税務署が貸付事業と認定した【事業実態あり事例】相続対策のヒント

貸付事業と認定されたケース

相続税対策でトランクルームを導入しても、税務署に事業として認められなければ節税効果はありません。

今回は、実際に「貸付事業」として認定された成功ケースと、共通していた運営のポイントを解説します。


目次

「節税対策」ではなく「事業運営」として成立していた

ここ数年、相続税対策としてトランクルームを導入する土地オーナーが増えています。
ただし、前回の記事でも触れたように、税務署は形式的な“見せかけ事業”には非常に厳しい姿勢を取ります。

その一方で、実際に調査を受けても「事業として継続している」と認められたケースもあります。
そうしたオーナーに共通していたのは、節税よりも「事業として成り立たせる姿勢」でした。

ここでは、3つの成功事例を紹介しながら、認められたポイントを整理していきます。


成功ケース①:3年前から運営し、帳簿・契約をすべて整備

関東郊外のAさんは、相続を見据えて父名義の土地にトランクルームを設置。
設置から相続発生まで約3年が経過していました。

相続後の税務調査では、税務署から帳簿と契約書の提示を求められましたが、

  • 契約書(利用者全員分)
  • 管理会社との委託契約書
  • 賃料入金記録(通帳)
  • 確定申告書・帳簿

をきちんと整備していたため、「貸付事業として独立して成立している」と判断され、貸付事業用宅地の特例(200㎡まで50%減)が認められました。

ポイント

  • 開始から数年継続していた(短期的な節税目的ではない)
  • 帳簿・契約の整備が完璧だった
  • 管理を第三者(専門業者)に委託しており、実態が明確だった

税務署は「書類の整備」と「継続性」を重視します。
このケースは、形式だけでなく実態を裏付ける証拠が揃っていたことが評価されました。


成功ケース②:稼働率90%以上を維持し、毎年確定申告を実施

地方都市で貸倉庫事業をしていたBさんは、相続を見越して一部の土地をトランクルームとして運営。

最初の1年目から積極的に地元紙やWEB広告で利用者を募集し、3年目には稼働率90%以上を維持。

毎年きちんと確定申告を行い、管理会社からの収支レポートも添付していたため、税務調査時に「安定した事業収益がある貸付事業」として認められました。

ポイント

  • 実際に収益を得ていた(年間300万円超の賃貸収入)
  • 広告・募集活動を継続していた
  • 管理会社の定期報告に基づき帳簿を作成していた

税務署が最も重視するのは「経済活動として成立しているか」。
稼働率・収入・管理記録の3点が揃っていれば、事業と判断される確率は高くなります。


成功ケース③:法人化して運営、長期的な継続意志を明確に

都心近郊のCさんは、個人名義でトランクルームを始め、2年目に法人化して運営を拡大。

法人名義で契約書を管理し、毎期の決算・納税もきちんと行っていたため、税務署からは「明確な事業継続の意思と体制がある」と判断されました。

結果、相続時に土地は「貸付事業用宅地」として特例の対象になり、200㎡×50%減の評価減が正式に適用。

ポイント

  • 事業として独立(法人化による明確化)
  • 管理・経理を分離し、継続性を担保
  • 名義や口座の分離で“私的利用”の疑念を払拭

法人化までは必須ではありませんが、「事業として区分・継続している体制」があれば、税務署の信頼度は大幅に上がります。


認められた事例に共通していた4つの条件

  1. 相続の数年前から継続運営していた
     → 節税直前の駆け込み開業は避け、少なくとも1年以上の実績を確保。
  2. 契約・帳簿・入金記録などの証拠を整備していた
     → すべての契約書・領収書・帳簿を保存し、すぐに提示できる状態。
  3. 収益性があり、第三者への貸付が行われていた
     → 利用者が複数存在し、相場に見合う賃料で貸していた。
  4. 管理体制と運営の仕組みが明確だった
     → 管理委託契約・定期巡回・清掃記録など、運営実務が可視化されていた。

これらの条件が揃っていれば、税務署は「形だけの節税目的」とは判断しません。


成功の本質は「節税」ではなく「継続性」

認められたオーナーに共通していたのは、「節税のため」ではなく「土地を活かすため」に事業を始めたという姿勢です。

税務署も、形式ではなく“継続的な貸付ビジネス”を重視しています。
つまり、

節税は「結果」であり、事業は「目的」

この順序を守ることが最も大切です。


トランクルームを相続対策に活かす現実的な流れ

  1. 立地を確認
     需要がある地域かどうかを把握(交通量・住宅密集度など)
  2. 事業計画を作成
     想定賃料・稼働率・運営コストを試算
  3. 契約・管理体制を整える
     管理会社との契約、募集広告、帳簿整備
  4. 確定申告・記録保存を継続
     毎年の申告・記録保管を欠かさない

このサイクルを3年以上継続できれば、
税務署にも「本格的な貸付事業」としての信頼性を示すことができます。


まとめ|“実態ある事業”が最も強い相続対策になる

以上、税務署が貸付事業と認定した【事業実態あり事例】相続対策のヒント...というお話でした。

トランクルームを相続対策に使うこと自体は合法であり、税務署もきちんと運営している事業者には特例を認めています。

ただし、

  • 相続直前に始める
  • 契約書や帳簿がない
  • 利用者がほとんどいない
    といった“形だけの節税”は必ず見抜かれます。

成功している人は、節税のためではなく「土地を事業として活かす」ために始めた人。
その結果として税務上の優遇が得られている、という順序を忘れないことが大切です。

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