
親が老人ホームなどの施設へ入ると、それまで暮らしていた実家をどうするかという問題が出てきます。
すぐ売るべきなのか、そのまま残すのか、それとも誰かに貸すのか。
結論からいうと、施設へ入ったからといって実家を急いで処分する必要はありません。
大切なのは、親が戻る可能性や実家の維持費、家族の考えなどを整理したうえで、「残す・管理する・貸す・活用する・売る」の中から現実的な方法を選ぶことです。
親が施設に入った後の実家はどうする?5つの選択肢
親が施設へ入った後の実家には、大きく分けて5つの選択肢があります。
| 選択肢 | 向いているケース | 維持の手間 | 将来変更しやすいか |
|---|---|---|---|
| そのまま残す | 親が戻る可能性がある | 大きい | ◎ |
| 空き家として管理する | まだ方針を決められない | 大きい | ◎ |
| 賃貸住宅として貸す | 長期間戻らない可能性が高い | 中程度 | △ |
| 駐車場など一部を活用する | 敷地に余裕がある | 小さい | ○ |
| 売却する | 戻る予定がなく維持も難しい | 売却後は不要 | × |
どれが正解というわけではありません。
たとえば、施設へ入ったばかりで親自身が「体調が良くなったら家に戻りたい」と考えているなら、すぐに売却するのは難しいでしょう。
反対に、長期入居になることがほぼ決まっており、子どもも実家を引き継ぐ予定がないのであれば、何年間も固定資産税や管理費を払い続けるより売却した方がよい場合もあります。
重要なのは「施設に入ったから売る」と単純に考えないことです。
まずは現在の状況を整理してみましょう。
最初に確認したいのは「親が実家に戻る可能性」
実家をどうするか考えるとき、最初に確認したいのが親が将来その家に戻る可能性です。
施設入居といっても状況はさまざまです。
一時的な施設入居なのか
リハビリや家族の事情などによって一時的に施設へ入っている場合は、実家を残しておく必要性が高くなります。
数か月後、あるいは1年後に自宅へ戻る可能性があるのに、家を売却してしまえば元の生活へ戻ることが難しくなります。
この段階では、実家を処分することよりも「留守宅をどう管理するか」を考える方が現実的です。
長期入居になる可能性が高いのか
一方で、施設での生活が長期になる可能性が高い場合は少し考え方が変わります。
今後5年、10年と誰も住まない家を維持するのであれば、その間も固定資産税や火災保険、庭の管理、建物の修繕などが必要です。
「とりあえず残しておこう」と考えているうちに、想像以上の維持費がかかっていたということもあります。
そのため長期入居になりそうなら、実家を残す場合の費用についても早めに確認しておきましょう。
親本人が実家をどうしたいのか
子ども側では「もう家に戻るのは難しいだろう」と思っていても、親本人は違う考えを持っていることがあります。
長年暮らした家には思い入れがあります。
「元気になったら帰りたい」
「自分が生きている間は売りたくない」
「子どもに残しておきたい」
と考える人もいます。
実家が親名義であれば、そもそも子どもの判断だけで自由に処分できるものではありません。
本人が意思表示できるうちに、今後実家をどうしたいと思っているのかを確認しておくことが大切です。
選択肢① 実家をそのまま残す
親が実家へ戻る可能性があるなら、まず考えられるのがそのまま残しておく方法です。
施設入居直後に実家の処分まで一気に決める必要はありません。
実家を残す最大のメリットは「戻れること」
実家を残しておけば、親の状態が改善した場合に自宅へ戻る選択肢を残せます。
また、親本人だけでなく家族にとっても、施設入居直後は今後の生活がどうなるのか分からないことがあります。
そんな時期に売却を急ぐより、半年や1年ほど様子を見るという考え方もあります。
住んでいなくても固定資産税はかかる
注意したいのは、誰も住んでいなくても家を所有している限り維持費が発生することです。
代表的なのが固定資産税です。
そのほかにも、
- 火災保険
- 電気や水道の基本料金
- 庭木の剪定や草刈り
- 建物の修繕
- 遠方なら交通費
- 空き家管理サービスの利用料
などがかかる場合があります。
1か月単位ではそれほど大きく感じなくても、5年、10年と続けばまとまった金額になります。
空き家は住んでいる家より傷みやすい
「誰も使わないなら家も傷まない」と思われがちですが、実際はそうとも限りません。
長期間窓を閉め切れば湿気がこもりやすくなり、水道を使わなければ排水トラップの水がなくなって臭気や虫の侵入につながることもあります。
雨漏りや給排水設備の不具合が起きても、誰も住んでいなければ発見が遅れます。
そのため、実家を残すなら「何もしない」のではなく、空き家として管理することが必要です。
