市街化調整区域でもできる土地活用7選|駐車場・資材置場・農地活用を比較

市街化調整区域でもできる土地活用7選

市街化調整区域の土地を相続したり所有していたりすると、「建物を建てにくいなら土地活用はできない?」と悩むことがあります。

市街化調整区域では住宅やアパートなどの建築に強い制限がありますが、土地の条件によっては駐車場や資材置場など、建物を建てない活用方法を検討できる場合があります。

ただし、市街化調整区域なら自由に使えるわけではありません。まず「その土地で法的に何ができるか」を確認し、そのあとで需要と採算を比較することが大切です。

目次

結論|市街化調整区域でも土地活用できる可能性はある

市街化調整区域は、市街化を抑制するために設けられている区域です。

そのため、

アパートを建てる
店舗を建てる
貸し倉庫を建てる

といった建物を使う土地活用は、市街化区域と比べてハードルが高くなります。

一方で、

駐車場
駐車場シェア
資材置場
農地として貸す
太陽光発電
土地を事業者へ貸す

など、土地の条件によっては別の方法を検討できます。

代表的な土地活用を比較すると次のようになります。

土地活用初期費用建物向いている土地主な注意点
月極駐車場小~中不要住宅地・駅・事業所周辺農地転用・造成・需要
駐車場シェア不要既存の駐車スペース現在の土地利用・駐車需要
資材置場小~中原則不要工場・事業所・幹線道路周辺造成・車両出入り・周辺環境
農地として貸す不要農業需要のある土地農地法・借り手
太陽光発電中~大原則不要日当たり・面積など条件が合う土地法規制・造成・採算
トランクルーム等中~大必要になる場合あり需要のある立地建築物扱い・許可
事業者へ土地を貸す契約による事業需要がある土地借主の事業が実施可能か

どの方法が一番よいかは、土地によって異なります。

市街化調整区域では、

「何をやりたいか」から決めるのではなく、「何ができるか」から考える

ことが重要です。

市街化調整区域の土地活用は3段階で考える

土地活用を検討するときは、次の順番で考えると分かりやすくなります。

法的にできるか

周辺に需要があるか

投資に対して採算が合うか

この順番が重要です。

たとえば、

月極駐車場として利用できる土地

だったとしても、周囲に車を停めたい人がいなければ収益にはつながりません。

反対に、

資材置場の需要がある

としても、現在の土地が農地で、必要な転用ができなければそのまま貸すことはできません。

市街化調整区域では、

できる=儲かる

ではないことを最初に理解しておきましょう。

土地活用を考える前に確認すること

具体的な活用方法を選ぶ前に、まず土地の基本条件を確認します。

主に見ておきたいのは、

市街化調整区域に指定されているか
現在の地目
実際の土地利用
農地に該当するか
接道状況
造成が必要か
上下水道などのインフラ
過去の開発・利用履歴
自治体の条例や規制

