借地契約を更新したくない地主はどうする?更新拒絶の正当事由とは

借地契約を更新したくない地主はどうする?

「借地契約の期間が終わるので、今度は更新せず土地を返してもらいたい」と考える地主の方もいるでしょう。

しかし普通借地権では、契約期間が満了したからといって、地主の都合だけで簡単に更新を拒絶できるとは限りません。

この記事では、借地契約を更新したくない地主が知っておきたい「正当事由」とは何か、土地を自分で使いたい場合や売却したい場合はどうなるのか、わかりやすく解説します。

目次

結論|普通借地権は「更新したくない」だけでは拒絶できない

まず結論からいうと、普通借地権では、

「契約期間が終わったので、今回は更新しません」

と地主が一方的に伝えるだけで、必ず借地契約を終了できるわけではありません。

借地人が契約の更新を請求した場合、地主が更新を拒絶するためには「正当事由」が必要になります。

また、契約期間が満了した後も借地人が土地の使用を継続している場合についても、地主が遅滞なく異議を述べることや、その異議に正当事由があることが問題になります。

そのため、

「契約期間満了=必ず土地が返ってくる」

と考えないことが重要です。

一方、定期借地権はそもそも契約更新を前提としない制度なので、普通借地権とは大きく仕組みが異なります。

契約の種類契約期間満了後の基本的な考え方
普通借地権更新があり得る
一般定期借地権原則として更新なし
事業用定期借地権原則として更新なし

したがって、地主が「借地契約を更新したくない」と考えたら、最初にするべきなのは現在どのような借地契約を結んでいるのか確認することです。

まず確認|普通借地権と定期借地権では話が違う

借地契約といっても、すべて同じルールではありません。

特に「更新したくない」という問題では、普通借地権なのか定期借地権なのかが大きな分かれ目になります。

普通借地権の場合

普通借地権には契約更新の仕組みがあります。

借地人から更新の請求があった場合などに、地主が更新を拒絶するためには正当事由が必要になります。

つまり地主が、

「もう長く貸したから返してほしい」

「契約書に書かれた期間が終わった」

と思っているだけでは、必ずしも契約を終了できません。

これが、土地を貸す側から見た普通借地権の大きな注意点です。

定期借地権の場合

一方、定期借地権は契約期間の満了によって借地関係を終了させることを前提とした制度です。

一定の要件を満たした定期借地権では、普通借地権のような契約更新を前提としていません。

「20年後、30年後にはこの土地を子どもに使わせたい」

「将来的には別の土地活用をしたい」

など、将来土地を返してもらうことを重視する地主にとっては、この違いが非常に重要になります。

ただし、定期借地権にも種類があり、それぞれ契約期間や利用目的、契約方法などが異なります。

借地借家法や借地権の基本については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【関連記事】借地借家法とは?土地を貸す前に地主が知っておきたい注意点

昔から続いている借地契約はさらに注意

「父親の代からずっと土地を貸している」

「祖父が契約したので詳しい内容が分からない」

という地主もいるでしょう。

こうした古い借地契約では特に注意が必要です。

現在の借地借家法は1992年8月1日に施行されています。

それ以前から続いている借地関係では旧借地法が関係する場合があるため、現在の普通借地権だけを前提として判断できないことがあります。

また、長年の間に、

「契約書を紛失した」

「更新契約書を作っていない」

「地代だけ受け取り続けている」

「先代から相続したので詳しい経緯を知らない」

ということもあります。

このようなケースでは、地主の記憶だけで「もう契約期間が終わっているはず」と判断しない方がよいでしょう。

古い契約書や更新書類、地代の支払記録などを確認し、契約関係を整理することから始めます。

借地契約の「正当事由」とは?

