空き家にかかる税金は?固定資産税・売却時の税金・優遇制度を解説

相続した空き家放置リスク

親から実家を相続したり、親が施設へ入って実家が空き家になったりすると、「誰も住んでいないのに税金はかかるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。

空き家でも、所有している限り固定資産税などの負担は続きます。

一方で、住宅用地特例や、相続した空き家を売却するときに使える特例など、条件を満たせば税負担を抑えられる制度もあります。

目次

結論|空き家でも税金はかかる

空き家だからといって、税金がなくなるわけではありません。

主に関係するのは、

固定資産税
都市計画税
売却した場合の譲渡所得税

です。

ただし、空き家の状態や売却時期によっては、

住宅用地の特例
相続した空き家の3,000万円特別控除

などを利用できる可能性があります。

大切なのは、

「空き家だから税金が高い」
「家が残っていれば必ず税金が安い」

と単純に考えないことです。

空き家にかかる主な税金

まずは、空き家を所有しているとどのような税金が関係するのか整理します。

固定資産税

固定資産税は、土地や建物を所有している人にかかる税金です。

誰も住んでいなくても、土地や建物を所有している限り、原則として固定資産税はかかります。

たとえば、

親から相続した実家
親が施設へ入って空き家になった実家
長期間誰も住んでいない家

でも同じです。

都市計画税

市街化区域など、対象となる地域では都市計画税がかかることがあります。

固定資産税と一緒に納税通知書へ記載されていることが多いため、実家の税負担を確認するときは合わせて見ておきましょう。

売却した場合の譲渡所得税

空き家を売却して利益が出た場合は、譲渡所得に対して所得税や住民税がかかることがあります。

ただし、

売却価格=そのまま課税対象

ではありません。

取得費や譲渡費用などを差し引いて譲渡所得を計算します。

また、一定の条件を満たせば特別控除を使える場合があります。

固定資産税の住宅用地特例とは?

住宅が建っている土地には、一定の条件を満たす場合に住宅用地特例が適用されます。

固定資産税では、住宅用地について課税標準が軽減されます。

区分固定資産税の課税標準
小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡までの部分)原則1/6
一般住宅用地(200㎡を超える一定部分)原則1/3

ここで注意したいのは、

固定資産税そのものが1/6になる

という意味ではなく、

固定資産税を計算する基礎となる課税標準が1/6になる

という点です。

空き家でも住宅用地特例は使える?

空き家になっただけで、住宅用地特例がすぐになくなるとは限りません。

たとえば、

親が施設へ入った
誰も住まなくなった
建物はそのまま残っている

という場合でも、住宅用地として扱われるケースがあります。

ただし、

家屋が残っていれば必ず特例が続く

というわけではありません。

建物が住宅としての状態を失っていたり、今後居住する見込みがないと判断される状態になっていたり、管理不全空家等・特定空家等として勧告を受けたりすると、住宅用地特例の対象外になる場合があります。

そのため、

「建物さえ壊さなければずっと1/6」

と考えるのは避けた方がよいでしょう。

「空き家になると固定資産税が6倍」は正しくない

インターネットでは、

「空き家になると固定資産税が6倍になる」

という表現を見かけることがあります。

しかし、かなり省略された説明です。

空き家になっただけで、自動的に固定資産税が6倍になるわけではありません。

注意したいのは、

管理不全空家等
特定空家等

として市区町村から勧告を受けた場合です。

この場合、敷地について住宅用地特例の対象外になることがあります。

つまり、

空き家になった
↓
即6倍

ではなく、

管理状態が悪化する
↓
行政から勧告を受ける
↓
住宅用地特例の対象外になる場合がある

という流れです。

また、住宅用地特例が外れたからといって、実際の固定資産税額が必ずちょうど6倍になるわけでもありません。

土地の課税標準や負担調整措置、建物分の税額などによって変わります。

【関連記事】空き家の税金が6倍になるのはいつから?固定資産税が上がる条件と回避策

【関連記事】特定空家・管理不全空家になる具体例7選|どんな状態なら指定される?

