具
- ゴルフ用品
- スポーツ用品
- コレクション
- DIY用品
- アウトドア用品
などがあります。
これらは季節によって使う頻度が変わるうえ、収納すると意外に場所を取ります。
家族から「家の中に置かないでほしい」と言われても、本人としては手放したくない。
そのような場合に、自宅以外の保管場所としてトランクルームが選ばれることがあります。
トランクルームには実際に何を入れている?
利用目的を整理すると、収納される物は次のようになります。
| 利用目的 | 主な収納物 |
|---|---|
| 引っ越し・リフォーム | 家具、家電、段ボール、日用品 |
| 季節用品 | 衣類、布団、扇風機、暖房器具 |
| 行事用品 | ひな人形、五月人形、クリスマス用品 |
| 仕事 | 工具、資材、書類、在庫、販促物 |
| 趣味 | キャンプ用品、釣具、スポーツ用品 |
| 自宅整理 | 家具、家財、思い出の品 |
| 実家整理 | 親の家財、写真、処分を迷っている物 |
このように見ると、トランクルームは「不要品を置く場所」というより、今は使わないけれど、まだ手放したくない物を自宅の外へ移す場所として使われていることが分かります。
もちろん利用目的や荷物量は人によって大きく異なります。
そのため、土地オーナーがトランクルーム経営を検討するときも、「何室作れるか」だけではなく、その地域でどのような物を保管したい人がいるのかを考えることが重要です。
現場では「スペースをいっぱい使わない人」もいる
私が20年以上トランクルームの現場を見てきた中で興味深く感じるのが、借りた区画を必ずしも荷物でいっぱいにしている人ばかりではないことです。
2畳程度のスペースを借りていても、衣装ケースやスーツケースなどが置かれているだけで、かなり余裕が残っているケースもあります。
一見すると、
「もっと小さい部屋でもいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、利用者にとって重要なのは、収納効率だけではないのでしょう。
- 荷物を取り出しやすくしたい
- 今後荷物が増えても対応できるようにしたい
- 家の中から物がなくなればそれで満足
- 荷物を処分するかどうか考える時間がほしい
など、スペースに余裕を持って借りる理由はいくつも考えられます。
トランクルームは、必ずしも床面積を限界まで使うために借りられているわけではありません。
「家から物を出してスッキリしたい」ということ自体に価値を感じている利用者もいると考えられます。
「捨てたくないけれど家には置きたくない」という需要もある
トランクルーム需要を考えるうえで無視できないのが、「捨てる決断をまだしたくない」という心理です。
家の中を片付けていると、
「何年も使っていないけれど捨てられない」
という物が出てきます。
たとえば、
- 子どもが小さかった頃の思い出の品
- 親から受け継いだ物
- 高価だった家具や家電
- 趣味で集めた物
- 写真やアルバム
- 将来使うかもしれない物
などです。
処分すれば収納問題は解決しますが、人はすべての物を合理的に処分できるわけではありません。
そこで、
「とりあえず家からは出したい。でも、今はまだ捨てたくない」
というときに、トランクルームが一時的な置き場所になります。
ただし、こうした利用者がいるからといって、どの地域でもトランクルーム需要が十分にあるとは限りません。
実際の需要は、周辺世帯数や住宅の収納事情、競合施設、料金、アクセスなどによって変わります。
【関連記事】その土地NG!トランクルーム経営に向いている立地等の条件
親が施設に入った後の実家整理でも使われることがある
トランクルームは、引っ越しや自宅収納だけでなく、親が施設へ入った後の実家整理で使われることもあります。
親が老人ホームなどへ入ると、それまで暮らしていた家には大量の家財が残ります。
しかし、施設へ入ったからといって、すぐにすべてを処分できるとは限りません。
たとえば、
- 親本人に処分してよいか確認したい物
- 写真やアルバムなど思い出の品
- 親族で相談してから処分したい物
- 将来使う可能性がある家具や家財
- 相続との関係で勝手に処分しにくい物
などがあります。
こうした家財を一時的に保管する場所として、トランクルームを使う方法もあります。
特に、実家を売却したり賃貸に出したりするために家の中を空ける必要があるものの、「今すぐ処分するか決められない」という場合には、一時保管先として選択肢になります。
ただし、何でもトランクルームへ移せばよいわけではありません。