選択肢② 空き家としてしばらく管理する
「まだ売るとは決められない。でも親がすぐ戻る予定もない。」
こうしたケースでは、一定期間は空き家として管理しながら今後を考える方法があります。
施設入居直後の実家では、むしろこの状態になる家庭が多いでしょう。
定期的に換気する
閉め切った住宅は湿気がこもりやすいため、定期的に窓を開けて換気します。
同時に室内を見回り、雨漏りやカビ、害虫などが発生していないか確認しておくと安心です。
水道を残すなら定期的に通水する
水道を完全に止めるかどうかは、空き家になる期間によって判断が変わります。
水道を残しておけば掃除や庭への散水にも利用でき、定期的に通水することで排水管の状態も確認できます。
電気・ガス・水道については、全部を機械的に解約するのではなく、今後どの程度実家へ通うのかを考えて判断した方がよいでしょう。
このテーマについては、今後「施設入居後の実家の電気・ガス・水道は止める?」の記事で詳しく解説する形にできます。
郵便物を放置しない
ポストに郵便物やチラシが大量にたまっていると、外から見ても長期間不在であることが分かります。
防犯面でも好ましくありません。
郵便物の転送などを利用しながら、定期的にポストを確認できる状態にしておきましょう。
庭木や雑草も管理する
戸建ての実家で意外に大変なのが庭です。
夏場になると雑草が一気に伸びたり、庭木が隣家や道路にはみ出したりすることがあります。
空き家になったからといって管理責任がなくなるわけではありません。
遠方で頻繁に通えない場合は、草刈りや空き家管理を業者へ依頼することも選択肢になります。

「何となく空き家のまま」が一番避けたい
実家をすぐに売らないこと自体が問題なのではありません。
注意したいのは、今後について何も決めず「とりあえずそのまま」にしてしまうことです。
半年だけ残すのか、数年間残すのか。
誰が月に一度確認するのか。
固定資産税や管理費を誰が負担するのか。
親が戻れなくなった場合はどうするのか。
このあたりを家族で決めておくだけでも、後の負担はかなり違ってきます。
特に長期間残す可能性があるなら、年間で実家にいくらかかっているのかを一度計算しておくことをおすすめします。
「残しておくのは無料ではない」という点を把握したうえで、次に「貸す」「一部を活用する」「売却する」という選択肢を比較していきましょう。
選択肢③ 実家を賃貸住宅として貸す
親が施設から実家へ戻る可能性が低く、かといって売却する決心もつかない場合は、実家を賃貸住宅として貸す方法もあります。
家を所有したまま家賃収入を得られるため、一見すると合理的な方法です。
ただし、空き家をそのまま貸せるとは限りません。
貸せれば固定資産税や維持費を家賃で補える
実家を賃貸にする最大のメリットは、家を手放さずに収入を得られることです。
毎月の家賃収入があれば、固定資産税や火災保険、修繕費などの負担を補いやすくなります。
将来的に子どもが住む可能性があるなど、「今は使わないけれど売りたくない」という実家なら検討する価値があります。
親の荷物を片付ける必要がある
問題になるのが家財です。
施設へ入った親の実家には、家具、衣類、食器、写真、書類など大量の荷物が残っていることがあります。
賃貸住宅として貸すなら、基本的にはこれらを整理しなければなりません。
施設入居直後に家財を処分してしまうと親とのトラブルになることもあるため、本人の意向を確認しながら進める必要があります。
修繕費がかかることもある
築年数の古い実家では、そのままでは借り手が見つからないこともあります。
給湯器やエアコンの交換、壁紙や床の補修、水回りの修繕などが必要になれば、貸し出す前にまとまった費用が発生します。
「家賃が入るから得」と考えるのではなく、想定家賃と修繕費を比較することが大切です。
親が戻る可能性があるなら慎重に
一度入居者へ貸すと、こちらの都合だけですぐに退去してもらえるとは限りません。
そのため、親が自宅へ戻る可能性が残っている段階では慎重な判断が必要です。
将来的に実家へ戻す可能性があるなら、契約期間を定める定期借家契約なども含め、不動産会社へ相談しておくとよいでしょう。
選択肢④ 建物はそのままで駐車場など一部だけ活用する
「家を貸すほどではない。でも空いたまま固定資産税を払い続けるのももったいない。」
そんな場合に考えたいのが、建物には手を付けず、敷地の一部だけを活用する方法です。
特に実家に使っていない駐車スペースがある場合は比較的始めやすいでしょう。
空いている駐車スペースだけ貸す
親が車を手放したり施設へ入ったりすると、それまで使っていた駐車場だけが空くことがあります。
このスペースを月極駐車場や駐車場シェアとして貸す方法があります。