普通借地権の更新を拒絶するときに重要になるのが正当事由です。

借地借家法では、正当事由について地主側の事情だけを見る仕組みにはなっていません。

大きなポイントになるのは、

地主と借地人がそれぞれ土地を必要としている事情

です。

さらに、

  • 借地に関するこれまでの経緯
  • 土地の利用状況
  • 地主が土地の明渡しと引換えに金銭などを提供する申出

なども考慮して判断されます。

つまり、

「地主が土地を返してほしい理由」対「借地人が土地を使い続けたい理由」

を含め、さまざまな事情を総合的に見て判断されるということです。

そのため、正当事由について、

「この条件を満たせば必ず認められる」

という単純なチェックリストで判断することはできません。

正当事由で考慮される主な事情

地主側から見ると、

「では、具体的に何を見て判断されるの?」

というところが気になるでしょう。

代表的な事情を整理してみます。

1.地主が土地を必要としている事情

まず考慮されるのが、地主自身がその土地を必要としている事情です。

たとえば、

  • 自分の住宅を建てたい
  • 子どもの住宅用地として使いたい
  • 自分の事業で利用したい

などが考えられます。

ただし、

「自分名義の土地だから、自分が使いたいと言えば返してもらえる」

というものではありません。

地主がどの程度土地を必要としているのかだけでなく、借地人側の事情なども含めて判断されます。

2.借地人が土地を必要としている事情

地主側だけでなく、借地人側がその土地をどれだけ必要としているのかも重要です。

たとえば借地人が土地上の建物を自宅として長年利用している場合、そこは生活の本拠になっている可能性があります。

店舗や事業所なら、移転によって事業に大きな影響が出る場合もあります。

そのため、

地主:「自分で使いたい」

借地人:「ここに住み続ける必要がある」

という双方の事情を踏まえて判断されます。

3.借地に関するこれまでの経緯

現在の事情だけではなく、これまでどのような経緯で土地を貸してきたのかも考慮されます。

たとえば、

  • 契約期間
  • 契約締結の経緯
  • 更新の状況
  • 地代の支払状況
  • 土地利用の経緯

などです。

数年前に始まった借地契約と、親や祖父母の代から何十年も続いている借地関係では事情が違います。

4.土地の利用状況

実際に土地がどのように利用されているのかも判断材料になります。

土地上にどのような建物があり、借地人がどのように利用しているのかなど、実際の状況が考慮されます。

契約書だけを見るのではなく、現地の利用状況も確認しておきたいところです。

5.立退料など財産上の給付

地主が、

「土地を明け渡してもらえるなら一定の金銭を支払う」

と申し出る場合もあります。

いわゆる立退料です。

こうした財産上の給付の申出も、正当事由を判断する際の事情として考慮されます。

ただし、ここで非常に重要なのが、

「立退料を払えば正当事由がなくても必ず借地契約を終了できる」という意味ではない

ことです。

立退料は正当事由を補完する事情の一つであり、地主・借地人双方の土地利用の必要性などと合わせて判断されます。

「自分で土地を使いたい」は正当事由になる?

地主からすると、最も納得しにくいのがこの部分かもしれません。

「自分の土地を自分で使いたいのに、なぜ返してもらえないの?」

と思うのも自然でしょう。

たとえば地主が、

「今まで貸していたが、自宅を建てる必要が出てきた」

という場合、自ら土地を使用する必要性は正当事由を判断するうえで重要な事情になります。

しかし、それだけで必ず更新拒絶が認められるわけではありません。

借地人がその場所を生活の本拠として長期間利用しているなど、借地人側にも土地を必要とする強い事情があれば、それらを含めて判断されます。

したがって、

「地主本人が使うなら必ず返してもらえる」

とは考えない方がよいでしょう。

「子どもの家を建てたい」は正当事由になる?