管理不全空家等・特定空家等とは?

空き家の管理状態が悪い場合には、自治体から対応を求められることがあります。

たとえば、

屋根や外壁が大きく傷んでいる
倒壊の危険がある
庭木が道路や隣地へ大きく張り出している
ごみや害虫などで周囲へ悪影響がある

といった状態です。

ただし、

指定された瞬間に固定資産税が6倍になる

というわけではありません。

住宅用地特例への影響で重要なのは、自治体から勧告を受けることです。

具体的にどのような状態が問題になりやすいかはこちらで詳しく解説しています。

【関連記事】特定空家・管理不全空家になる具体例7選|どんな状態なら指定される?

空き家を解体すると固定資産税はどうなる?

「古い空き家なら、壊して更地にした方が税金も安くなるのでは?」

と考える方もいるでしょう。

しかし、必ずしもそうとは限りません。

住宅を解体すると、建物そのものに対する固定資産税はなくなります。

一方で、土地が住宅用地ではなくなれば、住宅用地特例を受けられなくなる可能性があります。

つまり、

建物分の固定資産税はなくなる
一方で、
土地分の固定資産税負担が増える可能性がある

ということです。

そのため、

「誰も住まないからとりあえず解体」
「固定資産税を安くするために解体」

と単純に判断しない方がよいでしょう。

解体費用、土地の評価額、建物の固定資産税、今後の売却予定などを合わせて考える必要があります。

相続した空き家を売ると3,000万円特別控除を使えることがある

相続した空き家を売却する場合、一定の条件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

いわゆる、

「相続空き家の3,000万円特別控除」

です。

ただし、すべての相続空き家が対象になるわけではありません。

主な条件を確認しておきましょう。

昭和56年5月31日以前に建築された家屋

対象となる家屋は、原則として昭和56年5月31日以前に建築された住宅です。

いわゆる旧耐震基準の時期に建てられた家屋が対象になります。

被相続人が住んでいた家であること

原則として、亡くなった方が居住していた住宅が対象です。

ただし、亡くなる前に老人ホームなどへ入所していた場合でも、一定の要件を満たせば対象になることがあります。

そのため、

「施設へ入っていたから対象外」

と決めつける必要はありません。

売却期限がある

売却時期にも要件があります。

原則として、

相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで

に売却する必要があります。

そのため、

相続した空き家を何年も放置してから売ればいい

とは限りません。

耐震改修や解体に関する条件がある

以前は、売却前に耐震改修または解体していることが重要な条件でした。

現在は制度改正により、一定の場合には、売却後に買主側で耐震改修または除却を行うケースでも対象となる可能性があります。

ただし、期限や証明書類などの条件があります。

実際に特例を使う予定なら、売却前に不動産会社だけでなく税務署や税理士へ確認すると安心です。

相続人が3人以上の場合は控除額が変わることがある

相続した人が3人以上で一定の譲渡を行う場合、控除上限が1人あたり2,000万円となるケースがあります。

そのため、

空き家特例=必ず3,000万円控除

とは限りません。

相続人の人数や持分なども確認する必要があります。

3,000万円特別控除を使えば必ず税金0円になる?

必ず税金が0円になるわけではありません。

この特例は、

売却価格から3,000万円を引く

という単純な制度ではなく、一定の要件を満たした場合に、譲渡所得から控除する制度です。

たとえば譲渡所得が2,000万円で、3,000万円控除の要件を満たす場合は、課税譲渡所得が0円になる可能性があります。

一方で、そもそも特例の対象にならなかったり、他の税制との関係があったりする場合もあります。

「相続空き家だから自動的に税金がかからない」と考えないようにしましょう。

相続空き家の3,000万円特別控除と「自宅売却の3,000万円控除」は別制度

ここは混同しやすいところです。

3,000万円特別控除には、

本人が自宅を売却する場合の特例
と
相続した空き家を売却する場合の特例

があります。

同じ「3,000万円控除」という言葉が出てきますが、要件は同じではありません。

たとえば、親が存命中に自宅を売る場合は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」を検討します。

一方、親が亡くなった後に一定の空き家を相続して売却する場合は、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を確認します。

