農地転用の費用は誰が払う?地主と借主の負担・相場・注意点を解説

農地転用の費用は誰が払う

農地を駐車場や住宅に変えたいけど、転用費用って誰が払うの?」そんな疑問を持つ地主さんや借主(事業者)は多いものです。

農地転用には行政手続きや測量、造成など、さまざまな費用が発生しますが、その負担者はケースによって異なります。

この記事では、農地転用の費用の内訳と相場、さらに「地主と借主のどちらが支払うのか」の判断基準、そしてトラブルを避けるための注意点まで、わかりやすく解説します。


目次

そもそも「農地転用」とは?

農地転用とは、農地を農業以外の用途(駐車場・倉庫・住宅など)に使うために行う手続きです。
農地法では、地目が「田」「畑」となっている土地をそのまま他の目的で使うことは禁止されています。

転用するには、農地法第4条または第5条の許可が必要です。

条文対象内容
第4条所有者自身が転用する場合例:自分の畑を駐車場にする
第5条他人が使用目的で転用する場合例:事業者が借りてトランクルームにする

この「誰が転用するか」によって、費用の負担者も変わってきます。


農地転用にかかる主な費用の内訳

農地転用には、行政への申請だけでなく、測量や整地、登記変更など複数の工程があります。
代表的な費用の項目と相場は以下の通りです。

費用項目内容相場目安
行政手続き費用申請書作成、農業委員会への許可申請(行政書士などに依頼)10〜30万円
測量・境界確定費用境界杭の設置、図面作成、土地家屋調査士の報酬20〜50万円
地目変更登記費用「田」や「畑」→「宅地」への変更2〜5万円
開発・造成工事費整地、舗装、排水、フェンス設置など100〜500万円以上
設備関連費電気・上下水道の引き込み、照明設備など50〜200万円

小規模な転用(例:砂利敷きの駐車場)でも、最低でも50〜100万円程度は見ておくのが現実的です。


費用は地主と借主どちらが払うのか?

費用を「誰が払うか」は、転用の目的が誰の利益になるかで判断されます。

① 地主が自分で使う場合 → 地主負担

地主自身が住宅や駐車場、太陽光発電などを運営するために転用するなら、所有者である地主が全額負担するのが原則です。

これは、転用によって地主の資産価値が上がるからです。

例)

  • 自分の畑を住宅地にして自宅を建てる
  • 自分名義で駐車場経営を行う

これらは地主の所有資産を有効活用するための転用なので、費用負担も地主側にあります。


② 事業者(借主)が使う場合 → 事業者負担が原則

一方、借りた農地を事業者が転用して使う場合は、事業者(借主)が費用を負担するケースが一般的です。

例)

  • 事業者が農地を借りてコインパーキングやトランクルームを設置する
  • 建設会社が資材置き場として農地を利用する

このようなケースでは、地主は土地を貸すだけであり、転用によって利益を得るのは借主です。
そのため、転用手続きや工事費は借主が負担する形になります。

ただし、地主の承諾書が必要であり、契約内容によっては地主側の一部負担や共同出資とすることも可能です。
どちらが支払うか曖昧なまま進めると、後々トラブルになりやすいため、契約書に明確に記載しておくことが非常に重要です。


費用相場と負担のまとめ

ここで農地転用にかかる費用相場と負担者について、表にしてまとめてみます。

活用目的必要な許可費用相場(概算)負担者の例
駐車場にする農地法第5条(事業者利用)50〜200万円事業者
トランクルームにする農地法第5条+開発許可100〜400万円事業者
住宅建設農地法第4条(自己利用)50〜150万円地主
資材置き場農地法第5条50〜300万円事業者または地主

農地転用と地目変更の違い

「農地転用」と「地目変更」は混同されがちですが、目的も手続きもまったく異なります。

簡単に言うと、農地転用は「使い方を変える許可地目変更は「登記上の表示を変える手続き」です。

農地転用とは

農地転用とは、農地を住宅や駐車場、トランクルームなど農業以外の用途に利用することを指します。
農地法によって厳しく制限されており、転用するには市町村や都道府県の「許可」または「届出」が必要です。
主な目的は、無秩序な開発を防ぎ、農地を守るためです。
許可が必要な代表的なケースは次のとおりです。