これも地主にはよくありそうなケースです。

たとえば、

「30年前に貸した土地だが、息子が結婚したので家を建てさせたい」

「娘夫婦を近くに住ませたい」

といった事情です。

地主側に土地を利用したい具体的な理由があることは、正当事由を考えるうえで一つの事情になります。

ただし、やはり借地人側の土地利用の必要性などとの比較が必要です。

「子どもが使う予定だから」という理由だけで、自動的に更新拒絶できるわけではありません。

地主側としては、

誰が、いつから、何のために土地を必要としているのか

を具体的に整理しておくことが重要になります。

「土地を売りたい」は正当事由になる?

地主が借地契約を更新したくない理由として、

「そろそろ土地を売却したい」

というケースもあります。

相続した土地であれば、

「相続税の支払いのために現金化したい」

「兄弟で相続したので土地を処分して分けたい」

といった事情も考えられます。

しかし、土地を売りたいという地主側の事情だけで、当然に借地契約の更新を拒絶できるわけではありません。

普通借地権では、地主側が土地を必要とする事情だけでなく、借地人側が土地を必要としている事情や、これまでの経緯、土地の利用状況などを総合的に考える必要があります。

また、借地契約が残ったまま土地を売却するという方法もあります。

この場合に売却するのは、一般に「底地」と呼ばれる地主側の権利です。

借地人がいる土地は更地と同じ価格では売りにくい

ここで地主が知っておきたいのが、借地人がいる土地と、自由に利用できる更地では売却条件が大きく違う可能性があることです。

借地権が設定された土地を購入しても、買主がすぐ自由に建物を建てられるわけではありません。

そのため、

「借地契約を終了させて更地にしてから売りたい」

と考える地主もいるでしょう。

しかし、

高く売りたいから借地人に出ていってもらう

という地主側の希望だけで、更新拒絶が当然に認められるとは限りません。

売却を考えている場合も、現在の借地契約を整理したうえで検討する必要があります。

「アパートを建てたい」は正当事由になる?

土地活用を考えている地主なら、

「今の借地契約を終了してアパートを建てたい」

「店舗を誘致した方が収益が高い」

「駐車場やトランクルームとして自分で活用したい」

と考えることもあるでしょう。

確かに地主にとっては、安い地代で土地を貸し続けるより、自分で土地活用した方が収益性が高くなる場合があります。

しかし、

「もっと儲かる土地活用ができるから」という理由だけで、普通借地権の更新を自由に拒絶できるわけではありません。

ここでも地主側の土地利用の必要性と、借地人側の事情などを合わせて考えることになります。

土地の所有者だからといって、既存の借地関係を無視して新しい土地活用へ切り替えられるわけではないということです。

「建て替えたい」という理由ならどうなる?

たとえば地主が土地全体を再開発したいケースもあります。

古くなった周辺建物と合わせて建て替えたい、土地を一体利用したいなど、単純な収益アップとは違った事情も考えられます。

こうした場合も、

  • 「建て替えだから正当事由になる」
  • 「再開発なら必ず土地を返してもらえる」

と一律には判断できません。

どの程度その土地を必要としているのか、借地人はどのように土地を利用しているのか、代替手段があるのかなど、個々の事情によって変わります。

地主側としては、「土地活用したい」という漠然とした理由ではなく、具体的に何をする予定なのか整理しておくことが重要です。

地代を払わない借地人なら更新拒絶できる?

ここまで読むと、

「地代を払っていない借地人でも、正当事由がなければ出ていってもらえないの?」

と思うかもしれません。

ここは分けて考える必要があります。

地代の滞納など重大な契約違反があるケースでは、単純な期間満了による更新拒絶とは別に、債務不履行を理由とした契約解除が問題になる可能性があります。

つまり、

更新拒絶の正当事由

と、

契約違反を理由とした解除

は同じ話ではありません。

ただし、地代を一度支払わなかっただけで直ちに契約解除できる、と単純に考えることもできません。

賃貸借契約の解除では、滞納期間や金額、これまでの支払い状況などから、当事者間の信頼関係が破壊されたといえるかが問題になることがあります。

地主が勝手に建物を撤去したり、土地への出入りを妨害したりするのは避けましょう。

地代滞納が続いている場合には、更新時期を待つのではなく、早い段階で弁護士などへ相談することをおすすめします。

立退料を払えば借地契約を終了できる?

