実家の片付けはいつやるべきか悩んでいませんか。
親が元気なうち、施設入所の前後、相続後などそれぞれのタイミングにメリットと注意点があります。後悔しない始め方を解説します。
実家の片付けは「今ではない」と思っている人が多い
実家の片付けは、誰もが「そのうちやらなければ」と思いながら後回しにしがちなテーマです。
しかし、放置すればするほど大変になります。
親の荷物が増え、家が老朽化し、気づけば手をつけられないほどの状態になることもあります。
実際に「もっと早く片付けておけばよかった」と後悔する人が多いのは、タイミングを逃してしまったからです。
では、実家の片付けはいつ始めるのがベストなのでしょうか。
この記事では、状況別に最適なタイミングと始め方のポイントを紹介します。
親が元気なうちに片付けるのが理想
もっともおすすめのタイミングは、親がまだ元気で判断力のあるうちです。
親の協力を得ながら整理できるため、「どれを残すか」「どれを捨てるか」を本人の意思で決められます。
思い出の品を一緒に見ながら話すことで、家族の絆が深まる時間にもなります。
この段階で片付けを進めると、後の介護や相続の準備にもつながります。
ただし、いきなり「片付けよう」と切り出すと反発されることもあるため、慎重な声かけが必要です。
「掃除を手伝うよ」「使わない部屋を整理しようか」といった柔らかい言葉で始めましょう。
親が高齢になり、体力が落ちてきた時期もチャンス
70代以降になると、足腰が弱り片付けが難しくなります。
この段階で子どもがサポートしながら一緒に整理を進めるのも有効です。
特に転倒の危険がある場所や、不要な家具で通路が狭くなっている場合は安全対策の意味でも早めの整理が重要です。
片付けを名目に家を訪ねることで、親の生活状況を確認できるというメリットもあります。
この時期は「全部捨てる」ではなく「使いやすく整える」感覚で進めるとスムーズです。
施設入所が決まった時は「必要なものを厳選するチャンス」
親が介護施設や老人ホームに入るタイミングは、実家の荷物を見直す絶好の機会です。
施設には持ち込める荷物が限られているため、自然と「必要なもの」「残すもの」「処分するもの」が明確になります。
このときは焦らずに「親が施設で安心して暮らせるように」という目的を意識しましょう。
実家の荷物を整理することで、空き家管理や今後の土地活用の準備も同時に進められます。
親が亡くなった後は「感情の整理」としての片付け
親が亡くなった直後の片付けは、精神的にも肉体的にも大変です。
葬儀や相続手続きに追われ、何から手をつけていいのかわからないという人も多いでしょう。
しかし、感情の整理と家の片付けを同時に進めるのは非常に負担が大きいです。
焦って進めると「大切なものを捨ててしまった」「もっと時間をかければよかった」と後悔する原因になります。
亡くなった直後は、形見分けや遺品整理を焦らず、数ヶ月〜半年ほど時間を置くのも選択肢の一つです。
気持ちが落ち着いた頃に、家族で話し合いながら整理を始める方が後悔が少なくなります。
放置すると発生する3つのリスク
1. 家の劣化と管理コストの増大
誰も住まない家は、数年で急速に傷みます。
湿気やカビ、雨漏り、害虫などが発生し、修繕費が膨らみます。
さらに「特定空家」に指定されると、固定資産税の優遇が外れて税金が6倍になることもあります。
2. 相続トラブル
片付けが後回しになっている家ほど、相続時に揉めやすくなります。
「誰が管理するのか」「売却か保存か」で意見が割れ、手続きが長引くケースも珍しくありません。
早めに整理しておくことで、財産の全体像を把握し、スムーズな相続につなげられます。
3. 片付け費用の増加
ゴミの量が増えるほど業者費用も高くなります。
家全体を丸ごと片付けると数十万円単位になることもあります。
少しずつでも整理を進めておけば、費用も労力も最小限に抑えられます。
タイミング別のメリット・デメリット比較
| タイミング | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 親が元気なうち | 本人と一緒に進められる | 親が嫌がることも |
| 高齢期 | 介護準備と同時に進められる | 体力的に負担が大きい |
| 施設入所時 | 荷物を厳選しやすい | 時間に余裕がない |
| 死後すぐ | 相続整理を同時に進められる | 精神的負担が大きい |
この表を見ると、やはり「親が元気なうちに少しずつ進める」のがベストだとわかります。
最初は「掃除の延長」として始めても構いません。
重要なのは、後で慌てないために“最初の一歩”を踏み出すことです。
片付けを始めるコツと進め方
目的を決めてから動く
「全部捨てる」ではなく、「安全に暮らせる家にする」「空き家にしないよう整理する」といった目的を明確にしましょう。
目的が決まると判断に迷いにくくなります。
1日1カ所ずつ片付ける
「今日は押入れの上段だけ」「今日は冷蔵庫だけ」など小さな単位に区切って進めましょう。
達成感を積み重ねることで、継続しやすくなります。
写真で残してから処分する
思い出の品を処分するときは、写真に撮ってデータとして残すのがおすすめです。
「捨てた」ではなく「形を変えて残した」と考えることで罪悪感を減らせます。
無理なら業者に依頼する
自分たちだけでは難しい場合、片付け専門業者に依頼するのも選択肢です。
1LDKで5〜8万円、3LDKで15〜25万円ほどが相場です。
相見積もりを取って信頼できる業者を選びましょう。
まとめ：片付けのベストタイミングは「思い立った今」
以上、実家の片付けは今じゃない？最適なタイミングと後悔しない始め方...というお話でした。
実家の片付けは、「いつかやろう」と思っているうちは永遠に始まりません。
親が元気なうちに少しずつでも動くことで、心の負担も金銭的負担も減らせます。
片付けは「親のため」だけでなく「自分たちの将来のため」でもあります。
未来の後悔をなくすために、今日からできる小さな整理を始めましょう。
それが、家族の心を守る最良のタイミングです。