です。

特に市街化調整区域では、同じように見える空き地でも条件が大きく違います。

「隣が駐車場だから自分の土地も駐車場にできる」とは限りません。

分からない場合は、市役所の都市計画・開発担当部署や農業委員会などへ相談しましょう。

方法1|月極駐車場として活用する

市街化調整区域で検討しやすい土地活用のひとつが月極駐車場です。

アパートなどのような建物を建築する必要がなく、土地の状態によっては比較的小さな投資から始められます。

また、将来土地を売却したり別用途へ変更したりするときにも、建物を建てる土地活用より方向転換しやすいのがメリットです。

月極駐車場が向いている土地

月極駐車場は、

住宅が多い
マンション・アパートが多い
事業所や工場がある
駅周辺で駐車場が不足している
2台目・3台目需要がある

といった場所で検討しやすくなります。

市街化調整区域でも、市街化区域との境界付近や住宅がある集落などでは、駐車場需要があるケースもあります。

一方で、

周囲に住宅がほとんどない
各家庭に広い駐車スペースがある
無料で駐車できる場所が多い

といった地域では、月極需要が弱い可能性があります。

農地をそのまま駐車場にはできない

特に注意したいのが農地です。

現在、田や畑として扱われている土地を駐車場へ変更する場合は、農地転用の手続きが必要になることがあります。

市街化調整区域内の農地は、農地の種類や立地によって転用のハードルが高い場合もあります。

そのため、

空いている田畑だから砂利を敷いて駐車場にする

と自己判断するのは避けましょう。

【関連記事】農地転用とは?農地を駐車場や宅地として活用するときの注意点

造成費まで含めて採算を確認する

月極駐車場は建物を建てないため初期費用を抑えやすい一方、土地の状態によっては、

整地
砂利敷き
舗装
区画線
車止め
排水対策

などが必要になります。

土地価格がかからない相続地でも、駐車場として整備する費用は必要です。

周辺の月極賃料と想定稼働率を確認し、投資額を回収できるか検討しましょう。

方法2|空いているスペースを駐車場シェアで貸す

月極駐車場を本格的に始めるほどではなくても、すでに車を停められるスペースがあるなら、駐車場シェアを検討できます。

駐車場シェアは、空いている駐車スペースを必要な日時だけ利用者へ貸す仕組みです。

たとえば、

自宅や実家に1台分余っている
平日の昼間だけ空いている
イベント開催日だけ駐車需要がある
将来土地を売る可能性があるので長期契約は避けたい

といった場合に向いています。

大きな設備投資をせず始めやすい

既存の駐車スペースを利用できる場合は、コインパーキングのような精算機やゲートを設置する必要がありません。

そのため、

「この場所に本当に駐車需要があるのか分からない」

という段階でも、小さく試しやすい方法です。

駐車場シェアのひとつである特Pでは、空いている曜日や時間帯に合わせて貸し出す方法があります。

【関連記事】特Pで自宅駐車場を貸す完全ガイド|登録・収入・トラブルまで解説

市街化調整区域だから自由に登録できるわけではない

注意したいのは、

駐車場シェアなら土地利用規制を気にしなくてよい

わけではないことです。

特に、

農地を勝手に駐車スペースへ変更する
大規模な造成をして駐車場にする

といった場合は、必要な手続きを確認しなければなりません。

一方で、すでに適法に駐車スペースとして利用されている場所が空いているのであれば、比較的検討しやすいでしょう。

方法3|資材置場として貸す

建物を建てない土地活用として、資材置場も候補になります。

建設会社、工務店、設備会社などでは、

建築資材
足場材
重機
工事車両
仮設資材

などを置く場所が必要になることがあります。

住宅用地としては不便な土地でも、

幹線道路へ出やすい
トラックが出入りしやすい
工場・事業所が近い

といった条件があれば、事業用地として需要がある場合があります。

資材置場も「建物がないから自由」とは限らない

資材置場についても、

何も建てないから許可は不要

と決めつけない方がよいでしょう。

土地の造成や区画形質の変更を伴う場合、現在の地目が農地の場合などは、関係法令の確認が必要になります。

また、

トラックの出入り
騒音
土ぼこり
夜間利用

などによって近隣トラブルになる可能性もあります。

住宅が近い土地では特に慎重に検討しましょう。

契約内容を明確にする

資材置場として土地を貸す場合は、

何を置くのか
廃棄物を置かないこと
利用時間
車両の種類
土地を傷めた場合の対応
原状回復
契約終了時の明渡し

などを契約書で明確にしておくことが大切です。

「資材置場」として貸したのに、いつの間にか廃棄物の保管場所のようになってしまう状態は避けなければなりません。

方法4|農地のまま貸す

市街化調整区域には田や畑が多くあります。

