
親が老人ホームへ入居すると、「これでひと安心」と思う一方で、家族側にはまだいくつかやることが残っています。
住所変更や郵便物、公共料金、介護保険関係など、入居後だからこそ進められる手続きも少なくありません。
この記事では、老人ホームへ入居した直後に家族が確認しておきたいことを15項目に整理します。
老人ホーム入居直後にやること15選【一覧】
まずは、入居後に確認したいことを一覧で見ておきましょう。
| やること | 緊急度 | 主な確認先 |
|---|---|---|
| ①施設との連絡方法を確認 | 高 | 老人ホーム |
| ②持ち物・不足品を確認 | 高 | 老人ホーム |
| ③薬・通院方法を確認 | 高 | 老人ホーム・医療機関 |
| ④住所変更の必要性を確認 | 高 | 市区町村 |
| ⑤介護保険関係を確認 | 高 | 市区町村・施設 |
| ⑥健康保険関係を確認 | 高 | 市区町村など |
| ⑦郵便物の転送を検討 | 中 | 郵便局 |
| ⑧電気・ガス・水道を整理 | 中 | 各事業者 |
| ⑨固定電話・インターネットを整理 | 中 | 各事業者 |
| ⑩新聞・宅配サービスを止める | 中 | 各事業者 |
| ⑪銀行・クレジットカードを確認 | 中 | 金融機関等 |
| ⑫家の火災保険を確認 | 中 | 保険会社 |
| ⑬実家の防犯・郵便受けを確認 | 高 | 家族 |
| ⑭貴重品・重要書類を整理 | 高 | 家族 |
| ⑮実家を今後どうするか家族で話す | 中 | 家族 |
全部を入居当日に終わらせる必要はありません。
まずは「施設での生活に必要なこと」と「空き家になる実家で事故やトラブルを起こさないこと」を優先すると整理しやすくなります。
まずは入居後1週間以内にやりたいこと
①施設との連絡方法を確認する
最初に確認しておきたいのが、施設と家族との連絡方法です。
緊急時には誰へ連絡が来るのか、家族から問い合わせる場合はどこへ電話するのかを確認しておきます。
兄弟姉妹がいる場合は、施設からの第一連絡先だけでなく、第二連絡先も決めておくと安心です。
また、家族の誰かだけに情報が集中すると、「そんな話は聞いていない」と家族間のトラブルになることがあります。
LINEグループなどを利用して、施設から連絡があった内容を家族で共有できるようにしておくのも一つの方法です。
②施設で必要な持ち物・不足品を確認する
実際に入居してみると、事前に用意したものだけでは足りないことがあります。
衣類、下着、タオル、室内履き、洗面用品など、施設スタッフに不足しているものがないか確認してみましょう。
反対に、持ち込みできない家電や家具などがある場合もあります。
自己判断で買い足す前に施設へ確認しておくと無駄がありません。
③薬・通院方法を確認する
持病がある場合は、薬の管理方法と今後の通院について確認します。
施設によって、
・施設側で薬を管理する
・家族が薬を用意する
・提携医療機関を利用する
・これまでの病院へ家族が付き添う
など対応が異なります。
特に定期的な通院が必要な場合は、「誰が連れて行くのか」まで確認しておくことが重要です。
役所関係の手続きを確認する
④住民票の住所変更が必要か確認する
老人ホームへ入居したからといって、必ず住民票を移さなければならないとは限りません。
入居する施設の種類や入居期間、本人の生活拠点などによって判断することになります。
一方で、住民票を施設へ移すことで行政からの郵便物などを受け取りやすくなるケースもあります。
住所変更によって介護保険などの扱いが変わる可能性もあるため、まず施設または現在の市区町村へ確認してから手続きを進めるのがおすすめです。
⑤介護保険関係を確認する
市区町村をまたいで老人ホームへ入居するときに知っておきたいのが「住所地特例」です。
対象となる施設へ入居する場合、住民票を別の市区町村へ移しても、原則として入居前の市区町村が介護保険の保険者となる制度です。
ただし、すべての高齢者向け住宅や施設が対象になるわけではありません。
施設側が手続きを案内してくれることも多いため、住所変更をする場合は、
「住所地特例の対象施設ですか?」
と確認しておくと分かりやすいでしょう。
⑥健康保険・後期高齢者医療関係を確認する
健康保険関係についても、住所変更に伴って手続きが必要になる場合があります。
特に後期高齢者医療制度を利用している場合、市区町村をまたいだ転居では確認しておきたいポイントです。