更新拒絶について調べていると、「立退料」という言葉を目にすることがあります。

そこで、

「立退料を払えば土地を返してもらえるのでは?」

と考える地主もいるでしょう。

しかし、立退料は土地を強制的に返してもらうための料金ではありません。

借地借家法では、地主が土地の明渡しと引換えに財産上の給付をする旨の申出をした場合、それも正当事由を判断する際の事情として考慮されます。

つまり、立退料は正当事由を補完する事情の一つとして考えるのが基本です。

地主側に土地を必要とする事情があり、さらに一定の金銭的な補償を提示することで、正当事由が補強される場合があります。

反対に、

「地主側にはほとんど土地を使う必要性がないが、お金を払えば出ていってもらえるだろう」

と単純に考えるものではありません。

借地の立退料はいくら必要?

地主として最も気になるのは、

「結局いくら払えばいいの?」

というところでしょう。

しかし、借地の立退料について、

  • 「地代の○か月分」
  • 「一律○百万円」

といった固定の相場があるわけではありません。

借地では土地上に借地人所有の建物が存在することもあり、住宅の賃貸借とは事情が大きく異なります。

実際には、

  • 土地や建物の状況
  • 借地権に関する経済的価値
  • 移転に必要となる費用
  • 借地人の利用状況
  • 営業への影響
  • 地主側・借地人側の土地利用の必要性

など、さまざまな事情が関係します。

そのため、ネット上の「立退料○万円」といった数字だけを参考に提示するのは避けた方がよいでしょう。

特に借地権が絡む明渡しでは金額が大きくなる可能性もあるため、具体的な交渉に入る前に専門家へ相談する方が安心です。

立退料は最初から提示した方がいい?

これもケースによります。

地主としては、

「最初から500万円払うと言えば話が早いのでは?」

と考えるかもしれません。

しかし、一度具体的な金額を提示すると、その金額がその後の交渉の基準になってしまう可能性があります。

まず、

  • 契約内容
  • 契約期間
  • 借地権の種類
  • 地主が土地を必要とする理由
  • 借地人の利用状況
  • 建物の状況

などを整理したうえで、交渉方法を検討した方がよいでしょう。

特に長期間続いている借地契約では、地主自身で金額を決めて話を始めるより、弁護士などに相談したうえで進める方が安全です。

地主が更新したくない場合はいつ伝える?

地主が借地契約を更新したくないと考えているなら、契約満了直前まで放置するのはおすすめできません。

まず契約書を確認し、

いつ契約が満了するのか

を把握します。

そのうえで、

  1. 借地権の種類を確認する
  2. 契約期間・満了日を確認する
  3. 更新に関する条項を確認する
  4. 現在の土地・建物の利用状況を確認する
  5. 地主が土地を必要とする理由を整理する
  6. 借地人とのこれまでの経緯を確認する
  7. 必要に応じて専門家へ相談する

という順番で整理すると分かりやすいでしょう。

特に古い借地契約の場合は、現在の契約書だけではなく、過去の契約書や更新書類なども探しておきたいところです。

「更新しません」と通知すれば契約は終了する?