建物内の荷物を片付ける必要がなく、大規模なリフォームも必要ありません。
「実家をどうするかまだ決められない」という期間のつなぎとしても利用しやすい方法です。
月極なら安定収入を得やすい
住宅地で駐車場が不足している地域なら、近隣住民へ月極で貸す方法があります。
契約者が決まれば毎月一定の賃料が入るため、収入を予測しやすいのがメリットです。
一方で、親が一時帰宅した際に駐車場を使いたい場合などは自由に空けられないため、長期的に使わないことが前提になります。
駐車場シェアなら比較的柔軟に使える
「いつ実家を売るか分からない」「家族が帰省するときには駐車場を使いたい」という場合は、時間貸しの駐車場シェアも候補になります。
貸し出す日を調整できるサービスなら、実家の使い方を大きく変えずに収益化できます。
ただし、駐車場シェアは大きく儲ける土地活用ではありません。
立地によっては月数千円程度にしかならないこともあります。
それでも、これまで0円だったスペースから少しでも収入が得られれば、固定資産税や草刈りなど実家の維持費の一部を補うことはできます。

家を残したまま収益化できるのが大きなメリット
この方法の良いところは、「実家を残すか売るか」という大きな決断をしなくても始められることです。
家はそのまま残し、空いている部分だけを使います。
親が施設へ入った直後は、家族の意見がまとまらないことも珍しくありません。
そんな時期に無理に結論を出すのではなく、実家を維持しながら一部だけ活用する方法があることも覚えておきましょう。
選択肢⑤ 実家を売却する
親が実家へ戻る予定がなく、子どもも将来住む予定がないのであれば、売却も現実的な選択肢になります。
売却すれば固定資産税や建物管理、庭の手入れなどから解放されます。
ただし、一度売却した実家を元に戻すことはできません。
5つの選択肢の中でも、もっとも慎重に判断したい方法です。
実家を売却した方がよい可能性があるケース
たとえば次のような状況なら、売却を検討する意味があります。
- 親が実家へ戻る予定がない
- 親本人も売却を希望している
- 子どもが実家を相続して住む予定がない
- 実家を管理する人がいない
- 遠方で定期的に通えない
- 固定資産税や修繕費が負担になっている
- 建物の老朽化が進んでいる
特に注意したいのが、「誰も使う予定がないけれど、何となく残している」というケースです。
5年、10年と経過すれば建物も古くなります。
売却する可能性が高いのであれば、何年間維持するのかを家族で話し合っておいた方がよいでしょう。
「売るかどうか」と「いくらで売れるかを知る」は別
まだ売却を決めていない段階で、不動産会社に相談することに抵抗がある人もいるでしょう。
しかし、実家を売るかどうか決めることと、現在どのくらいの価値があるのかを調べることは別です。
たとえば、
「年間20万円程度の維持費がかかる実家を今後10年間残す」
のであれば、単純計算でも200万円です。
一方で、現在の売却価格が分からなければ、
「200万円かけても残したい家なのか」
「今のうちに売却した方がよいのか」
を比較できません。
売却するか迷っている段階だからこそ、周辺相場や査定価格を把握しておくことが判断材料になります。
実家がいくらくらいしそうか見てみる
査定額だけで売却を決めない
査定価格が高かったからといって、すぐ売る必要はありません。
反対に査定額が想像より低くても、維持費や今後の建物劣化を考えれば売却した方がよいケースもあります。
査定価格はあくまで判断材料の一つです。
親本人の希望、家族の意向、今後の利用予定、維持費などを合わせて考えましょう。
実家を売る前に確認しておきたいこと
施設へ入った親の実家では、通常の不動産売却とは少し違った注意点があります。
特に重要なのが「誰の家なのか」です。
実家の名義を確認する
最初に土地と建物の所有者を確認します。
子どもが実家を管理していても、登記上の所有者が親なら、子どもの判断だけで自由に売却できるわけではありません。
「長男だから」「固定資産税を代わりに払っているから」といった理由で所有者になるわけでもありません。
まず名義を確認することが出発点です。
親本人の売却意思を確認する
親が所有者なら、売却について本人の意思を確認する必要があります。
施設へ入ったからといって、所有権が子どもへ移るわけではありません。
本人が「実家は残したい」と考えているのであれば、その気持ちも踏まえて家族で話し合う必要があります。
親の判断能力にも注意する
実家を売らないまま時間が経過すると、親の状態が変わる可能性もあります。
認知症などによって契約内容を十分に理解して判断することが難しくなると、不動産売却を簡単に進められなくなる場合があります。