こうした土地では、

農地転用して別用途にする

ことだけが土地活用ではありません。

自分では農業を続けられなくても、地域の農業者などへ農地として貸せる可能性があります。

特に転用が難しい農地では、無理に駐車場や資材置場へ変更するより、

農地として使ってくれる人を探す

方が現実的な場合があります。

農地の貸し借りにもルールがある

ただし、農地は通常の宅地と同じ感覚で自由に貸せるわけではありません。

農地法などに基づく手続きが関係します。

そのため、

知り合いの農家に口約束で貸す

という進め方ではなく、農業委員会などへ相談しながら進めた方が安心です。

また、収益だけでなく、

草刈りなどの管理負担を減らせる
農地を荒らさず維持できる

という点も、農地のまま貸すメリットになります。

方法5|太陽光発電を検討する

ある程度まとまった土地で、日当たりなどの条件がよければ、太陽光発電を検討することもあります。

住宅需要が弱い土地でも活用できる可能性がある一方で、

空いている土地だから、とりあえず太陽光発電

という考え方はおすすめできません。

確認したいのは、

売電条件
系統への接続
造成費
維持管理費
雑草対策
災害リスク
撤去費用
自治体の条例
周辺住民への影響

などです。

また、農地へ太陽光発電設備を設置する場合は、農地転用などの手続きが関係することがあります。

傾斜地を造成して設置する場合は、排水や土砂災害などにも注意が必要です。

太陽光発電は初期投資も大きくなりやすいため、

設置できるか
だけではなく、
長期間の収支が成り立つか

まで確認してから判断しましょう。

方法6|トランクルーム・コンテナ活用を検討する

市街化調整区域で、

「住宅が難しいならコンテナを置いてトランクルームにすればいいのでは?」

と考える方もいるでしょう。

しかし、ここは注意が必要です。

継続的に設置して倉庫などとして利用するコンテナは、設置方法や利用実態によって建築物として扱われる場合があります。

そのため、

コンテナだから建築規制を受けない

とは限りません。

屋内型トランクルームなら当然建物が必要です。

コンテナ型でも、

都市計画法
建築基準法
自治体の条例
接道条件
消防関係

などの確認が必要になる場合があります。

市街化調整区域では、

「アパートが無理ならコンテナ」

という単純な代替策にはなりません。

トランクルームは周辺需要も重要

法的に設置できるとしても、利用者がいなければ土地活用として成立しません。

トランクルームでは、

周辺人口
住宅の収納事情
車で出入りしやすいか
競合施設
防犯性
道路からの視認性

なども確認する必要があります。

建築・設置できるかと、事業として成り立つかは別問題です。

方法7|土地そのものを事業者へ貸す

自分で設備投資をせず、土地そのものを事業者へ貸す方法もあります。

たとえば、

資材置場
車両置場
事業用地
店舗・施設用地

などとして事業者から利用希望が出る場合があります。

土地所有者が自ら建物を建てる必要がなければ、大きな初期投資を避けられる可能性があります。

ただし、

借りたい事業者が見つかった=その事業を実施できる

とは限りません。

市街化調整区域では、借主が希望する用途について開発・建築が認められるかを確認する必要があります。

契約前に用途を確認する

事業者へ貸す場合は、

何に使うのか
建物を建てるのか
造成するのか
大型車両が出入りするのか
契約終了時にどう戻すのか

を契約前に確認しましょう。

特に、

事業者が使いたいと言っているから大丈夫だろう

と規制確認前に長期契約を結ぶのは避けた方がよいでしょう。

市街化調整区域では「できること」から考える

一般的な土地活用では、

アパートを建てよう
トランクルームにしよう
駐車場にしよう

と、活用方法から考えることがあります。

しかし、市街化調整区域では順番を逆にした方が安全です。

まず、

この土地で法的に何ができるのか

を確認します。

次に、

その中で周辺需要があるものは何か

を考えます。

最後に、

投資額に対して収益が見込めるか

を比較します。

つまり、

できること

需要

採算

の順番です。

この考え方なら、

法的にできない活用へ先にお金をかける
需要のない活用へ投資する

といった失敗を防ぎやすくなります。

7つの土地活用を比較

ここまで紹介した方法を、あらためて比較してみましょう。

活用方法初期投資収入の安定性転用しやすさ向いているケース
月極駐車場小~中周辺に継続的な駐車需要
駐車場シェア既存スペースを小さく活用
資材置場小~中工場・事業所・幹線道路周辺
農地として貸す農業需要がある
太陽光発電中~大日当たり・面積・採算条件が合う
トランクルーム中~大収納需要がある
事業者への貸地契約次第事業需要がある