資格確認書などを使用している場合は、住所変更後の扱いも確認しておきましょう。
役所関係は制度が複雑なので、自己判断するよりも「老人ホームへ入居した」と窓口で伝えて必要な手続きをまとめて確認するほうが簡単です。
郵便物や契約関係を整理する
⑦郵便物の転送を検討する
親が老人ホームへ入居して実家が空き家になる場合、郵便物をそのままにしておくのはおすすめできません。
郵便受けに郵便物がたまると、長期間留守にしていることが外から分かってしまいます。
郵便局の転居・転送サービスを利用する方法もあります。
ただし、すべての郵便物が転送対象になるとは限りません。
銀行、保険会社、役所など重要な郵便物については、必要に応じて登録住所そのものを変更していきます。
⑧電気・ガス・水道を整理する
実家が空き家になる場合、公共料金をどうするか決めます。
すぐに実家を売却したり解体したりするのであれば、契約を停止する選択肢もあります。
一方、家族が定期的に実家へ行くのであれば、電気や水道を残しておいたほうが便利です。
特に水道は掃除や通水に使用します。
電気も換気や掃除、夜間に訪問した際などに必要になるため、「空き家=全部すぐ解約」と考えないほうがいいでしょう。
ガスについては、長期間使用しないのであれば停止を検討します。
⑨固定電話・インターネットを整理する
親しか使っていなかった固定電話やインターネット回線も確認します。
毎月数千円程度でも、使わない契約を何年も残してしまえば大きな負担になります。
固定電話については、親の連絡先として長年登録されているケースもあるため、すぐ解約するのではなく必要な連絡先を変更してから整理すると安心です。
⑩新聞・宅配サービスなどを停止する
意外と忘れやすいのが、定期購入しているサービスです。
たとえば、
・新聞
・牛乳などの宅配
・ウォーターサーバー
・食材宅配
・定期購入商品
・町内会費
などがあります。
クレジットカードや銀行口座の利用明細を見ると、本人や家族が把握していなかった定期契約が見つかることもあります。
お金と重要書類を整理する
⑪銀行口座・クレジットカードを確認する
老人ホーム入居後も、施設利用料や医療費などの支払いは続きます。
まず確認したいのは、
・施設利用料をどの口座から払うか
・年金がどの口座へ入るか
・公共料金などの引き落としが残っていないか
・使っていないクレジットカードがないか
といった点です。
ただし、本人名義の預金を家族が自由に動かしてよいわけではありません。
本人の判断能力などによっては、成年後見制度などを検討する必要が出てくる場合もあります。
家族だから自由に管理できると考えず、本人の意思を確認しながら整理することが大切です。
⑫実家の火災保険を確認する
親が老人ホームへ入居すると、実家が「空き家」になる可能性があります。
ここで確認したいのが火災保険です。
保険会社や契約内容によっては、居住者がいなくなったことで契約条件に影響する場合があります。
火災だけでなく、漏水や台風などによる被害が発生する可能性もあるため、保険を自己判断ですぐ解約するのは避けたほうがよいでしょう。
保険会社へ「老人ホームへの入居によって家が空き家になる」と伝え、現在の契約を継続できるか確認しておくと安心です。
空き家になった実家でやっておきたいこと
⑬防犯対策と郵便受けを確認する
高齢者が施設へ入居した後の実家は、家族が思っている以上に「人が住んでいない家」だと分かりやすくなります。
カーテンがずっと閉まっている、郵便物がたまっている、庭の雑草が伸びているといった状態は避けたいところです。
最低限、
・郵便物をためない
・庭や玄関まわりを定期的に確認する
・戸締まりを確認する
・不要な合鍵を回収する
・夜間でも人感センサーライトなどが作動するようにする
といった対策を検討しましょう。
⑭貴重品・重要書類を整理する
誰も住まなくなった実家に、現金や通帳、印鑑、権利証などを置いたままにするのは避けたいところです。
特に確認しておきたいのが、
・預金通帳
・印鑑
・不動産関係書類
・保険証券
・年金関係書類
・遺言書
・貴金属
・現金
などです。
ただし、親の所有物を家族が勝手に処分してはいけません。
本人が判断できる状態であれば、できるだけ一緒に確認し、「どこに何があるのか」を整理しておくことが大切です。
⑮実家をこれからどうするか家族で話し始める
老人ホームへの入居直後に、実家を売るかどうかまで決める必要はありません。