そのため、

親が施設へ入った後に生前売却する
のか、
親が亡くなった後に相続して売却する
のかで、確認すべき制度が変わります。

【関連記事】相続前に実家は売れる?親が元気なうちに売却を進めるメリットと注意点

自治体によっては空き家の解体補助金がある

老朽化した空き家については、自治体が解体費用の一部を補助している場合があります。

ただし、これは固定資産税の減税制度ではなく、解体費用に対する補助制度です。

対象となる建物や条件、補助額は自治体によって異なります。

たとえば、

老朽化の程度
空き家になっている期間
所有者の要件
解体業者の条件
事前申請が必要か

などが定められていることがあります。

特に注意したいのは、

解体工事を始めてからでは補助金を申請できない

という自治体もあることです。

空き家の解体を検討しているなら、工事を契約する前に実家所在地の市区町村へ確認しましょう。

空き家を売るなら税金と査定価格を一緒に確認する

空き家を売却するか迷っているなら、

税金だけ
または
査定価格だけ

を見るのではなく、両方を確認した方が判断しやすくなります。

たとえば、

現在の査定価格
売却した場合の譲渡所得
利用できる特例
今後数年間の固定資産税・管理費

を比較します。

実家を残しておけば固定資産税や管理費が続きます。

一方で、売却すれば譲渡所得税が発生する可能性があります。

さらに、相続空き家の3,000万円特別控除などを利用できるかによって、売却時の税負担が変わる場合もあります。

つまり、

「税金がかかるから残す」
「空き家だからすぐ売る」

と決めるのではなく、数字を並べて比較することが大切です。

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親が施設に入った実家なら、相続前か相続後かも確認する

親が老人ホームなどへ入ったことで実家が空き家になっている場合は、

親が存命中に売却する
のか、
実家を残して将来相続する
のかでも税金や手続きが変わります。

たとえば、親本人が自宅を売却する場合には、居住用財産の3,000万円特別控除を利用できる可能性があります。

一方、相続後に一定の空き家を売却する場合には、相続空き家の3,000万円特別控除を検討できる場合があります。

どちらが有利かは、

親の生活状況
自宅へ戻る可能性
売却価格
取得費
相続人の人数
利用できる税制

などによって変わります。

「税金だけを見るとどちらが得か」だけでなく、親本人の意思や今後の生活も含めて考えましょう。

【関連記事】親が老人ホームに入ったら実家は売るべき?売らない方がいいケースも解説

空き家の税金でまず確認したい5つのこと

空き家を所有しているなら、まず次の5つを確認しておくと分かりやすいでしょう。

確認項目ポイント
固定資産税額現在年間いくら払っているか
住宅用地特例土地の課税標準が軽減されているか
空き家の管理状態管理不全空家等・特定空家等につながる状態ではないか
今後の利用予定残す・売る・貸す・解体する予定はあるか
売却時の特例3,000万円特別控除などを利用できる可能性があるか