※実際に利用できるか、必要な許可・手続き、収益性は土地ごとに異なります。

表だけを見ると、

初期費用が小さい方法が有利

に見えるかもしれません。

しかし、市街化調整区域では法的な条件が土地ごとに違うため、

まずできる方法を絞る

その中から比較する

という順番が重要です。

相続した市街化調整区域の土地なら大きな投資を急がない

市街化調整区域の土地を相続した場合は、

「せっかく土地があるのだから何か活用しなければ」

と考えるかもしれません。

しかし、使い方が決まっていない段階で大きな投資をする必要はありません。

まず、

区域区分
地目
農地規制
接道
現在の利用状況
周辺需要

を確認しましょう。

そのうえで、

小さく活用する
事業者へ貸す
農地のまま貸す
売却する

という選択肢を比較します。

特に、将来売却する可能性がある土地なら、

元に戻しやすい活用方法

から検討するのも一つの考え方です。

【関連記事】田舎の土地活用はどうする?使い道がない土地の活用方法

市街化調整区域だから無理に土地活用しなくてもいい

市街化調整区域の土地は、建築制限があるため活用方法が限られる場合があります。

そのため、

どうにかして収益化しなければ

と考えすぎないことも大切です。

たとえば、

造成費が高い
周辺需要が弱い
農地転用が難しい
事業者からの需要もない

という土地なら、大きな投資をして土地活用するより、売却した方がよい場合もあります。

逆に、

既存の駐車スペースがある
近隣に事業所が多い
農地として借りたい人がいる

など、現在の状態を大きく変えずに活用できるなら、保有を続ける選択肢もあります。

土地活用は、

所有している土地を必ず何かに使うこと

ではありません。

活用する・貸す・売る

を比較して、その土地に合う方法を選びましょう。

市街化調整区域の土地活用を始める前のチェックポイント

具体的な土地活用を始める前に、次の項目を確認しておきましょう。

  • 市街化調整区域に指定されているか
  • 現在の地目
  • 現況
  • 農地に該当するか
  • 過去の利用状況
  • 開発・造成が必要か
  • 接道条件
  • 上下水道などのインフラ
  • 自治体の条例・規制
  • 周辺に需要があるか
  • 初期投資はいくら必要か
  • 年間収入はいくら見込めるか
  • 維持管理費はいくらかかるか
  • 将来別用途へ変更できるか
  • 売却する場合の価値はどの程度か

市街化調整区域では、

法的に可能
でも
採算が合わない

というケースがあります。

逆に、大きな建物を建てられなくても、

現在の土地をほとんど変えずに小さく収益化できる

ケースもあります。

土地活用方法だけを見るのではなく、土地そのものの条件から考えましょう。

市街化調整区域の土地活用についてよくある質問

Q. 市街化調整区域では土地活用できませんか?

できる可能性はあります。

ただし、住宅やアパートなどの建築には強い制限があります。

駐車場、資材置場、農地利用なども含め、その土地で可能な活用方法を確認しましょう。

Q. 市街化調整区域を月極駐車場にできますか?

土地の状態や必要な造成、現在の地目などによって異なります。

特に農地を駐車場へ変更する場合は農地転用について確認が必要です。

法的に利用できても周辺に需要がなければ収益化できないため、月極相場や空き状況も調べましょう。

Q. 駐車場シェアなら市街化調整区域でもできますか?

市街化調整区域だから一律に利用できる、できないというものではありません。

すでに適法に駐車スペースとして利用されている場所なら検討しやすいでしょう。

一方、農地などを勝手に駐車場へ変更して登録することは避け、必要な手続きを確認してください。

【関連記事】特Pで自宅駐車場を貸す完全ガイド|登録・収入・トラブルまで解説

Q. 資材置場なら許可なしで使えますか?

建物を建てないから必ず許可不要とはいえません。

現在の地目や造成の内容などによって関係法令の確認が必要です。

また、トラックの出入りや騒音など、周辺環境への影響も確認しましょう。

Q. 市街化調整区域の農地を駐車場にできますか?

農地転用が認められれば可能な場合があります。

ただし、市街化調整区域内の農地では、農地の区分などによって転用が難しいケースもあります。

土地ごとに農業委員会などへ確認しましょう。

Q. コンテナを置けばトランクルームにできますか?

必ずできるわけではありません。

継続的に設置して倉庫などとして利用するコンテナは、設置方法や利用実態によって建築物として扱われる場合があります。

市街化調整区域では都市計画法や建築基準法などの確認が必要です。

Q. 太陽光発電なら市街化調整区域でもできますか?

条件によっては可能ですが、土地ごとの規制や採算性を確認する必要があります。

農地なら農地転用、造成する場合は災害リスクや自治体条例なども確認しましょう。

Q. 土地活用できないなら売却できますか?

市街化調整区域でも土地を売却することはできます。

ただし、建築や利用方法に制限がある土地では、購入希望者が限定される場合があります。

何ができる土地なのかを整理してから売却活動を始めると説明しやすくなります。

まとめ|市街化調整区域は「できること・需要・採算」の順で土地活用を考える

以上、市街化調整区域でもできる土地活用7選|駐車場・資材置場・農地活用を比較...というお話でした。

市街化調整区域では住宅やアパートなどの建築に強い制限がありますが、

市街化調整区域=土地活用できない

というわけではありません。

土地の条件によっては、

月極駐車場
駐車場シェア
資材置場
農地として貸す
太陽光発電
トランクルーム
事業者への貸地

などを検討できます。

ただし、市街化調整区域では、

「これをやりたい」

から始めないことが大切です。

まず、

その土地で法的にできることを確認

周辺に需要がある方法を選ぶ

初期投資と収益を比較する

という順番で考えます。

特に相続した土地では、大きな投資を急ぐ必要はありません。

すでにある駐車スペースを小さく活用したり、農地のまま貸したりと、現在の状態を活かせる方法から比較するのもよいでしょう。

それでも十分な需要や採算が見込めないなら、無理に土地活用せず売却することも選択肢です。

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