「今すぐ売る必要はない」という判断と、「何も確認しないまま何年も放置する」という判断は別物です。
親本人が元気なうちに、実家を将来どうしたいのか話しておくことには大きな意味があります。
この部分は今後、
親名義の実家を子どもが売ることはできる?施設入居後の売却で注意すること
という子記事へ展開すると、ハブとの相性も非常に良いでしょう。
兄弟姉妹とも実家の扱いを共有しておく
親本人だけでなく、兄弟姉妹がいる場合は家族間でも認識を合わせておきましょう。
「誰も住まないから売ろう」
と思っている人もいれば、
「親が生きている間は残したい」
と考える人もいます。
また、「将来自分が住みたい」と考えている兄弟がいるかもしれません。
実家は金銭的な価値だけでなく、家族の思い出も関係するため意見が分かれやすい財産です。
施設入居をきっかけに、少なくとも「今後どういう状態になったら売却を検討するのか」だけでも共有しておくとよいでしょう。
実家を残す場合にかかるお金を把握しておく
親が施設へ入った後も実家を残す場合、住宅ローンが終わっていれば「それほどお金はかからない」と思うかもしれません。
しかし、誰も住んでいない家でも所有しているだけで一定の費用は発生します。
売却するか残すか迷っているなら、まず年間維持費を一度計算してみることをおすすめします。
固定資産税・都市計画税
実家に誰も住んでいなくても、土地や建物を所有している限り固定資産税は原則としてかかります。
市街化区域内などでは都市計画税が課税されることもあります。
「空き家だから税金がかからない」ということはありません。
まずは毎年届く納税通知書を確認して、年間いくら支払っているのか把握しておきましょう。
火災保険
誰も住んでいなくても、火災、風災などのリスクがなくなるわけではありません。
ただし、建物の使用状況が変わったことで契約内容の確認が必要になる場合があります。
施設入居によって長期間空き家になることが決まったら、現在加入している保険会社や代理店へ確認しておくと安心です。
電気・水道などの費用
空き家になったからといって、電気や水道を必ずすべて止める必要があるとは限りません。
定期的に掃除へ行くなら電気は必要ですし、水道も通水や庭への散水などに利用できます。
一方、長期間まったく利用しないのであれば、基本料金を払い続ける必要があるのか検討する余地があります。
ガスについても含め、実家へどのくらいの頻度で通うのかを基準に判断しましょう。
草刈り・庭木の剪定
戸建ての実家では、建物以上に庭の管理が負担になることがあります。
特に春から夏にかけては雑草が伸びやすく、庭木が道路や隣地へ越境すれば近隣トラブルにつながる可能性もあります。
自分たちで管理できなければ、草刈りや剪定を業者へ依頼する費用も考えておかなければなりません。
建物の修繕費
誰も住んでいなくても建物は少しずつ劣化します。
屋根、外壁、雨樋、給排水設備などに不具合が発生すれば修理が必要になることもあります。
特に雨漏りは発見が遅れると被害が広がりやすいため、定期的な確認が重要です。
空き家管理サービスの費用
実家が遠方にあり、家族が定期的に確認できない場合は空き家管理サービスを利用する方法もあります。
建物外部の確認、郵便物のチェック、換気、通水など、サービス内容は事業者によって異なります。
費用はかかりますが、遠方から何度も実家へ通う交通費や時間まで考えると、利用した方が負担を減らせるケースもあります。
実家を残すなら「年間維持費×年数」で考える
実家の維持費は、1年だけを見るとそれほど大きく感じないかもしれません。
しかし、空き家になる期間が長くなるほど差が出ます。
仮に固定資産税、保険、光熱費、庭管理、修繕費などを合わせて年間20万円かかるとします。
| 空き家として残す期間 | 維持費の単純計算 |
|---|---|
| 1年 | 20万円 |
| 3年 | 60万円 |
| 5年 | 100万円 |
| 10年 | 200万円 |
もちろん実際の費用は住宅によって異なり、大きな修繕が発生すればさらに増える可能性があります。
だからといって「維持費がかかるから売るべき」という話ではありません。
親が戻れる場所として残す価値もありますし、家族にとって大切な実家なら、お金だけでは判断できないでしょう。
重要なのは、「何となく残す」のではなく「これくらいの費用がかかっても残す」と理解して決めることです。
売る・残す・貸す・一部活用を比較
ここまでの選択肢を整理してみましょう。
| 方法 | 収入 | 維持負担 | 親が戻りやすい | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| そのまま残す | なし | 大きい | ◎ | 自宅復帰の可能性がある |