むしろ本人にとっては生活環境が大きく変わったばかりなので、急いで実家を処分することに抵抗を感じるケースもあります。
ただし、「とりあえずそのまま」にして何年も放置するのもおすすめできません。
空き家になっても、
・固定資産税
・火災保険
・庭木の管理
・建物の修繕
・水道や電気の基本料金
などの負担は続きます。
さらに、誰も住まない家は換気不足や雨漏りの発見遅れなどによって傷みやすくなります。
そのため入居直後は処分を急ぐのではなく、
「半年後にもう一度考えよう」
など、家族で見直す時期だけ決めておく方法もあります。
老人ホーム入居後、実家はすぐ売らなくてもいい
親が老人ホームへ入ったからといって、実家をすぐ売却する必要はありません。
施設での生活に馴染めるか分からない時期に実家を売ってしまうと、「やっぱり家へ戻りたい」となった場合に戻る場所がなくなります。
一方で、何年も空き家のまま維持する場合には費用と管理の問題が出てきます。
大切なのは、
「売るか、残すか」
の二択だけで考えないことです。
たとえば、
・しばらく空き家として維持する
・家族が利用する
・賃貸に出す
・売却する
・建物を解体して土地を活用する
といった選択肢があります。
実家の立地や建物の状態によって適した方法は変わります。
【関連記事】老人ホーム入居後の実家はどうする?売却・賃貸・空き家の選択肢を比較
実家を空き家にするなら「管理する人」を決めておく
実家を当面残す場合に、ぜひ決めておきたいのが管理担当です。
家族全員で管理しようとすると、結果的に誰も行かなくなることがあります。
「月1回は長男が確認する」「庭の手入れは業者へ頼む」など、役割を決めておくほうが現実的です。
定期的に確認したいのは、
・郵便受け
・雨漏り
・水漏れ
・カビ
・害虫
・庭木や雑草
・不法投棄
・侵入された形跡
などです。
遠方に住んでいて定期的に通えない場合は、空き家管理サービスを利用する方法もあります。
【関連記事】実家が空き家になったら何をする?最低限必要な管理と費用
よくある質問
Q. 老人ホームへ入居したら住民票は必ず移しますか?
必ず移すとは限りません。
入居する施設や本人の生活状況などによって判断するため、まず施設と市区町村へ確認するのがおすすめです。
特に市区町村をまたいで入居する場合は、介護保険の住所地特例についても確認しておきましょう。
Q. 実家の電気・水道はすぐ止めたほうがいいですか?
家をしばらく残すのであれば、必ずしもすぐ止める必要はありません。
掃除や定期的な通水などで水道を使うことがありますし、電気も換気や点検時に必要になる場合があります。
実家をどのくらい残す予定なのかを考えて判断しましょう。
Q. 老人ホーム入居後、実家はいつ売るのがいいですか?
一律に「入居後○か月」と決められるものではありません。
本人が施設での生活に馴染めるか、実家へ戻る可能性があるか、維持費がどのくらいかかるかなどを考えて判断します。
入居直後に急いで結論を出さず、半年後や1年後などに改めて家族で検討する方法もあります。
Q. 親の荷物は家族が処分してもいいですか?
親の所有物なので、本人が意思表示できるのであれば本人に確認するのが基本です。
特に通帳、印鑑、不動産関係書類、思い出の品などは勝手に処分しないよう注意しましょう。
Q. 実家をそのまま放置すると何が問題ですか?
建物の劣化だけでなく、防犯、庭木、害虫、近隣への影響などさまざまな問題が発生する可能性があります。
売却するかどうかを決めていなくても、定期的な管理は必要です。
まとめ|入居直後は親の生活と実家の管理を分けて考える
以上、老人ホーム入居直後にやること15選|家族が最初の1週間で確認したい手続き・準備というお話でした。
老人ホームへの入居が終わっても、家族側には住所や保険、郵便物、公共料金などいくつかの手続きが残っています。
ただし、すべてを一度に終わらせる必要はありません。
最初の1週間程度は施設での生活に関係することを優先し、その後に実家や契約関係を整理していけば十分です。
そして、実家が空き家になる場合に忘れてはいけないのが、「これからこの家をどうするのか」という問題です。
すぐに売却する必要はありませんが、何となく空き家のまま残すと、維持費だけが何年もかかってしまうことがあります。
まずは実家の維持費や建物の状態を確認し、売却・賃貸・維持・土地活用など、家族に合った方法を少しずつ検討していきましょう。