
相続が始まる前に実家を売却することはできる?
まだ親が元気なうちに実家の売買を進めるメリット、逆に親の意思が確認できなくなってしまったときの問題点やデメリットについて紹介します。
親が生きているうちに実家を売ることはできる?
親がまだ存命中の場合、実家の名義は多くの場合「親本人」です。
つまり、名義人である親の同意があれば売却は可能ですが、子どもが勝手に売ることはできません。
不動産の売買契約は名義人が行う必要があり、たとえ子どもでも代理で進めるには「委任状」や「代理権」が必要になります。
親が高齢で判断能力が低下している場合には、売買契約そのものが無効になるリスクもあるため注意が必要です。このため、相続前に売却を検討する際は、まず名義と判断能力の確認を行うことが第一歩になります。
名義が親でも売却できるケースとできないケース
売却できるケース
親が名義人であり、意思表示がはっきりしている場合は問題なく売却できます。
このときは親が売主となり、子どもが手続きをサポートする形です。
もしも親が動けない場合は、司法書士や不動産会社に出張対応を依頼することもできます。
契約書や印鑑証明書、登記識別情報(権利証)などを準備し、親の意思確認が取れていればスムーズに手続き可能です。
売却できないケース
一方で、親が認知症などで判断能力を失っている場合、通常の契約は成立しません。
この場合は「成年後見人制度」を利用して後見人が親に代わって売却手続きを行います。
ただし、家庭裁判所の許可が必要で、すぐに売却できるわけではありません。
申立てから審査まで数か月かかるため、急ぎの売却には向いていません。
相続前に実家を売るメリット
管理や税金の負担を減らせる
親が施設に入ったり遠方に住んでいたりする場合、実家の管理は負担になります。
固定資産税や修繕費がかかるだけでなく、老朽化による特定空家指定で税金が6倍になることも。
相続前に売却すれば、こうしたコストを早めに解消できます。
兄弟間のトラブルを防げる
相続後は複数人の共有名義になることが多く、売却には全員の同意が必要になります。
「誰が住むのか」「誰が売るのか」で揉めるケースも少なくありません。
相続前に親が自分の意思で売却しておけば、後々のトラブルを防げます。
親の生活資金に充てられる
売却代金を施設費や医療費に充てられるのも大きなメリットです。
特に年金だけでは施設費が賄えないケースでは、実家売却が現実的な資金源になります。
相続前に売るデメリットと注意点
親の気持ちへの配慮が必要
「長年暮らした家を手放す」という決断は本人にとって大きな出来事です。
子どもが主導で進めると、親が「勝手に決められた」と感じてしまうこともあります。
感情面のケアを怠ると家族関係にヒビが入ることもあるため、話し合いの時間をしっかり取ることが大切です。
売却益に所得税がかかる
親名義の家を売却すると、譲渡所得税が発生する場合があります。
ただし、居住用財産の場合は「3,000万円特別控除」が使えるため、実際には非課税になることも多いです。親がすでに施設に入っていても、条件を満たせば控除が適用されます。
判断が難しい場合は税理士に確認しましょう。
名義変更や贈与扱いになるリスク
親が子どもに名義を移してから売る場合は「贈与」と見なされ、贈与税が課税されることがあります。相続前に名義を移す場合は、税務上の扱いに注意が必要です。
贈与税の非課税枠(年間110万円)を超えると課税対象になるため、専門家に相談してから進めましょう。
実家売却の手順と流れ
ステップ1:家族で方針を決める
まずは「親が戻る可能性」「今後の介護方針」「費用の使い道」を家族で話し合います。
誰が窓口になるか、費用の扱いをどうするかも明確にしておくとスムーズです。
ステップ2:不動産会社に査定を依頼
複数社に無料査定を依頼し、相場を把握します。
空き家バンクや買取専門会社を使うと、スピード重視で進められます。
施設入居後の家は早期売却が望ましいため、仲介と買取の両方を比較しましょう。
ステップ3:売却契約と代金受け取り
契約時には、親の印鑑証明書と権利証、本人確認書類が必要です。
代金は親の口座に振り込まれ、生活費や医療費として使えます。売却後の確定申告も忘れずに行いましょう。
もし親が亡くなった後に売る場合
親が亡くなってから売る場合は、まず「相続登記」が必要です。
2024年からは相続登記が義務化されており、3年以内に登記しないと過料の対象になります。
登記後は相続人全員の同意を得て売却を進めますが、共有者が多いと手続きが長期化しやすいです。そのため、生前のうちに親の意思で整理しておくことが重要です。
親の意思を尊重しながら早めに動くことが大切
以上、相続前に実家は売れる?親が元気なうちに売却を進めるメリットと注意点...というお話でした。
相続前に実家の売却を考える場合は、現在の親の状態によって対応策を考えたほうがいいでしょう。
| 状況 | 対応策 |
|---|---|
| 親が元気で判断力あり | 親名義のまま売却可能 |
| 判断力が低下している | 成年後見人制度を利用 |
| 将来的に誰も住まない | 相続前に売却・現金化 |
相続前に実家を売ることは、親の意思を尊重しつつ、家族の負担を減らす現実的な選択肢です。
感情的にならず、法律や税金の仕組みを理解した上で早めに準備することが、後悔のない選択につながります。