地主から借地人へ、

「次回は契約を更新しません」

という通知を出したとしても、それだけで普通借地権が必ず終了するわけではありません。

借地人から更新請求がある場合や、契約期間満了後も土地の使用を継続している場合には、借地借家法上の更新ルールが問題になります。

地主が異議を述べる場合にも正当事由が必要となる場面があります。

したがって、

「内容証明郵便で更新拒絶を通知すれば土地が返ってくる」

という単純な仕組みではありません。

内容証明郵便は、「いつ、どのような内容の文書を送ったのか」を証拠として残すためには役立ちますが、内容証明そのものに借地契約を強制終了させる効力があるわけではありません。

借地人と話し合って返してもらう方法もある

ここまで正当事由について説明してきましたが、土地を返してもらう方法は裁判で更新拒絶を争うことだけではありません。

地主と借地人が話し合い、双方が納得できれば、合意によって借地関係を終了させることも考えられます。

たとえば、

「あと1年間は使用してよい」

「○月末までに明け渡す」

「建物の解体費用をどうするか」

「移転費用の一部を地主が負担する」

など、具体的な条件を話し合います。

借地人にとっても、突然「出ていってほしい」と言われるより、十分な移転期間や条件が提示された方が話し合いやすい場合があります。

地主としても、長期間裁判で争うより、条件を調整して合意できた方が結果的に負担が小さくなるケースがあります。

ただし、借地権の明渡しでは土地・建物の価値や権利関係が絡むため、合意内容は必ず書面に残すことが重要です。

借地契約を更新したくない地主がやってはいけないこと

土地の所有者は地主ですが、借地契約が続いている以上、借地人にも契約に基づいて土地を利用する権利があります。

「自分の土地なのだから」という理由だけで、強引に土地を取り戻そうとするのは避けましょう。

勝手に土地へ入って使用を妨害する

地主だからといって、借地人が使用している土地へ自由に立ち入り、利用を妨害してよいわけではありません。

特に借地上に借地人所有の住宅などがある場合は注意が必要です。

契約終了について争いがある段階で、地主が実力で土地を取り戻そうとするのはトラブルの原因になります。

建物や設備を勝手に撤去する

「契約期間が終わったから」という理由で、借地人所有の建物や設備を地主が勝手に撤去することも避けなければなりません。

そもそも普通借地権では、期間が満了しただけで必ず借地関係が終了するとは限りません。

土地の明渡しと建物の扱いは、契約関係を確認したうえで進める必要があります。

電気や水道などを止めて退去を促す

借地人を退去させるために、地主側からライフラインを止めるなどの方法を取るべきではありません。

「住めなくすれば出ていくだろう」という方法ではなく、更新拒絶や契約解除について法的な手続きに沿って対応する必要があります。

地代を受け取らなければ契約が終わると考える

更新したくないからといって、単純に地代を受け取らなければ借地契約を終了できるわけではありません。

地主が地代の受領を拒否した場合、借地人側が供託などの手続きを取るケースもあります。

「地代を受け取ったら更新を認めたことになるのでは?」など判断に迷う場合も含め、自己判断で対応せず専門家へ相談した方がよいでしょう。

契約書を確認せず「更新しない」と通知する

借地契約には普通借地権だけでなく定期借地権があり、古い契約では旧借地法が関係する可能性もあります。

契約内容を確認せず、

「来年で契約終了なので土地を返してください」

と通知するのは避けた方がよいでしょう。

まず契約の種類、契約期間、過去の更新状況などを確認することが先です。

借地契約を更新したくないときの地主の進め方

ここまでの内容を、実際の流れとして整理してみましょう。

1.契約書を探す

最初に現在の借地契約書を確認します。

先代から引き継いだ土地なら、古い契約書や更新契約書なども探します。

契約書が見つからない場合でも、地代の支払記録や過去のやり取りなど、借地関係を確認できる資料を集めておきましょう。

2.借地権の種類と契約時期を確認する

普通借地権なのか定期借地権なのかを確認します。

さらに契約がいつ始まったものなのかも重要です。

特に1992年8月1日より前から続いている借地については、旧借地法が関係する可能性があります。

3.土地を返してほしい理由を整理する

次に、

「なぜ土地を返してほしいのか」

を具体的に整理します。

単に「そろそろ返してほしい」ではなく、

  • 「自宅を建築する必要がある」
  • 「子どもが住宅を建てる予定がある」
  • 「土地を売却する必要がある」

など、地主側の事情を整理します。

4.借地人の利用状況を確認する

地主側の事情だけでなく、借地人が土地をどのように利用しているのかも確認します。

住宅として利用しているのか、事業に利用しているのか、建物の状況はどうなっているのかなどです。

5.更新拒絶・合意解約などの方法を検討する

契約内容と双方の事情を整理したうえで、

  • 更新拒絶を検討する
  • 借地人と明渡しについて話し合う
  • 立退料などの条件を検討する
  • 合意による契約終了を目指す

といった方法を考えます。

6.早い段階で専門家へ相談する

借地権は土地の価値にも大きく影響する権利です。

特に、

  • 「契約書がない」
  • 「何十年も前から貸している」
  • 「借地人が更新を希望している」
  • 「立退料の話になりそう」
  • 「借地人とすでに揉めている」