月額利用料が発生するため、数年間保管し続ければ、その分だけ費用が積み重なります。
まずは、
- 残す物
- 処分する物
- 親や家族に確認する物
- 一時保管する物
に分け、そのうえで本当に保管が必要な物だけを移す方がよいでしょう。
親が施設へ入った後の実家については、家財だけでなく、空き家として管理するのか、売却するのか、将来戻る可能性を考えて残すのかまで含めて判断する必要があります。
【関連記事】親が施設に入った後の実家はどうする?空き家・売却・管理の選択肢を解説
トランクルーム需要がある=どこでも経営できるわけではない
ここまで見てきたように、トランクルームにはさまざまな利用目的があります。
ただし、
「収納に困っている人がいる」
=
「自分の土地にトランクルームを作れば埋まる」
という意味ではありません。
土地活用として考える場合は、利用者が実際にその場所まで荷物を運んで借りてくれるかを見る必要があります。
トランクルーム経営では、特に次のような条件が重要です。
- 周辺に住宅や世帯があるか
- 近くに競合トランクルームがどれくらいあるか
- 車で出入りしやすいか
- 荷物を搬入しやすいか
- 料金が周辺相場とかけ離れていないか
- 必要とされる収納サイズを用意できるか
- 道路から施設を認知してもらいやすいか
たとえば住宅がほとんどない地域に、家庭向けの小型収納室を大量に作っても、十分な需要が得られない可能性があります。
一方で、住宅が多くても競合施設が多すぎれば、価格競争になったり、稼働率が上がりにくくなったりすることがあります。
トランクルーム経営では、「人が住んでいるか」だけでなく、「その地域で収納サービスがどれくらい求められているか」を見る必要があります。
【関連記事】その土地NG!トランクルーム経営に向いている立地等の条件
土地オーナーは「利用者像」から部屋サイズを考える
トランクルームを計画するときは、単純にできるだけ多くの部屋を作ればよいわけではありません。
利用者が何を収納するのかによって、必要な広さは変わります。
たとえば、
衣類・季節用品が中心の地域
衣装ケースや布団、季節家電などであれば、比較的小さな収納室でも利用しやすいでしょう。
一人暮らしやマンション居住者が多い地域では、小型区画の需要を検討する余地があります。
家具・家電を置く利用者が多い地域
引っ越しやリフォーム時の一時保管では、家具や家電を入れられる広めのスペースが必要になります。
この場合、室内の広さだけでなく、車を近くに停められるか、荷物を搬入しやすいかも重要です。
仕事道具を置く利用者が多い地域
職人や個人事業主などの利用が見込める地域では、工具や資材などを頻繁に出し入れする可能性があります。
車を横付けしやすいことや、朝夕でも出入りしやすいことが利用しやすさにつながる場合があります。
つまり、
「何坪の土地があるか」から考えるだけでなく、「誰が何を入れる施設なのか」から逆算することが大切です。
20坪程度の土地でも検討できる?
自宅の横や土地の一角など、20坪程度しか余っていないケースもあります。
20坪は約66㎡なので、大規模なトランクルームには向きません。
それでも、土地の形状や道路条件、建築・設置方法などによっては、小規模なトランクルームとして検討できる場合があります。
ただし、20坪全部を収納室にできるわけではありません。
実際には、
- 通路
- 車両スペース
- 出入口
- 搬入スペース
- 壁や設備
- 法令上必要となる空間
なども考える必要があります。
さらに、室数が少ない小規模施設では、1室の空室による影響が大きくなります。
たとえば10室しかなければ、1室空くだけで稼働率は10ポイント下がります。
そのため、小さな土地ほど「満室になればいくら」という計算ではなく、ある程度空室があっても採算が合うかを確認することが重要です。
【関連記事】20坪でトランクルーム経営はできる?初期費用・収入と自宅横で始める注意点
トランクルームは長期利用になることもある
トランクルームには、引っ越しのような短期間の利用だけでなく、長期利用になるケースもあります。
たとえば、
- 季節用品を毎年保管する
- 仕事道具を継続して置く
- 趣味用品を家に戻す予定がない
- 自宅の収納不足を補う目的で使う
といった場合です。
一度、自宅から荷物を移して生活スペースが広くなると、その状態を維持したいと考える人もいます。
私が現場を見てきた中でも、長期間利用を続けている契約者は珍しくありません。
ただし、
「長期利用者がいるから収益が安定する」
と単純に考えるのは危険です。