  • 農地を宅地にして住宅を建てる
  • 農地を駐車場や資材置き場にする
  • 農地を事業用地(倉庫・店舗・太陽光発電など)にする

つまり、「農地転用」は農地の利用目的を変更するための許可制度です。無許可で転用すると罰則を受けるおそれもあります。

地目変更とは

一方の地目変更は、土地登記簿に記載されている“地目”を、実際の利用状況に合わせて変更する登記手続きです。
例えば、農地転用許可を受けて実際に住宅を建てたら、登記簿上の地目を「田・畑」から「宅地」に変更します。
このとき必要なのは法務局での「登記申請」であり、農地法の許可ではありません。
地目変更を行わないと、固定資産税評価や土地取引時の登記情報が実態と食い違うことになります。

農地転用と地目変更の違いまとめ

項目農地転用地目変更
意味農地の利用目的を変える許可制度登記簿上の地目を実態に合わせて変更する登記手続き
根拠法農地法不動産登記法
管轄市町村・都道府県法務局
タイミング農地を他用途にする前実際に用途が変わった後
主な目的農地の保全・開発規制登記情報の整合性維持

つまり、農地転用が「前提の許可」、地目変更が「結果の反映」という関係です。

転用許可を得ずに地目を変更することはできませんし、逆に転用だけして地目変更をしないのも不適切です。
土地活用を進める際は、両方の手続きがセットになると覚えておきましょう。

農地転用できない土地もあるので注意

すべての農地が自由に転用できるわけではありません。
農地には「市街化区域」「市街化調整区域」「農業振興地域」などの区分があり、エリアによっては原則転用できない土地もあります。

【転用が難しいケース】

  • 市街化調整区域内で、周囲が農地に囲まれている
  • 農業振興地域内の指定農地
  • 他人の通路・用水路などが隣接している
  • 土地に埋設物や水路がある

このような土地は、「除外申請」や「開発許可」が別途必要になり、時間もコストも余分にかかるため注意が必要です。


トラブルを防ぐための3つのポイント

農地転用がからむ取引で後々トラブルにならないために、次のようなポイントを押さえておきましょう。

1. 契約書に費用負担を明記する

「転用申請費用は事業者負担」「地目変更登記費は地主負担」など、どこまでが誰の負担かを明文化することが必須です。
口約束のまま進めると、後で請求トラブルになります。

2. 行政書士・土地家屋調査士に依頼する

専門家に依頼することで、書類不備や申請差し戻しを防げます。
農地転用許可申請は一見シンプルでも、自治体ごとに細かな運用差があるため、地域に強い専門家を選ぶと安心です。

3. 転用後の税負担も見ておく

転用して宅地になると、固定資産税・都市計画税が上がることがあります。
運用益だけでなく、維持コストも含めてシミュレーションしておきましょう。


まとめ:農地転用の費用は「誰が得をするか」で決まる

以上、農地転用の費用は誰が払う?地主と借主の負担・相場・注意点を解説...というお話でした。

農地転用の費用負担は、転用の主体=利益を得る側が負担するのが基本ルールです。

転用主体費用負担者代表的なケース
地主地主自身住宅建設、売却前の造成など
借主(事業者)借主駐車場・トランクルーム・資材置き場など

ただし、境界確定費用や地目変更登記など、「土地所有者でしか行えない部分」については地主側の支払いになる場合もあります。

最終的には、契約前にどちらが負担するかを明確にしておくことが何より大切です。
曖昧なまま始めてしまうと、後で費用請求をめぐるトラブルに発展することもあります。

農地転用を検討している方は、必ず行政書士や不動産会社に相談し、「費用・手続き・契約条件」の3点を事前に整理しておきましょう。


倉活 用地

農地転用の費用は、地主・借主どちらの立場でも軽視できない項目です。
「誰の利益のための転用か」を軸に、正しく負担を分けることで、お互いに納得のいく土地活用を進められます。

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