| 空き家として管理 | なし | 大きい | ◎ | まだ判断できない |
| 賃貸住宅として貸す | 家賃収入 | 中程度 | △ | 長期間使わない |
| 駐車場など一部活用 | 少額収入 | 小〜中 | ○ | 家は残しておきたい |
| 売却 | 売却代金 | 売却後はなし | × | 今後使う予定がない |
こうして比較すると、実家の扱いは「残すか売るか」の二択ではないことが分かります。
特に施設入居直後で将来がまだ見えない場合は、いったん管理しながら考えることもできます。
敷地に余った駐車場があれば、家を残したまま維持費の一部を稼ぐ方法もあります。
それでも長期的に誰も使わないことが明確になってきたら、賃貸や売却を本格的に検討すればよいでしょう。
まだ実家をどうするか決められない場合の進め方
「選択肢は分かったけれど、結局まだ決められない。」
施設入居直後なら、それも珍しいことではありません。
その場合は、無理に売却か維持かを決めるのではなく、判断に必要な情報から集めていきましょう。
① 親本人の希望を聞く
まずは親が実家についてどう考えているのか確認します。
「戻りたい」「残したい」「もう戻らないから処分していい」など、本人の希望によって選択肢は大きく変わります。
② 実家の年間維持費を計算する
固定資産税、保険、光熱費、庭の管理費などを合計します。
年間維持費が分かれば、「あと5年間残した場合にいくら必要か」も見えてきます。
③ 実家が今いくらくらいなのか調べる
売却を決めていなくても、現在の不動産価値を知っておくと比較しやすくなります。
たとえば「今なら2,000万円前後で売却できそうな家を、200万円程度かけて10年間維持する」ということが分かれば、家族でより具体的な話ができます。
反対に査定額がそれほど高くないなら、急いで売却せず別の利用方法を検討する判断もあるでしょう。
イエウールなどの不動産一括査定サービスを利用する場合も、「今すぐ売却するため」ではなく「実家をどうするか考えるために現在価値を把握する」という使い方ができます。
売却すると決めていなくても、実家の現在価値が分かれば「残した場合の維持費」と比較しやすくなります。
実家を売るか迷っているなら、まず現在の査定額を確認
④ 兄弟姉妹で情報を共有する
家族で話し合う場合も、「売りたい」「残したい」という感情だけで話すより、維持費や査定額など具体的な数字がある方が話を進めやすくなります。
誰が管理するのか、費用を誰が負担するのかも合わせて決めておきましょう。
⑤ 半年後・1年後にもう一度判断する
今すぐ決められないなら、「とりあえず保留」で終わらせず、見直す時期を決めておく方法がおすすめです。
たとえば「まず半年間は残して、親の状態を見てもう一度話し合う」と決めておけば、何年も放置してしまうことを防げます。
親が施設に入ったら実家について確認するチェックリスト
施設入居後に実家をどうするか考える際は、次の項目を確認してみましょう。
□ 親が実家へ戻る可能性はあるか
□ 親本人は実家をどうしたいのか
□ 土地・建物の名義は誰か
□ 兄弟姉妹の意見を確認したか
□ 固定資産税はいくらか
□ 火災保険の契約内容を確認したか
□ 電気を残すか決めたか
□ ガスを止めるか決めたか
□ 水道を残すか決めたか
□ 郵便物の管理方法を決めたか
□ 庭木・雑草を誰が管理するか
□ 定期的に建物を確認できるか
□ 親の荷物をどうするか
□ 実家の現在価値を把握しているか
□ 今後5年間の維持費を計算したか
全部を施設入居直後に決める必要はありません。
まずできる項目から確認していきましょう。
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よくある質問