特に固定資産税については、納税通知書を見ると、

評価額
課税標準額
税額

などを確認できます。

実家を相続したばかりで何も分からない場合は、まず納税通知書を確認するところから始めてもよいでしょう。

空き家をそのまま放置するのが一番よくない

空き家には、

残す
売る
貸す
解体する
活用する

など複数の選択肢があります。

必ずしも売却が正解とは限りません。

ただし、

何も決めず、管理もしない

状態は避けた方がよいでしょう。

管理状態が悪化すれば、

建物の劣化
近隣トラブル
修繕費の増加
管理不全空家等・特定空家等への対応
住宅用地特例への影響

などにつながる可能性があります。

一方で、

まだ親が戻る可能性がある
家族が使う予定がある
すぐ売る必要がない

のであれば、適切に管理しながら一定期間残す方法もあります。

重要なのは、

放置すること
と
意図して残すこと

を分けて考えることです。

【関連記事】実家が遠方で管理できない!空き家をどうする?現実的な管理方法を解説

空き家の税金についてよくある質問

Q. 誰も住んでいない空き家にも固定資産税はかかりますか?

かかります。

固定資産税は、原則として土地や建物を所有している人に課税されます。

誰も住んでいないことだけを理由に、固定資産税がなくなるわけではありません。

Q. 空き家になったら固定資産税は6倍になりますか?

空き家になっただけで、自動的に6倍になるわけではありません。

管理不全空家等や特定空家等として市区町村から勧告を受けると、住宅用地特例の対象外となる場合があります。

また、住宅用地特例が外れても、実際の固定資産税額が必ずちょうど6倍になるわけではありません。

【関連記事】空き家の税金が6倍になるのはいつから?固定資産税が上がる条件と回避策

Q. 空き家を解体すると固定資産税は安くなりますか?

必ずしも安くなるとは限りません。

建物分の固定資産税はなくなりますが、土地が住宅用地ではなくなることで住宅用地特例を受けられなくなる可能性があります。

解体費用も含めて判断しましょう。

Q. 家が残っていれば住宅用地特例はずっと使えますか?

必ずしもそうとは限りません。

建物が残っているだけで、永続的に住宅用地特例が適用されるとは限りません。

管理状態や建物の状況によっては、住宅用地として扱われなくなる場合があります。

Q. 相続した空き家を売れば3,000万円控除を必ず使えますか?

必ず使えるわけではありません。

建築時期、被相続人の居住状況、売却時期、耐震性や除却の状況など、複数の要件があります。

相続人が3人以上の場合は、控除額の上限が2,000万円となるケースもあります。

Q. 親が老人ホームに入っていた家でも相続空き家特例を使えますか?

一定の要件を満たせば対象になる可能性があります。

老人ホームへ入居していたという理由だけで、必ず対象外になるわけではありません。

実際の適用可否については税務署や税理士へ確認しましょう。

Q. 相続空き家の3,000万円控除はいつまでに売ればいいですか?

原則として、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。

また、この特例自体にも適用期限があります。

売却を検討している場合は、期限直前ではなく早めに確認しましょう。

Q. 空き家の解体補助金はどこでも使えますか?

全国一律ではありません。

自治体によって制度の有無、対象条件、補助額などが異なります。

実家所在地の市区町村へ確認しましょう。

まとめ|空き家は固定資産税だけでなく「特例を失わない管理」と「売却時の税金」まで確認する

以上、空き家にかかる税金は?固定資産税・売却時の税金・優遇制度を解説...というお話でした。

空き家でも、所有している限り固定資産税などの税負担は続きます。

一方で、

住宅用地特例
相続空き家の3,000万円特別控除

など、条件を満たせば税負担を抑えられる制度があります。

特に注意したいのは、

空き家になっただけで固定資産税が6倍になるわけではない
建物が残っていれば必ず住宅用地特例が続くわけでもない

という点です。

管理不全空家等や特定空家等として自治体から勧告を受けると、住宅用地特例の対象外になる場合があります。

また、相続した空き家を売却する場合には、売却時期や建築時期、耐震性などによって3,000万円特別控除を利用できる可能性があります。

空き家を持っているなら、

現在の固定資産税を確認する
建物を放置しない
解体前に税負担を確認する
売却するなら特例の期限を確認する
査定価格と税金を一緒に比較する

という順番で整理すると分かりやすいでしょう。

>空き家を売るか迷っている段階でも、現在の査定価格を確認してみる

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