新規契約が入るか、既存利用者が解約するかは立地や料金、競合、施設の使いやすさなどによって変わります。
また、トランクルームでも、
- 鍵や扉の修理
- 防犯設備の維持
- 照明設備
- 清掃
- 外壁や屋根
- 看板
- 舗装
などの維持管理費がかかる場合があります。
住宅賃貸と比べれば、浴室・キッチン・トイレなどの住宅設備がない分、原状回復や設備交換の内容は異なりますが、「ほとんど維持費がかからない土地活用」と考えるのは避けた方がよいでしょう。
トランクルーム経営は「需要」と「収支」を分けて考える
トランクルームを借りる人がいることと、その土地で経営が成立することは別問題です。
経営を検討するときは、
需要があるか
と
採算が合うか
を分けて考えます。
収益は基本的に、
賃料 × 室数 × 稼働率
で決まります。
たとえば、利用者が多そうな地域でも、建築費や設備費をかけすぎれば投資回収に時間がかかります。
逆に、初期費用を抑えても、ほとんど利用者が集まらなければ収益は伸びません。
特に注意したいのが、最初から100%稼働を前提にした計画です。
実際にはオープン直後から満室になるとは限りません。
そのため、
- 稼働率50%ならどうなるか
- 70%なら返済できるか
- 80%ならどれくらい手元に残るか
など、複数のケースで収支を見る必要があります。
【関連記事】トランクルーム経営は儲かる?20年見てわかった収益・利回りと失敗する土地
トランクルームを借りる人についてよくある質問
Q. トランクルームを借りるのはどんな人ですか?
引っ越しやリフォームで一時的に荷物を預けたい人、自宅収納が足りない人、季節用品や趣味用品を保管したい人、仕事道具を置きたい人などさまざまです。
「主婦」「男性」「高齢者」など特定の属性だけが利用するサービスではなく、生活や仕事の中で収納スペースが必要になった人が利用すると考えた方がよいでしょう。
Q. トランクルームには何を入れる人が多いですか?
衣類、布団、季節家電、家具、段ボール、仕事道具、趣味用品などがあります。
何を入れるかは利用目的によって大きく異なります。
引っ越しなら家具や家電、家庭での収納不足なら衣類や布団、仕事目的なら工具や書類などが中心になります。
Q. 主婦やファミリーの利用は多いですか?
家庭の収納不足を補う目的で利用するケースはあります。
特に衣類や布団、季節用品、子どもの物など、家庭内で場所を取る荷物の保管には使いやすいでしょう。
ただし、現在の利用者は家庭利用だけではなく、仕事、引っ越し、趣味など幅広いため、「主婦が中心」と一括りにはできません。
Q. 地方でもトランクルーム需要はありますか?
地方でも需要が見込める地域はあります。
ただし、「地方でも必ず需要がある」という意味ではありません。
周辺の世帯数、住宅事情、競合、車でのアクセス、料金などによって利用状況は大きく変わります。
土地活用として検討するなら、実際の商圏を調べることが重要です。
Q. トランクルームはどれくらいの期間借りる人が多いですか?
利用期間は目的によって異なります。
引っ越しやリフォームなら比較的短期間になることがありますが、季節用品や趣味用品、仕事道具、自宅収納の補完などでは長期利用になるケースもあります。
そのため、すべての利用者が短期、あるいは長期というわけではありません。
Q. 親が施設に入った後の実家整理で利用してもいいですか?
一時保管先として利用することはできます。
ただし、すべての家財を移すのではなく、残す物・処分する物・家族で確認する物などを先に分けることをおすすめします。
月額料金がかかるため、処分を先送りするだけになると、長期間利用料を支払い続けることにもなります。
まとめ|トランクルームを借りる人は想像以上に幅広い
以上、トランクルームを借りる人はどんな人なのか、利用目的・収納する物・需要の実態というお話でした。
トランクルームを利用するのは、自宅収納に困っている家庭だけではありません。
引っ越し、リフォーム、仕事、趣味、実家整理など、利用する理由はさまざまです。
共通しているのは、
「今は使わないけれど、まだ置いておきたい」
「家や事務所には置き切れない」
「一時的に別の場所へ移したい」
という収納ニーズです。
土地オーナーにとっては、こうした利用者像を知ることで、その地域にどのような収納需要がありそうかを考えるヒントになります。
ただし、収納ニーズが存在するからといって、どの土地でもトランクルーム経営が成立するわけではありません。
周辺住宅、競合施設、アクセス、料金、初期投資、稼働率などを確認したうえで、「その土地に合った土地活用なのか」を判断することが大切です。