
「同じ100坪の土地を活用するなら、アパート経営とトランクルーム経営のどちらが得なのか?」
土地活用の相談で必ずといっていいほど聞かれるテーマです。
どちらも建設費が似た規模でも、相続税・固定資産税・収益性・手間のバランスが大きく違います。
この記事では、実際に同じ100坪(約330㎡)の土地を前提に、税金と収益を5年間で比較シミュレーションしてみます。
目次
比較の前提条件
様々な観点から比べるために、まずはアパート経営とトランクルーム経営の前提条件を以下のように仮定します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 土地面積 | 100坪(約330㎡) |
| 路線価 | 20万円/㎡(時価25万円程度) |
| 建設費 | 5,000万円(鉄骨造・延床150㎡) |
| 構造 | 鉄骨造2階建て(耐用年数34年) |
| トランクルーム | 事業用・屋内型(24時間利用可) |
| アパート | 木造2階建て・6戸想定 |
| 所有者 | 個人(相続対象) |
| 想定期間 | 相続後5年間の運用比較 |
相続税評価額の比較
トランクルームの相続税評価額
- 土地評価:6,600万円 → 事業用宅地特例で50%減 → 3,300万円
- 建物評価:建設費の約60%=3,000万円
合計評価額:6,300万円
アパートの相続税評価額
- 土地評価:6,600万円 × 貸家建付地補正0.91 =6,006万円
→ 小規模宅地特例(200㎡×0.5+130㎡×1.0)=4,186万円 - 建物評価:3,000万円 ×(1-借家権30%)=2,100万円
合計評価額:6,286万円
👉 評価額はほぼ同等ですが、アパートの方がわずかに有利です。
固定資産税・都市計画税の比較
| 項目 | トランクルーム | アパート |
|---|---|---|
| 土地課税標準 | 6,600万円×70%=4,620万円 | 小規模住宅用地特例(1/6+1/3) |
| 年間土地税額 | 約78万円 | 約26万円 |
| 建物税額 | 約42万円 | 約15万円(新築3年間1/2軽減) |
| 合計税額 | 約120万円/年 | 約40万円/年(軽減後55万円) |
固定資産税では、住宅用地の特例があるアパートが圧倒的に有利です。
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収益性の想定(満室時)
| 項目 | トランクルーム | アパート |
|---|---|---|
| 想定賃料 | 1室1.5万円×50室=75万円/月 | 1戸7万円×6戸=42万円/月 |
| 年間売上 | 900万円 | 504万円 |
| 稼働率 | 85% | 95% |
| 実質収入 | 765万円 | 479万円 |
| 管理・維持費 | 年間90万円 | 年間100万円 |
| 減価償却費 | 年間150万円 | 年間125万円 |
| 税引前利益 | 525万円 | 254万円 |
トランクルームは一見高収益に見えますが、建設費に対する回収年数が長く、立地によって稼働率の振れ幅も大きくなります。
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5年間のシミュレーション比較
| 年度 | トランクルーム利益 | 固定資産税 | 純利益 | アパート利益 | 固定資産税 | 純利益 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 525万円 | 120万円 | 405万円 | 254万円 | 40万円 | 214万円 |
| 2年目 | 525万円 | 120万円 | 405万円 | 254万円 | 40万円 | 214万円 |
| 3年目 | 525万円 | 120万円 | 405万円 | 254万円 | 40万円 | 214万円 |
| 4年目 | 525万円 | 120万円 | 405万円 | 254万円 | 55万円 | 199万円 |
| 5年目 | 525万円 | 120万円 | 405万円 | 254万円 | 55万円 | 199万円 |
5年間累計:
- トランクルーム純利益:2,025万円
- アパート純利益:1,040万円
ただしこの差は「表面利益」であり、アパートは借家権によって相続評価を圧縮できる効果があるため、相続全体で見るとほぼ拮抗します。
相続税負担の想定(単独相続時)
基礎控除3,600万円、相続人1人で想定。
| 項目 | トランクルーム | アパート |
|---|---|---|
| 評価額 | 6,300万円 | 6,286万円 |
| 課税価格 | 2,700万円 | 2,686万円 |
| 相続税(約15%) | 約405万円 | 約403万円 |
👉 相続税額の差はわずか2万円程度。
このように、建設費や面積条件を揃えると、相続税では大きな差は出ません。
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税金と収益の総合比較
| 観点 | トランクルーム | アパート |
|---|---|---|
| 相続税評価額 | 約6,300万円 | 約6,286万円 |
| 固定資産税(年) | 約120万円 | 約40〜55万円 |
| 純利益(年) | 約400万円 | 約200万円 |
| 相続税額(1人相続) | 約405万円 | 約403万円 |
| 管理・修繕リスク | 小さい | 大きい |
| 稼働率リスク | 中 | 低 |
| 税金面での有利性 | △ | ◎ |
| 運用安定性 | ◎ | △ |
トランクルームとアパート、どちらを選ぶべきか?
税金だけを見ればアパートが有利ですが、現実的な運用負担ではトランクルームに軍配が上がります。
トランクルームが向く人
- 相続税対策よりも安定運用を重視したい
- 管理や修繕に時間をかけたくない
- 住宅地よりも準工業地などに土地がある
アパートが向く人
- 住宅地で入居需要が高い
- 相続税対策を重視したい
- 家賃収入よりも評価減を狙いたい
まとめ:土地活用は「税金+収益+リスク」の3本柱で判断を
同じ100坪の土地でも、
- 固定資産税はアパートの方が軽い
- 収益はトランクルームの方が高い可能性
- 相続税評価額はほぼ同等
という結果になりました。
税金だけに注目すると誤った判断をしがちです。
土地の立地・資金計画・相続構成を踏まえた上で、5〜10年単位のシミュレーションを行うことが、後悔しない土地活用の第一歩です。
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