Q. 親が老人ホームに入ったら実家はすぐ売った方がいいですか?
必ずしもすぐ売却する必要はありません。
親が自宅へ戻る可能性や本人の希望、家族の意向などを確認してから判断しましょう。
一方で、誰も利用する予定がない実家を長期間残す場合は維持費がかかるため、年間費用と売却した場合の金額を比較しておくことをおすすめします。
Q. 親が施設に入ったら実家は空き家扱いになりますか?
実際に誰も居住しなくなれば、一般的には空き家の状態になります。
ただし、「施設へ入居した」という事実だけで一律に税務や保険などすべての扱いが変わるわけではありません。
固定資産税、保険、住民票などはそれぞれ制度や契約内容を確認する必要があります。
Q. 親名義の実家を子どもが売ることはできますか?
親名義の不動産だからといって、子どもが自分の判断だけで売却できるわけではありません。
親本人の意思や判断能力、代理権などが関係するため、売却を検討する場合は名義を確認したうえで専門家や不動産会社へ相談しましょう。
Q. 親が認知症になったら実家を売れなくなりますか?
認知症という診断名だけで一律に決まるわけではありませんが、不動産売買の内容を理解して意思決定する能力が問題になる場合があります。
状況によっては成年後見制度などの検討が必要になることもあるため、親本人が元気なうちに実家について話し合っておくことが重要です。
Q. 施設入居後も住民票を実家に置いておけますか?
住民票は生活の本拠に関係するため、施設の種類や入居状況などによって判断が異なります。
「施設へ入ったら必ず移す」「実家のままで問題ない」と一律には判断せず、市区町村や施設へ確認すると安心です。
このテーマは別記事で詳しく解説するとよいでしょう。
Q. 空き家になっても固定資産税はかかりますか?
原則として、誰も住んでいなくても土地・建物を所有していれば固定資産税はかかります。
空き家だから自動的に固定資産税がなくなるわけではありません。
Q. 実家の電気・ガス・水道は全部止めた方がいいですか?
長期間まったく使用しないのであれば停止を検討できますが、定期的な掃除や通水、建物確認のために電気や水道を残した方が便利なケースもあります。
どの程度の頻度で実家を管理するのかを考えて決めましょう。
Q. 実家を売らずに収入を得る方法はありますか?
賃貸住宅として貸すほか、敷地に空いている駐車スペースがあれば月極駐車場や駐車場シェアとして活用する方法があります。
実家の建物をそのまま残せるため、「まだ売却したくない」という時期の選択肢にもなります。

まとめ|親が施設に入っても実家の処分を急ぐ必要はない
親が施設へ入った後の実家には、「残す」「空き家として管理する」「貸す」「一部を活用する」「売却する」という選択肢があります。
施設へ入ったからといって、すぐに実家を売却する必要はありません。
特に入居直後は親が自宅へ戻る可能性もあり、本人や家族の気持ちも整理できていないことがあります。
一方で注意したいのは、何も決めないまま空き家を何年も放置することです。
まずは、
親が実家へ戻る可能性があるか。
実家を残すと年間いくらかかるのか。
実家には現在どのくらいの価値があるのか。
この3点を確認してみましょう。
そのうえで、今は残すのか、空いている駐車場だけ活用するのか、賃貸にするのか、それとも売却するのかを家族で考えれば十分です。
まだ売るか決めていない場合でも、実家の査定額を知ることは「売却の決断」ではなく、選択肢を比較するための材料になります。
大切なのは、実家を急いで処分することではありません。
親本人の希望を尊重しながら、家族にとって無理なく続けられる方法を選ぶことです。
実家を残すか売るか迷っている方へ
売却を決める前に「今ならいくらくらいになるのか」を確認しておくと、今後の維持費と比較しやすくなります。