といった場合には、弁護士などへ早めに相談することをおすすめします。

契約満了直前になって慌てて動くより、時間に余裕を持って対応した方が選択肢を検討しやすくなります。

これから土地を貸す地主は「出口」まで考えて契約する

現在すでに普通借地権で土地を貸している地主にとって、

「こんなに土地を返してもらうのが難しいとは思わなかった」

と感じる部分もあるかもしれません。

だからこそ、これから土地を貸そうとしている地主には、貸すときに返してもらうときのことまで考えておくことが重要です。

土地活用を検討するときには、どうしても、

「地代はいくらもらえるか」

「何年間安定収入が得られるか」

に目が向きます。

しかし土地は、将来、

  • 自分で使う
  • 子どもへ引き継ぐ
  • 売却する
  • 別の土地活用へ変更する

可能性があります。

そのときに土地を自由に使える状態へ戻せるのかという「出口」も、土地活用の重要な比較項目です。

普通借地権と定期借地権は「返してもらうとき」に大きな違いがある

普通借地権と定期借地権の違いは、契約期間だけではありません。

地主目線では、

「契約期間が終わったときにどうなるのか」

が大きな違いです。

普通借地権には更新の仕組みがあり、地主側から更新を拒絶する場合には正当事由が問題になります。

一方、定期借地権は一定の要件のもと、契約期間の満了によって借地関係を終了させることを前提とした制度です。

そのため、これから土地を長期間貸す場合には、

「普通借地権で貸すか、定期借地権を利用するか」

を地代だけで決めないことが重要です。

【関連記事】借地借家法とは?土地を貸す前に地主が知っておきたい注意点

建物を建てない土地活用なら事情は変わる

ここで前の記事ともつなげられます。

借地借家法上の借地権では、建物所有を目的として土地を借りることがポイントになります。

一方、一般的な平面月極駐車場のように、建物所有を目的とせず土地を利用するケースは通常の借地権とは性格が異なります。

「土地を貸して収益を得たいが、将来自分でも使う可能性がある」という地主なら、土地をどのような形で貸すかも含めて比較した方がよいでしょう。

【関連記事】駐車場を貸すと借地権は発生する?10年・20年貸した場合と地主の注意点

もちろん、駐車場なら地主の都合でいつでも即座に返してもらえるという意味ではありません。

ただ、土地活用を考えるときには収益だけでなく、契約期間や終了方法まで含めて比較することが重要です。

よくある質問

Q. 借地契約の期間が終われば土地を返してもらえますか?

普通借地権では、契約期間が満了したという理由だけで必ず土地を返してもらえるわけではありません。

借地人から更新請求があった場合などに、地主が更新を拒絶するには正当事由が必要になります。

まず普通借地権なのか定期借地権なのか、契約内容を確認しましょう。

Q. 地主が更新したくないと言えば更新を拒絶できますか?

普通借地権では、地主の意思だけで自由に更新を拒絶できるわけではありません。

地主と借地人双方が土地を必要とする事情や、これまでの経緯、土地の利用状況、財産上の給付の申出などをもとに正当事由が判断されます。

Q. 正当事由とは具体的に何ですか?

地主と借地人が土地を必要とする事情を中心として、借地に関するこれまでの経緯、土地の利用状況、地主からの財産上の給付の申出などを総合的に考慮して判断されます。

そのため、「○○なら必ず正当事由になる」という一律の基準ではありません。

Q. 自分の家を建てたい場合は正当事由になりますか?

地主自身が土地を使用する必要性は、正当事由を判断するうえで重要な事情の一つです。

ただし、それだけで必ず更新拒絶が認められるわけではなく、借地人側が土地を必要とする事情なども含めて判断されます。

Q. 子どもの家を建てたい場合はどうですか?

地主側が土地を必要とする事情として考慮される可能性はあります。

ただし、「子どもの家を建てる」という理由だけで自動的に更新拒絶できるわけではありません。

実際の必要性や借地人側の事情などを含めて判断されます。

Q. 土地を売りたいという理由で更新拒絶できますか?

土地を売却したいという地主側の事情だけで、当然に普通借地権の更新を拒絶できるわけではありません。

借地人がいる状態で底地として売却する方法もあるため、売却を考えている場合には借地契約と土地の評価を含めて検討する必要があります。

Q. アパートを建てたい場合は正当事由になりますか?

土地活用をしたいという事情も考慮される可能性はありますが、「アパートを建てれば収益が増える」という理由だけで必ず更新拒絶できるわけではありません。

地主側・借地人側双方の事情などを総合的に考える必要があります。

Q. 立退料を払えば借地人に出ていってもらえますか?

立退料を支払えば必ず明渡しを求められるという制度ではありません。

地主からの財産上の給付の申出は正当事由を補完する事情として考慮されますが、他の事情と合わせて判断されます。

双方が合意できれば、立退料などの条件を含めて合意解約する方法も考えられます。

Q. 地代を滞納している借地人でも正当事由が必要ですか?

地代滞納などの契約違反については、期間満了時の更新拒絶とは別に契約解除の問題になる可能性があります。

滞納したら直ちに解除できるとは限らないため、長期滞納などが発生している場合は専門家へ相談した方がよいでしょう。

Q. 昔からある借地契約でも同じですか?

古い借地契約は特に注意が必要です。

1992年8月1日の借地借家法施行前から続いている借地関係では、旧借地法が関係する場合があります。

先代から引き継いだ土地などは、契約書や更新履歴を確認したうえで判断しましょう。

まとめ|借地契約を更新したくないなら早めに契約内容を確認する

以上、借地契約を更新したくない地主はどうする?更新拒絶の正当事由とは...というお話でした。

普通借地権では、契約期間が満了したからといって、地主が「更新したくない」と伝えるだけで必ず土地を返してもらえるわけではありません。

更新拒絶では正当事由が重要となり、地主と借地人それぞれが土地を必要とする事情を中心に、これまでの経緯や土地の利用状況、立退料など財産上の給付の申出も含めて判断されます。

また、

「自分の土地だから使いたい」

「売却したい」

「アパートを建てた方が儲かる」

といった地主側の事情だけで、必ず更新拒絶できるわけでもありません。

逆に、定期借地権や地代滞納などによる契約解除は別の問題なので、すべてを「正当事由」で考えないことも重要です。

借地契約を更新したくないと考え始めたら、契約満了直前まで待たず、まず契約書、契約時期、借地権の種類、過去の更新状況を確認しましょう。

特に何十年も続いている借地や、先代から相続した土地、借地人との話し合いが難しいケースでは、早い段階で弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。

そして、これから土地を貸す地主にとって最も重要なのは、

土地を貸すときに、将来どう返してもらうのかまで考えて契約することです。

土地活用は「いくら収入が入るか」だけでなく、10年後、20年後に土地をどう使いたいのかまで考えて選びましょう。

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